【子育て特集】後悔しない家づくりそのコツをプロに聞く!「家づくり座談会」
リノベーションのメリット 資金計画のポイント
マイホームを持つにあたり、最近は新築のほかにリノベーションも注目されていますよね。新築はイメージが付きやすいかと思いますが、リノベーションのメリットを教えていただけますか?
後藤さん:ご存じの方も多いと思いますが、基本的にリノベーションとは大規模な建物改修のこと。物件によってはフローリングや天井など、状態が良い部分を生かすことで予算を削除することができます。その分、別の所にお金をかけることができるのがリノベーションのメリットだと思います。「デザインにお金をかけたい」「(家事楽など)機能性を充実させたい」など、自分やご家族にとって何を大切にしたいかを考えながらカスタマイズできるのもリノベーションの魅力ですね。
河原さん:ゼロから家を建てる新築工事に比べると、既存物件を改修するリノベーションの方が費用を安く抑えられるケースもあると思います。というのも、リノベーションの場合は物件の価格や工事内容の交渉がしやすいので。物件の価格を抑えた分だけ内装にお金をかけ、新築にも引けを取らない魅力的な家づくりできることもメリットだと思います。
それと、交通アクセスを重視する方におすすめかもしれません。土地や物件は利便性の良いところから埋まっていくので、これから新築を建てるとなるとどうしても郊外になりがちなんですよ。リノベーションであれば、駅近にマイホームを持てる可能性も高いと思います。ただ、福岡市内では都心になると中古マンションでも価格が高騰しているようなので、条件に合う物件探しはそう簡単にはいかないかもしれませんね。10年前に購入したマンションの価格が今とさほど変わらない、なんて話も聞きますよ。ですので、資産として都心のマンションを持たれる方も多いようです。
東さん:リノベーションする物件は「築何年までならOK」など決まりがあるんですか?
河原さん:決まりは特になく、予算や工事の規模によって適する築年数は変わってくると思います。“スケルトン”といって、建物の骨組みだけにする大規模なリノベーションになると築年数は関係ありませんが、その分費用がかかります。逆に1部屋だけの改修や、水回りのリフォーム工事だけの場合は築年数が浅い方が向いているでしょうし、そこまで費用は掛からないと思います。
費用の話になりましたが、家づくりの資金計画を立てるポイントは何でしょうか?
後藤さん:僕自身、中古マンションを購入してリノベーションしました。その際ローンを組んだのですが、自分が毎月支払える金額のすべてを家に注いでしまうことで生活に負担がかかることを懸念しました。せっかくマイホームを持つのに、ローン返済のために毎日節約して我慢することばかり…なんて暮らしは楽しくないですよね。そこで僕は、月々のローン返済額を以前の家賃と同じくらいに設定しました。
新築もリノベーションも、まずは自分にとって無理のない予算を立てて、その額に見合った物件や土地を探して家づくりを進めていくのがいいと思います。
子育てのお困りごとを家づくりで改善するには
お子さんとの暮らしで困っていること、家づくりで解決したいことはありますか?
東さん:生活の“音”ですね。コロナ禍でお家時間が増えて、幼稚園や小学校も休園や休校になったじゃないですか。その間にうちの息子が激太りしてしまって(笑)。でもマンションだから音が気になって家の中で運動することもできないし、遠出もできないので親子でストレスが溜まってしまって。家の中で子どもたちをどう楽しませるかが課題になっています。あとは“汚れ”かな。土汚れやお菓子の食べこぼしなんかをサッと掃除できる土間にも憧れますね。
橘さん:土間って何ですか?
後藤さん:玄関土間と言われるものが多いのですが、下がコンクリートやモルタルになっていて、家の中でも土足で歩けるスペースのことを言います。マンションでも土間を取り入れる方も増えていて、キャンプ道具や自転車を置いて趣味のスペースに活用される方もいらっしゃいますよ。
橘さん:私が家づくりで解決したいことは日用品の収納問題ですね。子どもが生まれてからおもちゃが増えてしまって、すごく散らかるんですよ。収納がたくさんあればサッと隠すことができるので、生活感を無くすことができそう。
そういった子育て世帯の家づくりで、実際に取り入れることが多い設備や仕様はありますか?
河原さん:収納の話で言うと、家族全員の服や荷物を収納できるファミリークローゼットを設けることが多いですね。
後藤さん:ストック食材を収納できるパントリーも人気ですよ。冷蔵庫やゴミ箱を隠して生活感をなくす使い方をされる方も多いです。
河原さん:家族のライフスタイルは年々変わるので、“とりあえず”の空間を作っておくのもいいかも。「クローゼット」「こども部屋」などとあらかじめ決めるのではなく、何もない場所を設けておいて、後から自分たちで棚を置いてカスタマイズするのも楽しいと思いますよ。
東さん:それ、いいですね!うちの息子は10歳と2歳なので、使うおもちゃや用具が全然違うんですよね。子どもたちの成長に合わせて変えられる部屋があるのは便利だと思います。
家づくりを共に進める会社選びのポイントは?
家づくりにはハウスメーカーや工務店といったパートナーとの関係性も重要になると思います。鹿谷さんはどうやって会社を決めたのですか?
鹿谷さん:住宅展示場に行って、3~4社の工務店に話を聞いたかな。最終的には営業さんの印象で決めました。途中までA社がいいなと思って進めていたのですが、最後に話を聞いたB社の対応がすごく良くて。急遽変更して混乱させてしまったかも(笑)。
東さん:長く付き合うことになるので、アットホームな人や会社を選びたいなと思います。家づくりって「金額はここまで決める」「デザインはここから選ぶ」みたいなあっさりしたものじゃないじゃないですか。私は気に入ったデザイナーさんがいて、その人で家づくりを依頼する建築会社を決めたんです。最初はデザインが気に入ったのですが、話し合いを重ねるうちに、土地に対する間取りの作り方や日当たりなどを丁寧に考えてくださって。1つのことに対して10を考えてくれるところがありがたかったですね。そんな風に、私たち家族のことを親身になって考えてくれるところに頼みたいと思います。
橘さん:「コンクリート打ちっぱなしのおしゃれな家」とか「自然素材を使う家」などいろいろありますが、会社によって得意・不得意な分野があるんですか?
河原さん:あるでしょうね。ですので「建設の会社だったら何でもできる」と思ってすべてを求められるのは厳しいかもしれません。もちろん当社にも不得意な分野がありますし、逆に別の会社が当社のようにしたくてもできないこともたくさんありますから。
東さん:私たち世代だったらインスタやクチコミで会社の情報を調べることが多いんですが、そういった得意・不得意なことって実際に会社の人の話を聞かないと分からないですよね。「ここは断熱がこれくらい得意」とかグラフ化してほしい(笑)。
上手な会社選びのポイントや、理想の家づくりを成功させるコツを教えてください。
後藤さん:何を重視するかで会社を選ぶといいのかなと思います。たとえば当社はデザイン性とコストの両立を目指しているのですが、「見た目よりも価格を抑えたい」「トイレだけ交換したい」という方であれば、量販店タイプのリフォーム会社さんの方が良いかもしれません。どんな会社にも得意と不得意はあると思います。
河原さん:その会社が作る家の性能面をチェックするのもいいでしょうね。これから電気代は下がることはなくても上がることが予想されます。断熱材やペアガラスなどの性能面に関して配慮しているかどうかも、会社選びの選択のポイントに入れるといいかもしれません。
鹿谷さん:私も家づくりでは断熱にこだわりました。特に日当たりは気にしましたね。だから土地を探す時は昼も夕方も現地に足を運んでチェックしたんですよ。
後藤さん:あとは家づくりのメリットだけでなくデメリットに関してもしっかりと説明してくれるかどうかチェックするのもいいかもしれません。どちらも説明してくれる会社の方が信用できると思います。
東さん:デメリットって突っ込んで聞いてもいいんですか(笑)?
河原さん:大丈夫だと思いますよ!というのも、デメリットに関してもちゃんと理由があるからです。たとえば当社は家づくりに時間がかかるのですが、その理由は専任の大工が最初から最後まで一貫して家づくりを行なっているから。その旨をご理解いただいた上で契約していただきたいので、デメリットになり得ることも最初にしっかりと説明します。そういう意味では、会社選びの際に裏方の情報まで踏み込んで聞くのもいいかもしれませんね。「どんな職人さんが関わっているんですか?」と聞くだけでも、その回答次第で丁寧な仕事をしているかどうか見抜くことができるのでは。遠慮せずに、疑問や不安に思ったことは何でも聞いていいと思います。
それと、土地探しの時間を有効活用することもポイントですね。半年や1年くらい時間がかかることも多いので、その間の営業やコーディネーターとのやり取りで対応や人柄が分かってくると思います。そこでじっくりと人間関係を築くことで、案外家づくりって成功しやすいのかもしれません。
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