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【インタビュー】Fuku Spo – アビスパ福岡/平塚 悠知

MF 平塚 悠知(背番号35)

次は福岡で、愛される存在に。

 

リーグ戦も残すところあと2試合。

苦しい状況でアビスパ福岡へ加入した平塚悠知は、チームにどのような影響を与えるのか。

残留するための勝点3を確実にもぎ取り、来年もJ1で戦う姿を見せてほしい。

 

※11月号掲載分(取材・文/岩井咲里香)


水戸を愛し、水戸に愛された男

 

志知孝明、前寛之、村上昌謙、宮大樹、そして8月に電撃加入した平塚悠知。

 

今でこそアビスパ福岡の主力を担う存在だが、’19年に水戸ホーリーホックでプレーしていた選手たちでもある。そして、その水戸で指揮をとっていたのは、我らが長谷部茂利監督。

 

アビスパサポーターの間では、“長谷部チルドレン”が急上昇ワードとなった。

 

 

移籍の決め手は「上のカテゴリーでチャレンジしたいという気持ちが一番大きかった」と語る平塚選手。

 

そんな彼の決断を後押しするような、水戸サポーターの温かい言葉の数々は印象的だった。「福岡での活躍を期待しています」、「寂しいけど、これからも応援しています」、「福岡の皆さん、いい選手なのでよろしくお願いします」…。彼がどれほど水戸の地で愛されていたのか、ひしひしと伝わってくる。

 

そして、彼の移籍を祝福したのはサポーターだけではない。水戸の秋葉監督も彼の背中を押した。

 

「移籍が決まってからほとんど時間がなくて、秋葉監督とはあまり話ができなかったんですけど、『率直におめでとう。でも、これからだからな』と言われました。“ピッチの中でも自分で判断できる選手になれ”と常に監督から言われていた言葉は特に印象に残っていますし、自分のプレーにも定着していると思います」。

 

 

彼にとって、水戸ホーリーホックとはどんな存在なのだろうか。

 

「自分のキャリアをスタートしたチームでもありますし、プロになる前から練習参加もさせてもらったので感謝していますし、サッカー以外の部分でも成長させてもらいました。サポーターの皆さんも距離が近く、いろんな企画を一緒にできたことは思い出ですし、優しい言葉もかけてくれて、本当にいいクラブでした」。

 

 

目の前のことをコツコツやってきた結果

 

「兄がサッカーをしていた影響で、その試合を観に行ったり、父親とボールを蹴って遊んだりしていました」。そんな彼が本格的にプロを意識し始めたのは大学時代だったという。

 

「高校時代に1~2度、コンサドーレ札幌の練習に参加したことがあるんですけど、その時はあまり“プロ”という存在が身近に感じられなくて…。大学に入って何度か練習参加した時にやっと身近に感じられて、自分が目指すべきものが明確になったと思います」。

 

着々とキャリアを積み上げてきた平塚選手のJ1初出場となった、あの伝説のルヴァン杯準々決勝1回戦。日本で最高峰のカテゴリーで初めてプレーするとは思えない、彼の堂々たるプレーに注目が集まった。

 

「試合前は少し緊張していたんですけど、試合に入ってからは集中力の方が上回って、緊張とか考える暇もなかったです。福岡に来てすぐでしたし、コロナの影響で人も少なかったですけど、試合をしていく中でこのチームには一体感があるなと感じました。一人ひとりの声掛けだったり、試合前のロッカーの雰囲気だったり。これがアビスパ福岡というチームなんだなって体感できた試合でした」。

 

以降、ボランチとしてスタメン起用され始め、迎えたJ1リーグ第28節名古屋グランパス戦。開始早々にキーパー・永石とCB・宮が衝突し、その間に名古屋が先制。そして、記憶に残らざるを得ない“ゴール献上”などを経て、前半37分で1-3と大きくリードを許してしまった。

 

少し不穏な空気が流れていたスタジアムで、その待望の瞬間はやってきた。

 

奈良選手からの鋭い縦パスがクルークス選手へ通ると、マイナス方向へ折り返す。冷静に反応した平塚選手が左足でゴールネットを揺らし、スタジアムの雰囲気を一瞬で変えた。

 

「勝っていれば素直に喜べたんですけどね…」と語るように、ゴール後も表情を変えずどこか感情を抑えているようだった。

 

 

点が決まると、アビスパ福岡の公式Twitterはゴールを決めた選手の画像を添えてツイートする。多くの選手がガッツポーズや腕を組んでいる写真が使われる中、彼の独自のポーズが話題となった。

 

「水戸時代、9市町村にそれぞれ担当の選手がいて、その町をPRしていくという企画があったんです。自分は小美玉市という場所の担当だったんですけど、そこの子どもたちにゴールパフォーマンスを募集したら、その一つに小美玉牛のポーズがあって。そのポーズをしました」。

 

育ててくれたクラブへの感謝を忘れない彼の目標は“試合に出たら勝てる選手”。

 

「あまり先のことを考えるのは得意じゃないので、目の前のことをコツコツと積み重ねていきたい」。そう語る彼が再びゴールを決め、感情を爆発させて喜ぶ姿が早く見たい。

 

 

\プライベートに迫る質問 /

Q 福岡でこれから行ってみたい場所は?

A 糸島でBBQができる場所があるらしいので、行ってみたいですね。アウトドアもインドアもいけるんですけど、家ではYouTubeか昼寝かゲームしていることが多いですね。「スプラトゥーン3」にハマっていて、大学時代の友だちと夜に電話しながらやっています。

 

Q 仲のいい選手は?

A ユザ君(湯澤)はよく美味しいお店とか、1人でも行きやすい場所とか教えてくれます。

 

 

 

平塚 悠知

ミッドフィルダー 背番号35

生年月日 1996年4月13日

身長175㎝ 体重63㎏

出身地 北海道

北海道大谷室蘭高校で3年時に全国高校サッカー選手権に出場。卒業後は札幌大学へ進学し、北海道サッカーリーグではランク2位の14ゴールを記録。’19年、水戸ホーリーホックでプロとしてのキャリアを開始し、今年8月に完全移籍でアビスパ福岡へ

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