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シティ情報ふくおか初のウェブ小説連載 三崎亜記氏作「博多さっぱそうらん記」第十二話

「おばあちゃん!」
「あれは、横溝さん!」
二人同時に声を上げ、傘鉾から飛び出した。
「えっ? おばあちゃんって、横溝さんが、かなめのおばあちゃんなのか?」
名字が違うので、今まで気付かなかったのだろう。だけど今は、そんな説明をしている場合じゃなかった。
「おばあちゃんば救わんと!」
かなめが叫んだ。博にとっても、かなめのおばあちゃんは、相談に乗ってくれた恩人だった。
「ねえ、博君。おばあちゃんば助けるために、協力してくれんね」
博はパレードを見つめて、黙って頷いた。
「横溝さんに何かあったら、会長に申し訳がたたないしな」
まずはこの無限パレードを終わらせるために、共同戦線を張ることになった。博と手をつなぐ。これで、傘鉾の中に入らないでも、マイヅル様の声が心に響いてくる。
「早く枡形門ば開けて、封鎖ば解かんと!」
「だけど……、どうすればいいんだ?」
自分で驛長に進言した策のくせに、それを解除する方法は思い浮かばないようだ。
「そうだ! 博多大仏が門を塞いどるとやったら、福岡大仏さんが対抗すればよかやないね!」
福岡大仏は、博多の東長寺にある、日本最大級の木造大仏だ。
――そりゃ良かばい。あんたたちは、一月の陰の玉の玉せせりで、怨念に封じられとった大仏さんば助けたとやったな。福岡大仏ば動かせたら、助けになってくれるかもしれん。ばってん……
「ばってん、何ですか? マイヅル様?」
――福岡大仏ば動かすには、ハンの者たちの力が必要たい――
博多市の怨念が満ちている今、「福岡」の名のつく大仏は動きを封じられている。ハンの者たちの羽ばたきで、「福岡の気」を送らなければ、福岡大仏は動き出せないのだという。
「でも、ハンの者は博多の包囲の外におるとでしょう?」
博多部はすべて封じられ、外からは侵入できない。
――封鎖ば、一時的でもよかけん、少しだけ破れたら、そこからハンの者たちば中に入れることができろうばってん……
それを見つけ出すのが、二人に課せられた使命だった。
「博君の、無駄に頭に詰め込んだ博多の知識ば総動員したら、カタハネと驛長の目を盗んで、外から入れるっちゃないと?」
「無駄に詰め込んだって……」
「ここで役に立ったら、無駄じゃなかったってことたい。ほら、頑張って!」
「そ……そんなこと、急に言われてもなぁ」
博は、自信なげに頭をひねっている。
「早よせんね! 福岡大仏とハンの者が出逢えるごつせんと……」
かなめの言葉に、博が何かがひらめいたように顔を上げた。
「出逢える……出逢える……! そうだ、あの場所の、あれが使えるかもしれない! こっちだ、かなめ!」
博と共に走る。傘鉾のマイヅル様もついてきた。
「ここって……」
中洲の歓楽街から、天神方面へと抜ける橋だった。その橋ももちろん、福岡部との境界線にあたるので、透明な「壁」に妨げられ、渡ることができなくなっている。
「この橋は、福博であい橋。福岡と博多が出会う場所だから、そう命名されたんだ。この橋には、博多側の象徴として『三人舞妓の博多人形』の像が、そして福岡側の象徴として、『黒田節』の杯と槍をモチーフにしたパラソルが置いてある」
確かに、橋の上の休憩所のパラソルは、杯と槍をデフォルメしたものだ。
「あの槍で、ハンの者たちが力を合わせて押したら、結界を一部分だけでも破れるかもしれないぞ」
マイヅル様はさっそく、封鎖の外のハンの者たちに、自らの「声」を伝えている。しばらくすると、ハンの者たちが、であい橋の福岡側に集まってきた。封鎖の外からは、中の様子は見えなくなっているようだ。ハンの者たちは、「槍」をパラソルから取り外して、封鎖に向けて突き立てている。
何度も試みたが、封鎖の透明な壁は、槍をはじき返している。
――封鎖ば破るだけの力はなかごたるな――
「俺たちが後押しすることもできないしな……」
「後押しができんとやったら、こっちから引っ張ってやることはできんとね?」
「考えなしに言うなよ。封鎖があるから、引っ張れっこないだろう?」
博が反論する。かなめは封鎖の反対側を振り返った。中洲を抜けて川端通商店街も横切った先には、冷泉公園がある。
「黒田節の槍ば引っ張るとやったら、黒田家の力があればいいっちゃない?」
「それは……、そうかもしれないけど、都合良く、そんなものがこの博多部にあるわけが……」
「博君、マイヅル様も、こっちに来て!」
かなめは冷泉公園に向けて走った。工事現場の看板の前だ。
「ほら、この写真ば見て。ここにあった噴水と花壇、黒田家の藤巴の家紋に、似とると思わん?」
博は首をひねって、壁の隙間から工事現場をのぞき込んだ。
「確かに、写真は藤巴の紋に良く似てるけど、もう工事で花壇は撤去されてるみたいだし、無理じゃないかなぁ……」
――いや……。何とかなるかもしれんばい――
傘鉾のマイヅル様と共に、壁の中の工事現場に入り込んだ。
――私に残った力で、この場所だけば、一年前に戻してみるばい――
工事現場の中心で、傘鉾がクルクルと回りだした。傘鉾の回転が速まると共に、地面の下から、一年前までここにあった、藤巴の紋の形の花壇の姿が浮かび上がった。それは、マイヅル様の力によって、ほのかに光を帯びていた。
――こげんして工事で囲ってあるとも、カタハネたちの目くらましになって好都合たい――
マイヅル様は、効果を測るように傘鉾を揺らした。
しばらく待った。だが、封鎖が破られた様子はなく、相変わらずシュプレヒコールが続いている。
――今の私の力じゃ、これが精一杯たい。この藤巴の刻印自体に力ば発揮させんと、槍ば引き寄せられんごたるな――
「そんな……」
万策尽きてしまった。おばあちゃんは今も、抗うこともできずに踊り続けているのだろう。かなめは思わず、涙を流した。
「かなめ……」
「な、何ね、泣きよるっちゃなかよ。めぇのはまから雨が降ってきただけたい」
福岡市の西区に姪浜がある。福岡の雨は、まず姪浜方面から降りだすので、泣いているとおばあちゃんに「あらあら、めぇのはまから雨が降ってきたばい」と頭を撫でられたものだ。実際、ぽつぽつと雨が降りだしていた。どんたくに雨はつきものだ。
「めぇのはまから雨が降る……か」
博は何かを思いついたように、雨が降る空を見上げた。
「人の出入りはできないけど、風や雨は、封鎖を越えてこっちに来てるな……」
博は、傘鉾のマイヅル様を振り返った。
「マイヅル様、この藤巴を、黒田家ゆかりのもので補強したら、力を増す事ができるんじゃないか?」
――そりゃあ……、やってみる価値があろうばってん、いったい何ばするつもりな?
「舞鶴公園では今、藤の花が満開のはずだ。その花を風に乗せてここまで運ぶことができたなら、藤巴の家紋も力を得られるんじゃないかな」
舞鶴公園は、かつての福岡城にある公園だ。しかも藤巴の紋の元となった藤の花だ。効果は絶大だろう。
――そりゃ良かたい。ハンの者たちには入れんでも、藤の花だけやったら、風に乗せてここまで運ぶことができるやろう。ハンの者たちの片方だけの羽も、自分たちば飛ばすことはできんばってん、藤の花やったら、空高く巻き上げることができるやろうたい――
傘鉾の中のマイヅル様は、さっそくハンの者たちに「声」を届けているようだ。
「初代藩主長政公の父、如水が幽閉された時に、窓から見える藤の花に希望を託したからこそ、家紋は藤巴なんだ。藤の花は、封鎖を破る力があるはずだ」
しばらく、博と二人で、小雨の降る夜空を見上げ続けた。
「見て、博君!」
風に乗って、藤の花がひらひらと舞い降りてきた。
――あれば導くくらいの力は、私にも残っとるたい――
マイヅル様の「力」の導きで、藤の花が、花壇の上に降り注いだ。藤の花に覆われ、名実共に「藤巴」となった花壇は、かなめにもわかるほどに光を増して行った。
――博とかなめよ。二人で、であい橋まで戻ってくれんか――
藤巴の中央に立って、マイヅル様が言った。
――私はここにおって、藤巴の紋に集まった力のすべてば、橋の上に送り続けるたい。何とか、ハンの者たちば、中に入れてくれんね――
「でも、マイヅル様、ここで一人でおるとが見つかったら……」
――そん時は、私は今度こそ、存在すべてば消されてしまうやろうたい――
「そげなこと……!」
躊躇するかなめだったが、傘鉾が急かすように揺れる。
――一か八かの賭けばせんと、この難局は乗りきれんばい――
声だけだが、その覚悟は痛いほどに伝わった。
「行こう、かなめ。早いほうがいい」
博に促され、二人でまっすぐ、であい橋に向かった。
であい橋の向こうでは、ハンの者たちが封鎖に必死に槍を突き立て、破ろうとしていた。
「よか? 博君」
かなめは博と手を携えて、槍の穂先に向けた。藤巴の紋に集まった力が、かなめと博の手を通じて、槍を引っ張る。槍が、透明な壁に少しずつめり込んでいった。ハンの者たちの押す力に、花壇の引っ張る力が助力し、少しずつ、槍が押し込まれてゆく。
そして、ある瞬間、槍が封鎖を突き抜けた。
「今のうちたい!」
隙間から、羽を折り畳んだハンの者がなだれ込んできた。急かしたが、十体ほどが通り抜けた頃、穴は再び塞がってしまった。
「ああ、かなめさん。今回もあんたが助けてくれたとか!」
「博さん、あんたはカタハネ側に寝返ったとじゃなかとな?」
封鎖の外にいたハンの者たちからは、今までかなめたちの姿は見えていなかったのだ。
「話は後だ! カタハネたちは橋の上の枡形門を、博多大仏を復活させて守りを固めている。対抗できるのは、福岡大仏だけだ」
「わ……わかった。とにかく、東長寺に向かうばい!」
福岡大仏に向けて走りだす。冷泉公園は、東長寺への通り道だ。
「カタハネたちが!」
工事現場の囲いを、カタハネたちが取り囲んでいる。藤の花が舞い降りたりしたので、異変に気付かれたのだろう。
「ちょっと、あんたたち、待たんね!」
ハンの者たちと共に駆け込んだ。カタハネたちは、形勢不利とみたのか、散り散りに逃げ去った。
「この傘鉾は……?」
「あんたたちに声ば届けよった人たい」
「えっ、この人が……?」
ハンの者たちは、まだ、マイヅル様の記憶を失ったままのようだ。
「今はそれよりも、福岡大仏さんば動かすとが先たい!」
傘鉾のマイヅル様も共に、東長寺に向かう。
ハンの者たちが、片方だけの羽を、大仏に向けて動かした。巻き起こした「福岡の気」をはらんだ風が、福岡大仏の魂を呼び覚ましたようだ。半眼の目が、ゆっくりと見開かれた。

「福岡大仏さん、手伝ってもらえるね?」
一月の「玉せせり」で、博多市の怨念に覆われて力を封じられた福岡大仏を、かなめと博が助けた。それを福岡大仏は忘れていなかったようだ。木製の大仏は、巨木が軋むような音を立てて立ち上がり、ゆっくり歩きだした。さすがの無限パレードも、大仏の前では人垣が崩れ、枡形門に向けて花道ができあがった。門の前で待ち構えていた博多大仏と、福岡大仏ががっぷり四つに組む。巨大な木と金属がぶつかり合った衝撃音が響き渡り、那珂川を渡る橋がぐらぐらと揺れた。
「福岡大仏は、座った高さは約十一メートルで、重さ三十トン。かたや博多大仏は、明治の頃には、奈良、鎌倉に次ぐ大仏様ってことで、観光客を集めていたんだ。さて、どっちが強いんだ?」
さすがの博も、どちらの大仏が強いかなんて知識は持ち合わせていない。二体の大仏は、力が拮抗しているのか、押しつ押されつを繰り返す。
「……あの人たち、何ばしよると?」
博多大仏の周りで、怨念に操られた女性たちが、バッグから何かを取り出した。お化粧に使うコンパクトだ。その鏡で街灯の光を反射させて、博多大仏に向けている。
光をあてられると、博多大仏が、ぐんと力を増した。
「ど……、どげんなっとると?」
「そうか……。博多大仏は、明治の頃に、女性のいらなくなった青銅製の手鏡を集めて鋳造されたんだ。だからああやって、女性の鏡の光の力をエネルギーにして、動いているんだな」
「博君、冷静に解説しよらんで、対抗策ば考えんと。福岡大仏が負けっしまうよ!」
「そんなこと言われてもなぁ……」
相変わらず、博にひらめきを求める方が間違いだった。
福岡大仏が苦戦している。喉輪で追い詰められ、橋の欄干から突き落とされそうになって、何とか持ち直す。相撲の土俵際のような対戦を見守るうちに、おかしな事に気付いた。
「なんか、一定の時間だけ、福岡大仏が押しとる気がせん?」
「そう言われたら、そうだな」
博がスマートフォンのストップウォッチで、時間を測る。
「博多大仏が押す時間が二分、福岡大仏が力を取り戻すのが三十秒ってところだ。こんなに規則的なのには、何か理由がありそうだな」
かなめが無い頭をひねっても、その理由はわからない。
「橋を渡ったら、天神に着くのにな。天神の地名の由来になった、水鏡天満宮が助けてくれればいいのに……」
博がつぶやく。博多リバレインの裏手にあるのは、菅原道真公が博多に着いて初めて鏡を見たという鏡天満宮で、福岡側にあるのが、水の上に自分の姿を映したという水鏡天満宮。よく似た名前で、少しややこしい。
「もう! 天神様やったら、通りゃんせ、通りゃんせで、するっと通してくれたらいいとに!」
「通りゃんせ……? きっとそれだ、かなめ!」
博が叫んで、背後で見守っていた傘鉾を振り返る。
「マイヅル様、封鎖の外にいるハンの者に、西鉄福岡駅の前に行くように言ってくれ。渡辺通りの横断歩道の、通りゃんせの誘導音の間隔を調べるんだ」
歩行者が多い横断歩道は、目の不自由な人のために青の間だけ誘導音楽を流す所がある。西鉄福岡駅前の横断歩道は、「天神」の中心なので、音楽は「通りゃんせ」なのだ。
結果はすぐ伝えられた。
「思ったとおり、横断歩道が青になって、通りゃんせが流れている時間が三十秒だ!」
「それじゃあ、福岡側から聞こえて来る通りゃんせの音楽が、福岡大仏に力ば与えてるっていうことね?」
それだったら、もっと近くで聞かせてあげればいい。幸い、福岡大仏のすぐ後ろには、どんたくのアナウンス席があって、マイクとスピーカーが完備されている。司会者や関係者もどんたくに巻き込まれて、席はもぬけの殻だ。かなめはマイクを握った。

「通ぉ~りゃんせぇ 通ぉ~りゃんせぇ~
こぉ~こは どぉ~この 細道じゃぁ~
天神~様の細道じゃぁ
ち~っと通してくだしゃんせぇ~」

今時の若者は、メロディはわかっても歌詞は知らない。だけどおばあちゃん子のかなめは、子守歌代わりにいつも歌ってもらっていたので、良く覚えている。
「通りゃんせパワー」で、福岡大仏の力が強まった。押され負けた博多大仏が、枡形門の扉に背中を押しつけられた。少しずつ、門が押し広げられてゆく。門の向こうにいるハンの者たちが羽を動かして、隙間から「福岡の気」を送り込んだ。その風が怨念の瘴気を吹き飛ばし、周囲の人々が、「博多市の怨念」の影響から脱する。
そうして、一人、また一人と、かなめと声を合わせて歌いだす。歌声が広がるにつれて、福岡大仏は、少しずつ、力を増していった。
「門が、開いた!」
「通りゃんせ」の大合唱と共に、枡形門の扉が全開になった。その瞬間、枡形門は実体を失い、霞のように消え去った。そして、福岡大仏と博多大仏も。
「な……なんね、これは。いつのまに、夜になったと?」
着物姿でしゃもじを手にしたおばさまたちが、道路に立ち尽くし、呆然として周囲を見渡している。
本来ならば、どんたくはとっくに終了の時間だった。どんたくの間だけの「羽片世界」と現実の博多とが交わる時間を、枡形門による博多部封鎖で引き延ばしていたのだ。枡形門が消えたことで、現実世界の秩序の中に戻ったようだ。
そこには、踊り疲れてへたり込むおばあちゃんの姿もあった。
「おばあちゃん!」
「ああ、かなめね。もう、疲れっしもうた。半日くらいぶっ通しで踊ったごたる気のするばい」
かなめが差し出したコーラを一息で飲み干して、ようやく人心地ついたばあちゃんは、周囲を見渡した。
「あら、かなめ、博君と仲直りできたごたるね?」
博と並んだかなめの姿に、おばあちゃんは満足そうに頷いた。
どんたくの無限パレードに巻き込まれた人たちが、次々に正気を取り戻していった。
「良かった、これでおばあちゃんも、大丈夫やね」
かなめは、ほっとして胸をなで下ろした。博多の街を、怨念から守ることができたんだ。
「やるやない、博君!」
「かなめこそ!」
ハイタッチして、二人同時に我に返り、顔を逸らした。仲直りしたわけじゃないんだ。それに、喜んでばかりもいられない。
「博君、これで万事、一件落着なんかな?」
「表の世界の秩序は戻ったみたいだが、裏の羽片世界はまだきっと……」
門の消失と同時に、傘鉾のマイヅル様とハンの者たちも、姿を消していた。二人、頷きあって、手をつないだ。
――博とかなめ、良くやってくれた――
マイヅル様の声だ。
――あんたたちが力ば合わせてくれたけん、どうにか、枡形門の「通れん門」の封鎖ば破ることができたたい――
「もう、裏の羽片世界も大丈夫とですか?」
――うんにゃ。封鎖が解けるまでに、博多っ子たちから、大量の博多市の怨念が集められてしまったたい――
「それやったら、どげんしたら……?」
――現実世界と羽片世界の融合は収まったばってん、羽片世界での事態は今も進行中たい。二人とも、こっちに来てもらうばい――
目の前に、半透明の姿の傘鉾が浮かび上がった。博と共に、傘鉾の中の闇に飛び込む。次の瞬間、傘のまま、空中に浮かび上がったような浮遊感があった。
――さあ、着いたばい――
「ここは……?」
傘鉾を出た先は、旧博多驛のあった公園の前だった。
「な、なんね、これ……」
かなめと博は、呆然として立ち尽くした。

 

続きはこちらから→第十三話

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「博多さっぱそうらん記」とは

福岡県出身で現在も福岡に在住する作家、三崎亜記氏による新作SF小説。

1890 年の「福岡市の名前を巡る騒動」と2016 年に起きた「博多駅前道路陥没事故」から着想を得て、「博多を名付ける勢力が勝っていた世界」=「羽片世界」がもし福岡市にあったとしたら、その勢力が現実の福岡をも転覆しようとしているために陥没事故が起こったとしたら、という物語を紡ぎだしました。仮想の「羽片世界」の面白さはもちろんですが、「せいもん払い」「どんたく」「玉せせり」など福岡独自の風習も物語の骨子に組み込まれて入るため、ご当地小説としても楽しんでいただける作品です。

 

著者について

三崎亜記(みさき・あき)
福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒業。

2004 年に『となり町戦争』で第17 回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。デビュー作と『失われた町』『鼓笛隊の襲来』で直木賞の候補となる。そのほかの作品に「コロヨシ!!」シリーズ、『バスジャック』『廃墟建築士』などがある。

 

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