【家づくりのお宅訪問】職人技や奥さまのアイデアが随所に生きる木の家には、お手本にしたい魅力があふれていた『サン建築工房』
知識や経験を踏まえて選んだ上質な木の家づくり
玄関に入った瞬間、フワッと香る小国杉の良い香り。次に目に入ってくるのは、建具の惚れ惚れする仕上げの美しさだ。いい家づくりとは、ただこうして五感で感じる心地よさが証明してくれるのだなと気づかされる。
格子戸を開けると、広々したリビングの天井部分にはタイコ梁と呼ばれる梁を隠さずそのまま見せる装飾が存在感を放ち、思わず「わぁ」と声が漏れる。職人による高い技術が見て取れる、木造家屋ならではの手法は、ご主人が取り入れたかったという。ご夫妻に希望するコンセプトは「シンプルで上質な木の家」。その結果、仕事柄、住宅の知識や経験も豊富なご主人のアンテナに引っかかったのが[サン建築工房]だった。
自分で片付けができるよう収納アイデアもプラス
ご主人の一番の要望は、タイコ梁を取り入れた開放感のあるLDKと、仕事を終えてゆったり入れるお風呂。ウレタンの断熱材を使うなど機能性にこだわった。奥さまは「一番には、キッチンから見守れるよう子どもたちのカウンターをリビング周りに持ってきたことですね」と話しながら、仲良く絵を描くお嬢さんたちを優しく見つめる。加えて、生活スタイルを考慮した動線や片づけを意識した暮らしのアイデアを随所に散りばめた。
例えば、玄関から入って左手にレイアウトしたキッチンは、リビング側にも収納できる造作のカウンターを採用。「棚の一角に、子どもたちが自分でごみを捨てられるようにゴミ箱のスペースも作っていただいて設置しています。キッチン周りもスッキリ気持ちよく使いたかったので、シンクには1日分の生ゴミが入るだけの小さなごみ箱だけをつけて、1日の終わりには勝手口のごみ箱へ捨てるようにしているんですよ」。
暮らしやすさは、気持ちの面から考えてみると見えてくることもあると気づかされる。脱衣所や子ども部屋には専用の収納ボックスを置き、親子でできる整理整頓を実行している奥さま。自然と浮かんできたアイデアだそうだが、お子さんへの愛情が住まいのあちこちに散りばめられていた。
1階を生活の中心に自然体で暮らせるわが家
「家族が集まるリビングを主体に、1階に生活の基盤を置き、完結するような間取りを意識しました」というご夫婦のリクエストを叶えたA邸。2階へ上がる手間を省き、1階の脱衣所で部屋着類の着替えが済むよう、一人ずつ専用の収納スペースを確保したり、トイレや洗面室など、家族がすれ違っても十分なゆとりのある住空間が計算されている。意識せず「自然体で暮らせる」日常は、快適な家づくりであることの証拠でもあるだろう。
デザイン性の高さも際立つ。明かり取りを兼ねた格子戸、カーブで動きをつけたスケルトンの階段が空間に広がりを生み、アクセントにも。これにご夫婦が選んだ照明やダイニングチェアの黒色がよく映える。木の柔らかな質感を引き締める効果と共に、ダイニングのペンダントライトや間接照明を合わせることで、洋のモダンさもミックスされたスタイルは、コーディネートの参考にもなりそうだ。
子どもたちが教えてくれた楽しく快適な住み心地
2階は広いウォークインクローゼットのある主寝室と子ども部屋をメインに構成。「オンとオフの切り替えを大事にしたいので、仕事は極力持ち帰らないようにしたいのですが」と話すご主人の書斎も備えた。
「住み心地ってやっぱり大事だし、違うんだなって実感します。というのも、前の賃貸マンションだと冬は寒かったので、子どもたちが朝起きるのにぐずっていたんですね。でも、今は自分からすんなり起きてくるので、この家は快適なんだなということがわかります」と奥さまは嬉しそうに笑う。
株式会社 サン建築工房
[所]福岡県北九州市小倉北区大手町3-1
[☏]0120-362-732
※この記事は「ふくおか・さが 家づくりの本No.50」より抜粋して記載しております。