【インタビュー】Fuku Spo – 福岡ソフトバンクホークス/大関友久
大関友久(Ohzeki Tomohisa・背番号42)
激動の1年を過ごした左腕
心身ともに成熟した姿で育成から絶対的エースへ!
育成入団から、昨年5月に支配下登録され、今季前半は先発としてチーム最多の6勝をマーク。オールスターにも選出された矢先、左精巣の腫瘍が見つかった。今季絶望と思われていたが、術後に驚異的な回復力を見せてカムバックを果たした大関。ジェットコースターのような1年を振り返る。
プロ入り後最大の悔しさを味わって
クライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージのオリックス戦は、大事な場面で登板しながらチームに貢献できず、ファンの皆さんには申し訳なかったです。
8月に腫瘍の摘出手術を受け、復帰の過程で一度打者から目を切った方が投げやすいと感じるようになり、自然とフォームが変わっていきました。でも、すでにランナーがいる場面で登板してみると、同じ動きができない…。どういう状況でも投げられないといけないのですが、クイックモーションでは思った動きができませんでした。本当の力が試される場面で、前半戦は安定していたものが出せなかったというのは、気持ち、技術面で弱い部分があったからだと思います。これまで柱にしてきた絶対的なことの中には、変えちゃいけないこと、変えていいことがあるんですよね。秋季は、自信を持って本当に自分の力になるというものを組み合わせたり、試したりする期間にしたい。過去の自分の過程を振り返れば、自分に合うこと、大切なことが見えてくると思います。その取り組みがうまくいけば、確実に良くなると思うので、今から来年が楽しみなんですよね。
激動の1年を経験。目指す道が明確に
もともとプロ野球に余裕でなれるような選手ではなく、学生時代は甲子園や(大学野球の)神宮大会に出たことがありません。ずっと「プロ野球選手になること」が目標だったし、入団後は「活躍すること」が目標でした。最初は1軍のオープン戦に呼ばれたり、ドームで投げたりするだけでも、すごく緊張していました。それが前半戦は先発ローテーションの一角を任され、オールスターという大舞台でも先発をさせてもらいました。オールスターは、一流の方々のプレーはもちろん、集まった時の雰囲気も特別なものがありました。僕にとっても特別な時間でしたし、大きな経験です。注目されるようになったり、目指していた場所に立てたりすることが次のエネルギーになっているのは間違いなく、大きい舞台で投げれば投げるほど、目標が明確になっているのも確かです。今の目標は…口に出してしまうことに躊躇もありますが、チームで絶対的な存在になりたいということだけは、はっきりと言えます。
自主トレはドームや筑後を拠点に、単独でトレーニングを行います。重点的に取り組もうと思っているのはウエイトトレーニング。スケールアップを目指しています。斉藤和巳さんは、現役の動画を見ていたし、マウンドの姿や実力に憧れを持っていた選手。それが同じチームで選手とコーチになれるなんて、不思議な感じです。一度も話したことはありませんが、遠慮なく本気で関わらせていただきたいと思っています。
病気になって、前よりやりたいこと、やらなきゃいけないことを後回しにしなくなりました。先発でしっかり結果を残すことに集中して、キャンプや自主トレに取り組んでいきます。
プライベートに関するQ&A
Q.福岡で好きな場所
お店の名前を忘れてしまったのですが、初めて福岡で食べたもつ鍋のお店が、衝撃的に美味しく、感動したことを覚えています。もし誰かが福岡に来たら、お店の名前を聞いて、連れていきたいです。
Q.リフレッシュ方法は?
一人で音楽を聴いて静かに過ごすことです。洋楽も邦楽も好きですし、バイオリンなどのクラッシック系も聞きます。音楽を聴いていると、感性が研ぎ澄まされる感じがするんです。
<プロフィール>
2019年育成ドラフト2位でホークスに入団。昨年5月末に支配下選手登録を掴み取ると、すぐに1軍に昇格し、6月にプロ初登板を果たした。今季は先発ローテに入り、3月にプロ初勝利。8月に左精巣の腫瘍の摘出手術を受けたが、約1ヶ月半で1軍に復帰した。