【東峰村】旧旅館の大広間で味わう喉越し良き外一(といち)蕎麦『手打ち蕎麦 京や』
【東峰村ってどんなところ???】
福岡県中央部の東端に位置し、2005年に小石原村と宝珠山村が合併して誕生した小さな村です。春と秋には『民陶むら祭り』が開催され、多くの焼物ファンが足を運ぶ。福岡県では2つとなってしまった村のひとつですが、2012年度にNPO法人「日本で最も美しい村」連合に加盟し、日本の原風景に出会える民陶と棚田の里を守り続けています。
東峰村巡りのランチにぜひ立ち寄ってほしいのがこちらの『手打ち蕎麦 京や』だ。主人の柳瀬 良行さんの生家である明治開業の老舗旅館を20年前に業態変更。初めはなかなか客が増えず、苦労されたそうだが、今では旨い手打ちを食べさせる店として昼時には行列ができるようになった。
京やの蕎麦の特徴は、香りの良さとつるつるとした喉越しの良さ。蕎麦とつなぎの割合に秘密があるという。「全国の生産地から取り寄せた、その時期一番うまい蕎麦の実を、毎日石臼で丁寧に挽いてそば粉にしています。そのそば粉を10割、つなぎを1割足しているので”外一蕎麦(といちそば)”と呼んでいます。」柳瀬さん。
そば粉を増やせば香りは上がるが、切れやすく触感はぼそぼそになる。つなぎの1割は数値だけではなく、香りと喉越しを両立する最適解の割合を、そば粉の状態に合わせて微妙な調整を入れながら打つのだという。柳瀬さんが開店以来、割合を研究し試行錯誤の末にたどり着いた方法だ。この割合で蕎麦を提供するようになってから、客が増えていったそうだ。
京やではその外一蕎麦を、靴を脱ぎ、もとは旅館の宴会場であった畳の大広間で食べる。これが町巡りで疲れた足にとても気持ちがいい。席はテーブル席も選べるので、畳に座るのが苦手な方にもいいだろう。提供を待つあいだ、ゆっくりと庭園を眺める時間も心地よい。
蕎麦はもちろんだが、柳瀬さんはもともと和食の料理人でもあるので蕎麦以外の一品料理もうまい。東峰村近隣を回って旬の食材を柳瀬さん自ら買い付けている。「もう体もきついんだけど、やっぱり美味しいものを食べてほしいけんね(笑)。」とにこやかに語る。仕入れと仕込みは妻のあい子さんと2人でやっているそうだ。その手間をかけた料理や小鉢がついてくる『もみじの膳』(2200円)は一番人気のメニューだ。
デザートにはあい子さん手作りの蕎麦の実入りシフォンケーキもついてくる。ふわふわのシフォンケーキとカリッとした食感の蕎麦の実のバランスが楽しく、おいしい一品だ。気に入れば持ち帰りもできるので尋ねてみてほしい。売り切れ注意!
取材の最後の方には少しご家族のお話も。柳瀬さんの息子さんはお二人とも福岡市の薬院で飲食店を営まれているそうだ。一つは蕎麦呑みの店。もちろん蕎麦は外一蕎麦。両店食べ比べてみるのもおもしろそうだ。
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手打ち蕎麦 京や
住所:東峰村大字小石原589
電話:0946-74-2008
営業時間:11:00~16:00
休:月・火・水曜
P:あり
カード/可 PayPay可