注目の人気写真家2人展。福岡の人撮りおろし写真約290点!
2021年8月31日(火)に閉館を迎えるイムズですが、まだまだ新店がオープンしたり、イベントを続々開催するなど、華麗なラストランを見せてくれています。
最後の創業記念日、4月12日を飾るスペシャルイベントは、梅佳代さん、川島小鳥さんの2人の写真家が福岡で撮りおろした写真展! 梅佳代さんは、イムズや新天町、警固公園など、天神の街中で出会った人たちに声をかけながら撮影。一方、川島小鳥さんは、大濠公園や小笹、六本松など、あちこちに出かけて撮影しました。2人がそれぞれ’20年秋に撮った写真を、イムズ地下2階イムズプラザ(無料)と、イムズ8階三菱地所アルティアム(有料)にて、約290点展示しています。
写真集『うめめ』で第32回木村伊兵衛賞を受賞した梅佳代さんは、2008年に『梅佳代スーパーシャッターチャンス祭り in FUKUOKA』を、写真集『未来ちゃん』で一世を風靡し、『明星』で第40回木村伊兵衛賞を受賞した川島小鳥さんは、2015年、『川島小鳥+谷川俊太郎 おやすみ神たち』を、三菱地所アルティアムで開催。「イムズ最後の創業祭」を飾るにふさわしい『おしまイムズ THE LAST ANNIVERSARY EXHIBITION TENJIN MATSURI 梅佳代「天神さま」 川島小鳥「ピンクの光線」』です。
展覧会初日、アートディレクションを担当した祖父江慎さんとのトークイベント開催のために来福した2人に、イベント前に話を聞きました!
—過去に三菱地所アルティアムで個展を開催した2人。今回の福岡での撮影は?
梅「福岡に滞在して、3日間天神を撮りました。女性がとても明るいですね。ちょうど新天町でせいもん払いをやっている時期で、みなさん赤いコートを着ていて。ガラポンの女性がとっても明るくて、ただ者じゃない感じがしたので、聞いてみたら元歌手って言われて。えぇ!?って驚いたら、『福岡なんで。そういう人はいっぱいいます』とおっしゃっていたので、福岡って元歌手の方がそこらへんにいる街なんだな~って思いました」。
川島「福岡の街に溶け込むために、住もうかな、と思って、不動産屋さんに色々紹介してもらったんですね。大濠公園とか小笹とか内見させてもらいました。でもコロナ禍だし、やっぱりすみませんって不動産屋さんには断って、のべ1カ月近くホテルに滞在して撮りました」。
—2人展のお話を最初にもらった時はどう思いましたか?
川島「大人数での展覧会はありましたが、2人展は初めて。2人とも松坂世代の同い年で、ちょうど40歳という節目の年なので、楽しみです」。
梅「ずっと友だちだけれど、2人でやることはなかなかないから、いい記念になって良かったです」。
—福岡で撮ってみて、地方性や、地方色などを感じましたか?
川島「みなさん地元愛が強いですね。撮影にあたって知り合いを増やしていって、みなさんにお気に入りの場所を聞いて、撮影しました。色に例えるなら、ピンク?」。
梅「ガラポンの赤いコートのイメージですね。新天町で撮影した人たちもパーマで、レースとか花柄のステキなマスクをしていて、私もあと10年したら、ああなりたいと思いました」。
—今回の撮影のポイントは? 梅佳代さんは写真に被写体になった人のメッセージが一緒に展示されてますね。
梅「私の展示というより、天神の声が聞こえるような、街のみなさんと作りあげていく感じが伝わるといいなと思って、撮影したその時の気持ちを、その場でひと言、自由に書いてもらいました。そしたら、まるでみなさんがここに来て書いてくれたみたいになっていて、現代の技術ってスゴイですね」。
川島「今回、福岡で撮影するにあたって、九州ビジュアルアーツを紹介してくれて、写真科の学生に特別講義をする機会もあったのですが、撮っているところを見たいと学生たちに言われて、屋上で撮影したりしました」。
梅「専門学校時代に、写真家の平間至さんが来られた時に、わあ、すごい!って周りで見ていたんですが、そんな状態ですね」。
川島「僕は写真学校を出ていないので、シノゴ(4×5インチの大判カメラ)で撮ってみたいとお願いして、カメラをお借りして撮らせてもらったんです。三脚立てて、暗幕とか使うんですけど、楽しくて。僕はカメラをめっちゃ持っていて、ホテルのデスクにずらりと並べて、今日はこの人と会うからコレとコレを持っていこうかなって、3つくらい首から下げて出かけるんです。そんな感じなので、写真の色合いも違うので、とりとめもない感じになるんですけど。散歩してネコに出会ったり、古い建物があったり、その時感じた感覚も混ぜて、全体として1つになっている感じです。ごちゃごちゃしているけど、調和している。だから最初はタイトルを『この街の合唱』って考えていたんですけど」。
梅「それいい! 小鳥のタイトルはいつもステキ。私のタイトルはいつもそのまんま。天神の人たち、そして天神さまへの感謝や祈りで『天神さま』」。
川島「『プロミスリング』もタイトル候補で…。だけどそれだとちょっとセンチメンタルになりすぎちゃう。未来っぽいタイトルにしたいと思って『ピンクの光線』にしました」。
梅「未来っぽい!でも記者さんたち、ペンが動いてないですよっ!」
川島「(笑)。温かい感じで。僕は謎なタイトルにして“なぜ?”と思ってもらいたかったんです。ミステリアスな感じ?」
—お互いの作品を見ての感想をお聞かせください。
梅「小鳥の作品は、まさかのロマンチック路線で、夢すぎて驚きました。私のばーん!って感じからの小鳥のふぁーって、幻みたい。私もそんな写真を撮りたいけれど、まだコツをつかんでないです」。
川島「すごいなと思いました。人の表情とか、よくこんな瞬間を撮れるなって。僕もナンパして撮ってみようと思ったんですが、すぐ心が折れました。(梅さんの作品は)人間愛にあふれてますよね」。
—表現の手段として写真を選んだ理由は?
梅「流行ってたんです。『写るんです』とかあって。今40歳くらいの人この中にいたらわかってもらえると思うんですけど」。
—セピアとかありましたね。
梅「そうそう!なつかしい~。今の若いコにも『写るんです』が一周回ってはやっているそうですね。私たちが高校生の頃ってカメラ雑誌もたくさんあったし」。
川島「僕も高校の時に流行っていたから。本当は映画が好きで、カメラは趣味として大学でも続けていました」
—福岡に来る前の印象と、来てからの印象に違いがありますか?
梅「福岡には何度か来たことがあるのですが、みなさん地元愛が強くて、お客さんとして来た身としては、地元の不満より、いいところの話を聞く方がうれしいですよね! あと伯母が福岡に住んでいるのですが、何度もいいところを聞いているので、福岡に来たことのない妹は目をつぶっていても空港から伯母の家に行けるって言ってます」。
川島「僕も福岡には来ていて、前に来た時は街の中心部のみだったんですが、ちゃんと歩くと大濠公園とか、海とか、自然が近くて、食べ物が美味しい。バランスがいい街ですね。あと、うどんもおいしかったです」。
梅「うどん?」
川島「ラーメンだけじゃなくてうどんも名物らしいんです」。
—梅さんは、イムズのビルメンテナンスの人も撮られていましたね。
梅「働く人、職人さんが好きなんです。今回はイムズに関わっている人もたくさん撮らせてもらって。写真に撮られることが好きじゃない人が好きで。特に男性は、いい感じの緊張感とか、どうしていいかわからない感じで、怒ってる?って思うくら仏頂面なんだけど、本人は怒ってなくて。女性は潔いですね」。
川島「僕はどこに行っても浮いているかも(笑)。でも今回、鍋に呼んでもらったから友だちができたかも。カフェで声をかけたカップルはLINE交換もしました」。
—これからの展望は?
梅「いつも決めてないんですね。でも最近作ってなかったので、次の写真集のことを考えようかなと思っています」。
川島「40歳の誕生日を福岡で迎えたんですけど…3〜4年かけて何かをしたいなと、ぼんやり思ってます。『ぼんやり小町』(笑)」。
梅「ほら、また記者さん困って筆が動いてないですよ!(笑)」
10年来の友人という2人の絶妙な掛け合いが面白く、とても和やかな会見。
会見後、『三菱地所アルティアム』の作品の前でフォトセッションもあり、自然体の2人そのままに、作品についても話してくれました!
また、トークイベントでは、アートディレクションを担当した祖父江さんが、梅佳代さんの新天町倶楽部の料理長の写真(オムライスおいしいよ!のメッセージ付)の対面に、川島小鳥さんのオムライスの写真が来るように展示しているという裏話を披露。
それを確かめに、また展覧会に行きたくなっちゃいました。
地下2階イムズプラザの大鳥居も大迫力なので、気軽にのぞいてみてくださいね!
おしまイムズ THE LAST ANNIVERSARY EXHIBITION TENJIN MATSURI
梅佳代「天神さま」 川島小鳥「ピンクの光線」
開催中〜5月16日(日)
会場:地下2階イムズプラザ、8階三菱地所アルティアム
(福岡市中央区天神1-7-11イムズ)
料金:一般400円 学生300円
※高校生以下、アルティアムカード会員、三菱地所グループCARD会員、てんちかカード会員無料
詳細は公式ホームページをチェック!