【FINA世界水泳FUKUOKA開幕1年前記念】世界水泳ブダペスト大会でソロ2冠を達成した乾選手・井村コーチも登壇!元日本代表選手による見どころも。
来年7月に福岡市で開催されるFINA世界水泳選手権2022福岡大会の開催1年前を記念した「FINA世界水泳FUKUOKA 開幕1年前トークイベント~ROAD TO FUKUOKA~」が2022年7月14日(木)に博多駅前広場にて開催された。
山笠で盛り上がる福岡の中心地、博多駅前の飾り山前に特設ステージが設置され、大会組織委員会副会長および福岡市長の高島宗一郎氏が登壇した。長法被姿で登場した高島市長は、「いよいよ来年の7月14日に世界水泳福岡大会が開催されます。日本では50万人が観戦に来て、世界では約40億人がTVで観戦する、オリンピックに次ぐビッグイベントです。素晴らしい形で世界中から多くのお客様を迎えられればと思います、皆さんどうぞよろしくお願いいたします!」と大会開催への意気込みを語った。
ゲストとしてアーティスティックスイミングの乾友紀子選手、アーティスティックスイミング日本代表ソロコーチの井村雅代コーチ、競泳元日本代表の松田丈志さん、水球元日本代表キャプテンの志水祐介さんも登壇した。
先月開催された世界水泳ブダペスト2022にてアーティスティックスイミングソロ種目で日本人史上初となる2冠を達成した乾選手は、2つの金メダルを掲げて登場した。優勝した先日の大会について聞かれると「ブダペスト大会の開催発表を聞いたときは少し動揺したのですが、ずっと今年5月に開催される予定だった世界水泳福岡大会に合わせて練習してきていたので、準備は万全でした」とコメントした。
それを聞いた井村コーチは「実は、東京五輪の試合が終わった直後の選手村で、デュエットと団体をやり切ったので、ソロに専念したいと彼女(乾選手)の方から言い出したんです」と明かし、「五輪が終わってからの約10ヶ月、トップソリストになるためにチーム一丸となってやり切りました。なので、最終演技に向かう彼女には、本当に何も言うことがなくて。49年間のコーチ人生で初めてですよ、私が何も言わないのは。やり切った彼女はとても立派です」と、東京五輪からブダペスト大会までの舞台裏を明かし、乾選手の活躍を称えた。
また、来年の本大会に向けた意気込みを聞かれた乾選手は「アーティスティックスイミングは来年から採点方法が変わります。一つ一つの技に難易度がついて加算されていく方式になるので、世界水泳の演技では、誰よりも難易度の高い技を成功させたいです。そして東京五輪は無観客で少し寂しいところもあったので、来年は、自国開催で日本の応援をしてくださっている皆さんの前で泳げるのが楽しみです!」と意気込みを口にした。
井村コーチも「来年はルールも変わりますし、彼女自身はチャンピオンとして臨む初めての大会になります。世界のアーティスティックスイミング界が、“どう進化するか”ではなく、“どう進化させてやろうか”という気持ちで、彼女が世界の主導権を握れるように、一緒に取り組みたいと思います」と熱く語った。
競泳日本水泳の活躍について、競泳元日本代表の松田さんは、「序盤は日本勢がなかなか苦戦していたのですが、最終的には男子競泳界で3つのメダルを獲得できてよかったかなと思います」と、日本選手団の活躍を振り返り、「来年は、女子は池江璃花子選手も出場されると思いますし、若手だと15歳の成田実生選手なども楽しみですね。世代交代という意味合いでもぜひ注目してください」と本大会への期待を話した。
水泳の元日本代表キャプテンで、熊本市の親善大使を務める志水祐介さんは、水球の魅力に関して、「水球は、泳ぐ、投げる、ぶつかるが揃った“キングオブスポーツ”と呼ばれるスポーツです。初めて見る人でも楽しめるような、わかりやすくて激しい展開が魅力です。また、水球選手は身体も逆三角形で、今の日本代表にはイケメン選手も多くいます。そう言った視点からも楽しめると思うので、ぜひ一度、水球を見に会場まで足を運んでいただければ嬉しいです」と水球の魅力を伝えた。
21年前の世界水泳福岡大会の話がテーマになると、乾選手からは「21年前の福岡大会で立花・武田ペアが日本人として初めて優勝したのを見て、自分もメダルを獲りたいと思い始めるようになった」と話したうえで、「そして今年ようやく、自身7回目の世界水泳でようやくメダルを獲れました。自分が21年前の福岡大会を見てメダルを目指すことになったように、福岡での世界水泳が子どもたちの夢に繋がってくれると嬉しいです」と大会に込めた決意を明かした。
井村コーチも21年前の立花・武田ペアの金メダルを振り返り、「福岡でのあのメダルが、日本アーティスティックスイミング界としては史上初めての金メダルだったんです。今いる博多駅前では号外が出るほど歴史的な瞬間でした。そんなご縁がたくさんある福岡でまた世界水泳が開催されるのは本当に嬉しいことです」と、貴重なエピソードを話した。
松田さんは2001年の世界水泳はギリギリで日本代表に入れなかったことを切り出し、「当時高校3年生だったのですが、とても悔しかったのを今でも覚えています。今思うと、そこが頑張り始めるきっかけにもなりましたし、次のアテネオリンピックで代表に選ばれることができました」と話す。
志水さんも「当時中学2年生だったのですが、会場まで試合を観に行きました。とても刺激を受けましたし、そこから日本代表を目指して練習を頑張るようになりました」と、ゲスト全員が21年前の福岡大会が自身のターニングポイントとなっていることがわかった。
イベントでは、2023年7月の世界水泳福岡大会後に続けて同年8月に開催される世界マスターズ水泳九州大会が紹介され、開催都市の鹿児島市の下鶴市長、熊本市の中垣内副市長がステージに駆けつけた。アーティスティックスイミング開催都市である鹿児島氏市の下鶴市長は、「選手の皆さんが最高のパフォーマンスができるよう準備してまいります。そして鹿児島には、芋焼酎、黒豚、桜島、温泉など、魅力がたくさんあります。ぜひ多くの人に鹿児島に来てもらい、鹿児島の魅力を体感していただきたいと思います!」と鹿児島の魅力を話した。
また、水球の開催都市である熊本市の中垣内副市長も、「熊本は“水の都”というキャッチフレーズがあり、美味しいものもたくさんあります。万全の受け入れ態勢でお迎えいたしますので、皆さん是非お待ちしております」と呼びかけた。
マスターズの魅力について、井村コーチは「マスターズは楽しむためのスポーツでもあります。80歳以上のチームで泳ぐ人や、夫婦でデュエットで出場する方々など、”スポーツを楽しむ”を実践している人々を観にきてほしいです」と話し、また志水さんは「地元の熊本で、水球の国際大会が開催されるタイミングなんてまたとないと思いますので、僕もマスターズに出場するしかないですね(笑)」と、会場を盛り上げた。
最後に、本大会への意気込みを聞かれた乾選手は、「22年ぶりの福岡での世界水泳で、新しい歴史も生まれると思うので、ぜひ会場にも足を運んでいただいて、たくさんの応援をいただきながら泳げるのを楽しみにしています!応援よろしくお願いします」と決意を語り、会を締めくくった。
本大会は、来年2023年7月14日(金)から7月30日(日)の間、マリンメッセ福岡をメイン会場に競泳、飛込、ハイダイビング、水球、アーティスティックスイミング、オープンウォータースイミングの全6種別76種目が行われる。日本で世界水泳が開催されるのは22年ぶり2回目。本イベントを行なったマリンメッセ福岡B館は水球、隣接するA館は競泳とアーティスティックスイミングの競技会場だ。