【福岡農業】コストも時間も労力も削減！最新鋭のドローンが大活躍｜福岡九州クボタ スカイアグリ

2023年08月14日 公開

スマートアグリ最前線

「生産コスト低減と

防除作業の効率アップの切り札です」

右から片峯 秀則さん、片峯 直志さん、片峯 聖二さん

「じゃあ天気がくずれないうちに飛ばしましょうかね！」

この日、農業用ドローンの取材に協力してくれたのは築上町の農家、片峯さん。

全部で３０町ほどの広大な水田の上を、ドローンオペレーターである片峯 秀則さんがデモ飛行してくれた。

国土交通省へ申請の上、実際の防除作業と同じ段取りで行なう飛行は大空を翔るイメージとは違い、稲の上２ｍほどの高さを維持しながら規則的に移動する。

的確にもれなく防除作業を行なうには液剤の散布範囲が定まるように、この高さを正確に維持できることが重要なのだそうだ。

そのライセンスは５日間集中して講義を受け、実技と筆記テストにパスすることで得られる。

進化するドローンは機種によりライセンスも異なるらしい。

秀則さんは２機種のライセンスを保有する。

片峯さんのところは社長の直志さん、甥の聖二さん、息子の秀則さんの３人で米・麦作りを営む農家だ。

直志さんは安川電機で技術職をされていたそう。

そのせいかスマートアグリに対する意識が高く、自分が作るものへのプライドと、農業をビジネスとして成立させることへのこだわりを言葉の端々に感じる。

その直志さんが４年前に高価なドローンの導入を決めたのは、補助金も踏まえ人的時間的コストを考えて充分にペイできると試算した上でのことだ。

実際に防除作業や適期散布の効率アップは予想以上だったと３人が力強くうなずく。

ドローンでの防除作業は稲穂が７割程度実った時と完全に実ったあとの２回行なうことで、最高の米が出来上がる。

「でもどれだけ技術が進んでも最初の７割の見極めは社長にしかできんのですよ」と秀則さんが笑う。

その年の天候、気温、虫の出具合、さまざまな要因を過去の経験と照らし合わせて最適解を導き出す直志さん。

その判断を正確にドローンで実行する秀則さん。

すべてのサポートをマルチにこなす聖二さん。

３人のチームワークと最先端の技術で営まれる米作りは、これからも私たちの食卓をおいしく支え続けてくれるだろう。

ドローンの機種はクボタ製の最新機種『Ｔ１０Ｋ』。

１反の田への散布を２分で仕上げる。従来型よりコンパクトになり移動も簡単になった。その機動性を活かし、片峯さんは他の農家の防除作業も請け負っているそうだ。

「モニター用カメラが搭載されて操縦がめちゃ楽になりました。」と秀則さん。

ちょっと質問！

ドローンを導入した良かったこと。

◎作業日数が劇的に短くなった！

片峯さんは１５年前までは防除作業はすべてマンパワーで実施。

その後、動力噴霧(機械に乗車して行なう作業)に変わり、ドローンを導入した。

作業にかかる時間は１０日間→１週間→２日と変化！

「体の疲れもまったく違う！夜中に足も攣らなくなりました(笑)」

◎準備に手間がかからないので適時開始できる！

以前は機械や道具の準備など、事前準備に時間がかかっていた防除作業。ドローンにしてからはこれだけでできるので準備時間も劇的に低減された。

最高のタイミングを逃さす実施できるので全体の工程もブレずに計画通り進められるようになった。

◎デスクワークが圧倒的に簡単になった！

防除作業は実施した範囲や日時など、細かく記載の上いつでも提出できるよう保管する義務がある。

前は作業しながら手書きで行なっていた作業がドローンを導入してからはドローン内臓のGPSやCPUにより自動入力されるようになった。

「事後作業の手間がほぼゼロになりました。」と直志さん。

ドローンで散布した範囲はそのままデータとしてパソコンへ。「KSAS」というシステム上で一元管理される。帳簿などの入力作業も大幅にカットされた。

ドローンは機体の大きさで一度に散布できる範囲が変わってくる。

大きくなるほど範囲は広がるが持ち運びなど機動性は落ちるので、用途により適した機種は異なるそうだ。

クボタ農業用ドローン　「Ｔ１０Ｋ」

FPVカメラを前後に搭載した最新機種。簡単設定で自動航行もできる