【老舗料亭の趣きとおもてなしはそのままに】味と空間、景色と時間のすべてがご馳走。

2022年01月07日 公開

白金の老舗料亭『和多伴』を、日本伝統の美意識「侘び寂び」の心を活かし、ミニマリズムの形で改装、イノベーティブとトラディションを融合させたレストラン。佐賀県にある『古湯温泉ONCRI』がプロデュース、エグゼクティブシェフの吉武大輔さんが腕を振るう。

築百年を超える建物は、ストイックに削ぎ落とした中に、昔のまま残された意匠が存在感を放つ。特筆すべきは、四季折々に変化する日本庭園が見渡せる大きな窓。世間と隔絶された感覚を味わわせてくれる屏風のようで、店全体を凛とした空気が漂う。

『ONCRI』のアンテナショップとしての役割を併せ持ち、料理に使うのは佐賀新鮮な野菜と肉類、有明海と玄界灘の魚介類。美しく（しかも美味しい）料理が有田焼の器の上で輝いている。香りがパワフルで、聞いただけでは味の想像がつかないけれど、ひと口食べれば驚きが待っている、そんな力強い料理の数々に会話も弾む。

甘鯛の松笠焼きに、甲殻類のソースを添えて。ゴボウパウダーを加えて香りの三重奏！

料亭のおもてなしの精神を継承しながら、サービスは燕尾服に白手袋の伝統的なフレンチレストランのそれであり、見事な日本庭園からふと目を反対方向に向けると、オープンキッチンのライヴ感も味わえる、和と洋、過去と現在を自在に行き来しながら、連綿と受け継がれるおもてなしと唯一無二の革新的総合芸術を、ぜひ体感して。