トップに
戻る

【インタビュー】ウソツキ『二セモノでも本物に勝って新しい王道を作っていきたい』

取材・文/本田珠里(編集部)
撮影/内田達也

ウソツキが待望の3rdアルバム『Diamond』をリリース。’16年にリリースされた『一生分のラブレター』のMVは、タイアップ無しで口コミで広がり続け再生回数はダブルミリオン目前、今回のアルバムからの先行配信『名もなき感情』も溢れ出る感情をそのまま表現した歌詞が共感を呼び、既に名曲として話題になっている。決して嘘はつかないバンド、ウソツキというプロフィールに惹かれ、インタビューを行った。

林山拓斗(Dr.)、竹田昌和(Gt.Vo.)、藤井浩太(Ba.)、吉田健二(Gt.)

—まずは、バンド名「ウソツキ」の由来がやはり気になります。

竹田:ステージで歌ったり、誰かの為に曲を書いたり、自分が思ってる事を言葉にするのって勇気がいるし怖いなって思いがあったんです。でも“ウソツキ”という名前だと、色々しゃべって歌い終わった後に「ありがとうございました!“ウソツキ”でした!」って言えるんですよ。そうすると何だって言えるし出来るような気がして。僕が憧れたスターとかも心のどっかでは嘘を付いていたりしたのかなと思いながら、そんな自分を無敵にさせる為につけた名前です。

 

—メンバーのみなさんはバンド名を決めた時どんな反応だったんですか?

藤井:僕はバンドが結成された後に加入したのでそんなに気にしなかったです(笑)。

林山:変で覚えやすい名前なら何でもよかったから支持派でした。数少ないカタカナ4文字バンドなので(笑)。

 

—確かに潔くて覚えやすいです(笑)。“王道うたものバンド”とプロフィールにありますが、そのスタンスは。

竹田:’14年に『金星人に恋をした』というアルバムでデビューしたんですけど、フェス全盛の時期で、BPM(曲のテンポ)も早くて四つ打ちで、いかに踊れるかが大事でそれが良い音楽みたいなものが多かったんです。そんな中だったから逆に“王道のうたもの”って言おうと。今回のアルバムでは“王道うたもの”とは敢えて言ってはいないんですが大事にしてる部分は変わってないです。曲を聴いた時に景色とか匂いとか記憶とかが出てきてくれるっていうのを大事にしています。聴いてみて、どう感じましたか(笑)?

—逆質問形式ですね(笑)。アルバム全体を通して、音楽的に色んなチャレンジをされてるのかなと思いました。シティポップだったりロックだったり…全て何かの王道に当てはまる要素も見えて、キラキラしたアルバムだなと。でも王道って何?って言われると難しいですよね。

竹田:僕らの野望というか…新しい王道を作りたいし、王道と言われているものを超えたいんです。アルバムタイトルの『Diamond』は、そういう想いでつけました。アルバムジャケットのダイヤは偽物だし虫の形じゃないですか。でも偽物で本物に勝ちたかったんです。それこそ新しい王道を作ることになる気がして。お茶の間にいるお母さんとかが普通に「ウソツキのあの曲いいよね」って言ってたら、ちょっと変じゃないですか(笑)。でもそれが常識になったらいいなっていう野望があったんです。

 

—なるほど。先行配信された「名もなき感情」は歌詞が面白いなと感じました。「ああ、この言葉に出せない、この感じ分かる〜!」って(笑)。

竹田:ありがとうございます。でも僕はどっちかと言うと人の気持ちや感情があんまり分からないんです。だからこそ人の気持ちが分かりたいと思ってるんですけど。人を好きになった時に、どうしてそういう感情が生まれてるのか、自分自身の中で探してもそれがよく分からない。でも自分の中に感情はちゃんとあって、その人と出会った時は嬉しいし別れたら涙が出るだろうし。それが上手く説明できなくて考えた結果、“バーンってなって…”っていう効果音で言うしかなかったんです(笑)。

 

—「夏の亡霊」と曲のタイプも違って、いいコンストラストになってますね。「夏の亡霊」は一度聴いたらずっと耳に残ります。

竹田:そうですね、リフが印象的ですよね。(亡霊に)取り憑かれました(笑)?

—はい、取り憑かれました(笑)。先ほども言及しましたが、今回は演奏的な部分にも色んな試みがされているのかなと感じたんですが、アルバム制作の秘話などあれば。

藤井:一番大きく前回と変わったところはアレンジの仕方ですね。スタジオでみんなで音出して合わせるんじゃなくて、それぞれを録音してモニターで聞いて、この部分を変えてみようかみたいな。今回はほとんど、そういうやり方で録りました。

 

—客観的に自分たちの音を聞いてアレンジをしていったんですね。

吉田:はい、4人で曲を袋叩きというか…そんな感じで(笑)。

林山:斬新な表現だな(笑)。悩むよりまず行動みたいな感じで今回ガンガンやっていったんですよ。そんな中で全部ボツにして一番最初のやつになったりとか(笑)。

 

—何かを作る時の“あるある”パターンですね(笑)。

藤井:大事、大事、一周回るのも。

—それぞれオススメの曲やここは聴いてほしいという部分はありますか。

吉田:自分のパートで一番変わったのは、「夏の亡霊」のリフの部分。最近の洋楽ポップスやEDMって生ギターより、電子音やシーケンスとかでフレーズやリズムを出すことが多いんですが、それをギターで再現できないかなと思って試みたのが「夏の亡霊」「偽善者」「超ヒモ理論」と「ラブソングは無力だ」。洋楽のように何でも取り入れる感じでファンクやR&Bとかのフレーズを入れつつ邦楽に聞こえるようなバランス感覚を意識しました。

林山:僕は個人的なテーマとして、「夏の亡霊」の間奏で流れをぶった切ってガッといくみたいな、少し遊びを入れて曲を成立させるところに面白さを感じました。もともとリフの部分を大事にしてたし、やりたいことを詰め込んで成立させるって昔はなかなかできなかったんですけど、今回はそれが上手くいってる感じがあります。歌ものではあんまり入れないようなドラムのフレーズを入れてみたり、個人的に楽しく録れたっていうのが大きいかな。気持ちを張りつめさせてないので余裕がある演奏とアレンジになったかなと。サクッと演ったら良くなりましたみたいな部分もあえて残したらピタッとハマったところが多くて満足度は高いです。

 

—余裕や遊びの部分があった方がライヴでは直接伝わりやすいかもしれないですね。

林山:新曲をライヴで演るとバンド感が増してきたなと思います。自分たちの感覚ではアップテンポとかハードな曲があんまりないから、そういう反応が新鮮で。さっき言ったようなアレンジや演奏がライヴにも出てるんだと思います。

 

—歌詞の話に戻りますが、メンバーのみなさんは竹田さんの世界観をどう受け止めてますか。

林山:竹田が書く歌詞は周りからは「不思議な発想ですね」って言われがちなんですけど、割と僕たちはスッと受け入れるタイプの人間です(笑)。

 

—「レトルトの彼」とか聴いてると、男の子もこんな感覚あるんだーって不思議で…(笑)。どっちかというと女の子の方が好きな男の子と一緒にいられるなら本命じゃなくてもいいって思いがちかなって思ったりして。

藤井:うん、少し女々しい感じが多いかもしれないですね(笑)。

—ファンの方の反応とかを見ていると、歌詞に共感しているコメントも多く見受けられたので、これが今の世代にハマっているのかなと。

竹田:確かに発信してくれてる子は女の子多いですね。エゴイズムなんですけど…(笑)。

 

—ちなみにメンバーのみなさんの音楽遍歴は?

竹田:もともと僕はハードロック、ヘビーメタル以外は音楽じゃないと一年間言い続けて、大学で軽音楽部に入って、第三次ロック世代のストレイテナー、フジファブリック、チャットモンチーとか邦ロックを聴いてました。最近ビルボードチャートに入る音楽を聴き始めて不思議だったのが、日本の音楽ってどれだけ音を綺麗に積み重ねるかで進化してきたと思うんですけど、向こうは真逆で、どれだけ音数を少なくしてビートを出すかっていう作り方なんです。だけど求めてるものはみんな同じような気がしていて、じゃあ日本的なメロディや情緒とかと、海外で進化したサウンドをどうにか演ってみたいなと思ってる今です。

藤井:僕は竹田さん以上のズブズブのハードメタル好きで、速い曲を速く弾く事に命を捧げてました(笑)。上京して音楽の専門学校で様々な音楽に触れる機会があって今はオールジャンル。でも僕の根っこにはメタル好きがありますね。メタリカとかメガデスとかすごい好きでしたし、ミスタービックが一番好きです。

吉田:親父がギターを持ってたので小学5年生くらいからギター始めて、エリック・クラプトンのDVDとか見てコピーしてました。邦ロックも好きだったんですけど、やっぱりギター弾いてるとポップスやりつつそこにブルースをいれてくるブルースロック系の白人のアーティストとか好きですね。ジョン・メイヤーとか大好きです。

林山:僕は軽音楽部入ってからドラムを始めたんですけど、音楽に対してはかなりミーハーで、組んだバンドの人の影響をかなり受けてます。最初誘ってくれた人がX JAPANが好きで聞けって言われて、もう一人のギタリストは藤井さんみたいなメタラーでメタルを聞けって言われて、ボーカルが女の子でジュディマリと椎名林檎を聞けって言われて、素直に全部聞いて全部「かっこい〜!」と思って…っていう、色々つまみ食いしてきた音楽人生です(笑)。アーティストというより好きな曲がいっぱいあるみたいな。でもやっぱりドラマーだから、良いリズムが好きで体を動かしたくなってニュアンスが変わっていくみたいな曲が面白いと思うし、そこを掘り下げていくのが好きです。

—次の福岡は11月にワンマンですが、意気込みをお願いします!

竹田:福岡は、’15年と16年に『ナンバーショット』という大きいフェスに出させていただいて、それがウソツキの初フェスだったので、勝手にすごい好きな街なんですよ(笑)。オープニングアクトでしたが一番大きなステージに出させていただいて、ほぼ全員が僕らのこと知らないはずなんですけど温かくて。あと僕、YUIさんが本当にすごく好きで、さっきもYUIさんの聖地の天神駅の7番出口を見ながら来たんですけど(笑)、藤井フミヤさんや絢香さんとか、福岡ってそれこそ“王道うたもの”を作ってきた街だなと思うところもあるので、挑戦したい場所というか…、今回はワンマンツアーの初日なので、そういう期待と不安と野望とが入り混じった「この街で俺は伝えるんだ!」って気持ちでライヴします!

リリース情報

Album『Diamond』9月26日リリース

 UKDZ-0181/¥2500(税抜)

ウソツキHP http://usotsukida.com/

ライヴ情報

ウソツキ Diamond Tour

日時 2018年11月10(土)18:00
会場 福岡Queblick(福岡市中央区大名2-6-39-B1F)
料金 前売り3500円(要1ドリンクオーダー/整理番号付)
チケットぴあ(Pコード:127-642)、ローソンチケット(Lコード:82829)、eプラス
9月22日(土)発売
問合せ 092-714-0159(キョードー西日本)

SNS運用代行サービス