【ふくおかアグリライフ】大地のチカラ「小松菜」
『ふくおかアグリライフ』では福岡の農業にフォーカス。
農作物の現場をフカボリする 【大地のチカラ】。
今月は鉄分・カルシウムが豊富な「小松菜」をピックアップしてお届けします!
小松菜はシャキシャキした歯ざわりで人気のアブラナ科の緑黄色野菜。
年間を通じて安定して収穫ができ、 下処理がいらず、手軽にさまざまな料理に使える。
福岡県の年間生産量は 12000トンで、全国で3位の生産量を誇る。
田川市の農家、冨士本稔さんが栽培している『小松菜』。
実は福岡県、なんと全国3位の小松菜の生産量を誇る。
冨士本さんは就農2年目。
高校までは野球一筋で過ごし、卒業後は先輩に誘われ農業大学校に入学する。
在学中に県内の農家に住み込みで働き、仕事のイロハを学ぶ『農家留学』に参加。
この時の経験がその後の人生を決める。
特に目標もなく入った学校だったが配属先の農家でかわいがられたり、野菜づくりにやりがいを感じる中で、いつしか本気で就農を考えるようになった。
「まあ先輩たちが乗っとる高級車がかっこよかったこともデカかったね (笑)」と当時のヤンチャぶりをのぞかせる。
農大卒業後は在学中に師事した恩師に倣い菊農家としてスタート。
もともと学ぶことに謙虚で手抜きをせず一生懸命に取り組む性格の冨士本さん。
すぐに農地拡大のタイミングが訪れ、大きな資金が必要になった。
なんとか親を説得し、実家を担保に入れ資金を調達することに成功。
両親の自分への信頼に応えるべく、さらにがむしゃらに働き、いつしかハウスは合計で80aを超えるまでに成長。
4年前に恩師の孫をサポートするために始めた小松菜も、菊と並行して順調に生産量を増やしている。
これまでの人生でいろんな人に助けられたという思いが強い冨士本さん。
50歳という人生の節目を目前に今後はその恩返しを始めていきたいという。
「3年前から農作業支援を行なう会社も経営しています。
これは体力のない高齢の生産者と、体力はあるけれど就農資金や施設がない若手をうまくつないでいく役割を担う事業です。
あとは土を使わずに野菜を育てる水耕栽培も実験中です。
うまくいけば出荷量も増え、さらに人手が必要になる。
私より若い世代の未来にもっと可能性を作っていきたいですね」。
花を育てる毎日から誰かの華を咲かせる日々に冨士本さんの人生は大きな夢へ向けシフトチェンジしていきそうだ。
【農家のレシピ】無限コマツナ
【材料】
・小松菜…1束
・塩昆布…2つまみ
・粉末だしの素…適量
・鷹の爪…お好みで追加
【作り方】
①小松菜を洗い、ざく切りにする
②水気を切りチャック付きの保存袋に入れる
③塩昆布に入れ全体に粉末だしの素を振りかける
④冷蔵庫に入れ半日なじませる
「新鮮な小松菜のシャキシャキ感を楽しみたいならこれが一番簡単で旨い!
夜に準備しておくと、 朝ちょうどいい具合に漬かってます。
わが家の朝ごはんのおかずとして欠かせない一品です。
大人は少し辛みをつけた方がもっとうまいかも。 アテにも最高ですよ!」
今月のチカラ人
富士本 稔(ふじもとみのる)さん
1976年生まれ。 就農28年目。 高校卒業後、 福岡県農業大学校で学び、恩師との出会いから花農家として就農し4年前からは小松菜の栽培をスタート。 生産の現場に立ちながら、 農業専門の支援事業会社も経営し、 若い担い手たちの活躍の場が田川に広がるよう、日々邁進している。