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【インタビュー】映画『食べる女』筒井ともみさん(原作・脚本)

取材・文・撮影/福島大祐(編集部)

「現代人の心を満たすのは、美味しい食事と愛おしいセックス」…そんなメッセージで観る者を優しく包み込む映画『食べる女』。主役級のキャストが集結し、劇中で登場する50品以上の料理に舌鼓を打ちながら女性たちが本音トークを繰り広げる本作には、社会で生きにくさや窮屈さを感じている人々へのメッセージがふんだんに盛り込まれている。今回、本作の原作者であり映画の脚本も手掛けた筒井ともみさんにインタビューを敢行。作品についての想いを聞いた。

—原作の『食べる女』執筆のきっかけは?

筒井:私が食いしん坊だと知っている出版社から依頼があったんですけど、「どんな料亭でもレストランでも店を抑えるから、そういった店を舞台にした男女のラブ・アフェアを書いてほしい」と言われて、瞬時に断りました。もしそういったものを書くなら出てくる料理は日常的なもので、タイトルは瞬間的に思いついて「『食べる女』がいい」と伝えました。編集者の人に「あなたが言われた案と私の案を会議にかけてみて」と言ったんですが、それでほぼ満票獲得で私の『食べる女』の連載が決まったんです。

 

—現代は食生活やライフスタイルが多様化していると思いますが、筒井さんは現代人の食生活についてどのような印象をお持ちですか?

筒井:自分が今なにを食べたいかがわかるって、とても素敵なことだと思うのね。どんな服を着たいかとか、どんな恋愛をしたいかもそうだけど、そこを突き詰めるとどんな世界を望むかに繋がってくるんです。そういうことがわからず、なんとなく食べちゃっている人が多いのかな。本当に食べたいものならジャンクなものだっていいと思うし、「今日はこってりしたものが食べたい」という気分なら食べたらいいし。それがわかるためには細胞が元気じゃないとダメだと思います。

 

—『食べる女』の中に出てくる女性たちは食を楽しんでいる人が多く、自分が求めるものについて自然と把握していそうです。

筒井:特に“モチの家”での食事は、ちゃんと鰹節を削るし、ご飯は一回食べるごとに炊くし、私もやっているんですけどぬか漬けは作るしで、ちゃんと手触りのある暮らしをしていて。手づかみで食べるシーンもありますけど、そういった“フィジカル”が大切じゃないでしょうか。手づかみで感じる美味しさもありますから。

 

—映画は豪華な出演者が集結しましたね。

筒井:キャスティングは全然時間がかからなかったんです。小泉さんは昔からなんとなく出演の約束があったんだけど、他の人たちもすんなり快諾してくれて。(鈴木)京香さんは「もっとたくさん出たかった!」と言っていたけど(笑)。

 

—作品を拝見して、人間ごとの色んな生き方を肯定してくれる映画だなと感じました。

筒井:あぁ、それは嬉しい。キャストの誰かが自分に似ていたり、どこかに共感できる点が見つかると思います。小泉さんも最初に試写で観た時に、「(沢尻)エリカさんの役と(広瀬)アリスの役みたいな女性は世界中にいるだろうなぁ」って言っていましたね。

 

—食と性やセックスを紐づけて描写しているのも印象的で。「医食同源」という言葉のように、食は性と切っても切れない関係なんですよね。

筒井:性も人間が生きていく上で当たり前のことですからね。セックスも食べることも大事なことです。

 

—この作品を通して観客に伝えたいことはなんでしょうか?

筒井:メッセージというほどではないんですが、観終わってから「美味しいものをちゃんと食べよう」とか「誰か好きな人ほしいな」とか、パートナーがいる人は「少し優しくしてあげよう」とか、そういった感情を残せたらいいなと思います。

■映画『食べる女』公開中    http://www.taberuonna.jp/

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