トップに
戻る

【インタビュー】Fuku Spo – アビスパ福岡/ウェリントン

FW ウェリントン(背番号18)

 

ゴールを決めた瞬間のスタジアムは、

あの時の雰囲気に似ていました。

 

怪我人が少なくない中でも、

一桁順位を維持するアビスパ福岡。

その躍進を支える一人が、今季加入したウェリントンだ。

6シーズンぶりに福岡へ帰って来た彼が感じることとは。

 

取材・文/岩井咲里香


いまだに忘れられないシーン

 

’17年12月3日。シーズンをJ2・4位の成績で締めくくったアビスパ福岡は、残り1枚となったJ1行きの切符を懸けた戦いを迎えていた。

 

豊田スタジアムで行なわれたJ1昇格プレーオフ決勝。昇格には、3位の名古屋相手に勝利が絶対条件だった。

 

互いに一歩も譲らず、0-0で迎えた後半57分。駒野友一からの絶妙なクロスにウェリントンが頭で合わせ、ゴールネットを揺らした。貴重な先制点かと思われたが、オフサイドフラッグが上がっていた。当時はVARが導入されていなかったため、この判定が覆ることはなく、スコアレスドローのまま試合終了。

 

規定により、上位の名古屋グランパスがJ1昇格の切符を手に入れた。誰もが受け入れ難い結果に終わってしまったが、一番悔しかったのは間違いなくゴールを決めた本人だろう。

 

「今でもずっと頭に残っているシーンの一つですね。J2で19得点できて最高のシーズンになるはずだったんですけど、プレーオフで決めたゴールがオフサイドという判定で…。VARがあればオフサイドではなかったのかなと、未だに心残りはあります」。

 

この翌年からヴィッセル神戸、湘南ベルマーレとJクラブを渡り歩き、今年、6シーズンぶりに福岡へ帰って来た。

 

「お話を聞いた時は、素直に嬉しかったです。このチームにはすごく愛着がありましたし、街も大好きだったので、また戻って来られて本当に良かったなと。そして、一番嬉しかったのは家族の反応ですね。昨年、湘南との契約が終了して、しばらくの間チームが決まらなかったんですけど、そんな時に奥さんが娘たちに『もし日本に戻るんだったらどこがいい?』と聞いたんですね。そしたら、2人とも福岡がいいと答えたんです。オファーを貰う前にこんな話をしていたので、本当に嬉しかったですね。スタイルも戦術も自分がいた時とはまったく別のチームになっていて、J1で戦えるチームになっているなと感じました。唯一、6年前と変わっていなかったのはサポーターの皆さんの温かさですね。歓迎してくれて嬉しかったですし、ここでサッカーをできることがこの上ない幸せです」。

 

 

チャンスは必ず来る

 

「ウェ~~~~~リントーーン‼」

 

ゴールが決まると、スタジアムMC・信川さんの声が、博多の森に響き渡る。なかでも、ウェリントンのコールはサポーターも心待ちにしているベススタ名物だ。加入して1カ月ほど経ったJ1リーグ第7節の京都戦。後半途中から出場した彼が復帰後初ゴールを決め、チームに勝ち点3をもたらした。

 

「ゴールを決めた瞬間、以前在籍していた時のことがフラッシュバックしてきました。たくさん点を取った時の雰囲気に似ていましたし、サポーターもチームメイトも一緒に喜んでくれて嬉しかったですね。一生忘れない瞬間だと思います」。

 

今年はこの“ウェリントンコール”がたくさん聞けそうな予感がする。というのも、中村駿とのホットラインが形成されつつあるからだ。京都戦だけでなく、ルヴァン杯・鹿島戦でも、中村駿のCKを頭で合わせてゴールを決めている。

 

「短い間ではありましたが、彼とは湘南で一緒にやっていたので、ボールの軌道やスピードなど、フィーリングがわかりやすいんですね。彼も、僕を信頼してゴールを決めやすい所にボールを蹴ってくれるので、お互いの信頼関係があるからこそいい形を作れていると思います」。

 

出場時間は決して長くないが、限られた時間で結果を残す。彼は、もう既にアビスパに必要不可欠な存在だ。「経験上、Jリーグでは残り10分~15分は一番チャンスがある時間帯なんですね。逆に、ピンチになる場合も多いですが。そこで出場できるということは、チャンスが絶対来ると思っています。その一度のチャンスをしっかり仕留めることがプロとして必要なことだと考えています」と、前向きに捉えているようだ。

 

 

大好きな福岡で成し遂げたいこと

 

昨年、チームは残留争いに巻き込まれたが、今季は違う。勝ち点0を1に、1を3にできるチームへと成長している。特にホームでは無双する勢いだ。

 

「選手の一人としては、タイトルと得点王を貪欲に目指していかないといけないですし、たくさん点を取ること、チームを勝たせることがFWの仕事なので、常に高い目標をもつようにしています。この街、チーム、サポーターが大好きなので、アビスパでタイトルを取りたい。皆の前でシャーレを掲げてチャンピオンになりたいというのは、僕にとっての目標であり夢であり、成し遂げたいことの一つです。そして、個人的には38~39歳くらいまで高いレベルでサッカーを続けたいです。結果を残さないとチームに必要とされなくなると思うので、日頃から厳しくトレーニングしていきたいです」。

 

そして、こう続けた。

 

「きっと、皆さんの期待を“いい意味”で裏切ることになると思います」と。きっと、彼の美しい瞳の奥には、このチームに訪れる歓喜の瞬間が映っているのだろう。

 

 

【プライベートQ&A】

Q.好きな日本食は?

A.『一風堂』のラーメンと、『大東園』の焼き肉が大好きです‼ 本当なら毎日でも食べたいところですが、食べすぎると体が維持できないので、我慢しながら食べすぎないようにしたいです(笑)。

 

Q.福岡のお気に入りスポットは?

A.絶賛開拓中ですが、香椎照葉にBBQができるところがあると聞いているので、行ってみたいです。この前、ルキアン家族とマリノアシティにある『NOBOLT』に行ってきました。僕自身は高い所は怖くて思い切り楽しめませんでしたが…(笑)。あと、いちご狩りにも行きました。サッカーを一回忘れて、家族と楽しいひとときを過ごしてたんですけど、無我夢中で食べているところをルキアンに隠し撮りされてて…(汗)! 楽しい時間を家族・チームメイトと過ごせて楽しかったです。

 

〈PROFILE〉

ウェリントン

フォワード 背番号18

生年月日 1988年2月11日

身長186㎝ 体重89㎏

出身地 ブラジル

’07年、ブラジル・SCインテルナシオナルのトップチームに昇格し、プロキャリアをスタート。その後、ブラジル、ドイツ、オランダのクラブを渡り歩き、’13年に湘南ベルマーレへ移籍。’15年~’17年の3シーズンはアビスパ福岡で過ごし、J1昇格にも貢献した。その翌年にヴィッセル神戸、’20年にボタフォゴSP(ブラジル)、’21年に再び湘南ベルマーレへ移籍。そして今年、6年ぶりに福岡へ復帰した

SNS運用代行サービス