【福岡麺本2022 – vol.11】ラーメンを愛し 愛された男の道は続く『石田一龍 総本店』
純度の高い豚骨スープが
極上の「余韻」を演出!
『石田一龍』の創業者・新森龍二さんの人生におけるターニングポイントは、今から12年前、28歳の時に遡る。何をやっても続かなかった若い頃。前代の店を継いだはいいが、満足のいくラーメンが作れずに、どん底を這っていた所を救ってくれたのが、北九州の老舗『安部製麺』の代表で、現在、グループ店『石田一龍 まこと家』を経営する仲間のひとりでもある、安部大介さん。
多くのラーメン店に自家製麺を卸し、スープと麺の相性を知り尽くした安部さんが、新森さんの試作したスープを味見し、改良を重ねること7ヶ月。まさに不眠不休で生み出したのが、『石田一龍』の運命を変えた『濃厚ラーメン』だ。
豚骨とまる骨を通常の2倍の量使用し、強火で16時間炊き上げて作るそのスープは、丁寧な下処理と職人の技が結実したもの。骨を砕かぬよう繊細に大胆にまぜながら、骨の髄から旨味を引き出すことで、濃厚だが臭みのないスープに仕上げている。「食べている途中においしいのは当たり前。大切なのは余韻です」と語る新森さん。
帰り道に口の中で花開く豚骨のフレーバー。その味を思い出し、すぐにまた食べたくなる、そんな一杯が人々の心を捉えて離さない。
感謝の一杯、
納得の一杯を作る
こってりとコクのある『濃厚』と、やさしくさらりとした味の『屋台』。好みで選べる2大スープが魅力のラーメンは、熱き男たちの魂を反映するかの如く、熱湯で煮沸した熱々の丼で配される。手間暇惜しまずに作った一杯だからこそ、最高の状態で味わって欲しい、そんな思いを感じる瞬間だ。「仕込みは練習、営業は試合」ゲストが入店する時の声かけから、退店するまで全ての場面で、目配り心配を徹底するその様子は、まるでアスリートのよう。
今や、全店で約100名のスタッフを率いる新森さんの目下の目標は、社内のインフラ整備。「『石田一龍』に人生をかけてくれた仲間が、仕事もプライベートも楽しむことができて、この先何十年も働いて良かったと思える職場にしたい」と意気込む。
ラーメン職人としては一人前でも、経営者としてのこれからは未踏の地。新森さんが自身の研鑚を怠ることはない。さらに、コロナ禍や物価の高騰など、見通しの難しい時代にあっても、できるだけ価格を抑えて、安定的に商品を提供していくため、手作り餃子や「かえし」などを製造する自社工場の設立なども予定しているという。
『石田一龍』はどこまで成長するつもりなのか。しかと見届けたい。
[所]北九州市小倉南区下石田1-4-1
[☎]093-963-2650
[営]11:00~16:00 / 18:00~20:45
[休]なし
※掲載の内容は取材時のものです。取材日と記事公開日は異なる場合があり、メニューや価格、営業時間、定休日など取材時と異なる場合がありますので、事前に公式HPやお問い合わせにてご確認をお願いします。
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※この記事は「福岡麺本2022Vol.11」より抜粋して記載しております。