やまやのヒミツ vol.12
【連載企画】やまやのヒミツ vol.12
この春、白金に堂々完成。やまやの姿勢を体現する旗艦店
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昼は『白金小径』、夜は『膳』。
九州の食と文化をここから発信
閑静な白金の街に突如現れる黒い箱のような外観。艶やかに輝く銅葺きのエントランスに誘われ足を踏み入れると、そこは驚きの別世界。外観とは対照的に、柔らかな曲線を描く空間と丸く切り取られたように見える空。緑豊かな中庭の中心には、7メートルもあるソメイヨシノが咲き誇っています。なんて美しく心地よい空間――。
思わず美術ギャラリーにでも迷い込んだのかと錯覚してしまいますが、さにあらず。ここは、2024年に創業50周年を迎える辛子明太子の『やまや』が立ち上げた『やまや総本店』です。
“食”に向き合う“やまやの姿勢”を体現できる場所として、2023年3月27日に開業した旗艦店です。施設内は中庭を囲むように店舗スペースが築かれており、2つのエリアで構成されています。一方は完全予約制で夜のコース料理を堪能できる日本料理店『膳』。もう一方が辛子明太子をはじめとしたカジュアルランチを楽しめる『白金小径(しろがねこみち)』です。それぞれ営業時間もスタイルも異なりますが、いずれにも共通するのは「Made in KYUSHU」というテーマ。「世界に誇る九州の食や魅力を全国、海外へ発信したい」との思いが、空間・料理・もてなしのすべてに込められています。
『膳』と『白金小径』それぞれの魅力や詳細は、vol.13でご紹介するとして、今回は、『やまや総本店』全体の設えやこだわり、見どころについて触れていきたいと思います。
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旧家の記憶を受け継いで――
“進化する伝統”を感じる空間
この驚きの空間を手掛けたのは、「天神中央公園ハレノガーデン」や「天神・因幡町通り地下通路」の設計でも知られる「yHa architects」。外観は“やまやの世界観をつめた箱”のようなデザインに。中庭は、丸よりも丸い形”と言われる「スーパー楕円」という図形を元に設計されています。蓋を開けた瞬間、驚きや感動、安堵感に包まれる……まるでギフトボックスのような空間演出です。さらには「Made in KYUSHU」の思いを空間でも表現。黒い外塀は大分県産の杉材を用いた焼杉、館内は福岡県田川市の消石灰を用いた漆喰壁で築かれており、中庭に植えられている樹木はすべて九州の在来種で構成されています。桜やツツジ、紫陽花など、九州の美しい木々や花々を愛でながらの食事は、都会の喧騒をしばし忘れさせてくれます。
ここ、『やまや総本店』ができる前、この場所には昭和期に建てられた邸宅がありました。門扉や擁壁に使われていた間知石(けんちいし)、中庭の梅や南天の木、地面に埋め込んだ瓦などはすべて旧家にあったものを利活用しているそうです。土地の歴史・文化・地域性を尊重して、“場所の記憶”を継承。資源を大切に活用しながら、さらに進化させることで新しい価値を生み出す――。そんなデザインの方針は、やまやの「進化する伝統」というビジョンを、そのまま体現しています。思いや職人の技が詰まった空間もしっかりと堪能したいですね。
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やまや総本店
所:福岡市中央区白金1-5-5
P:なし
https://yamaya-sohonten.jp