【ふくおかアグリライフ】スマートアグリ最前線 食味数値管理の切り札!
スマートアグリ最前線
「食味数値管理の切り札!
コンクール金賞受賞の功労者です」
宮若市が良い米どころであることを、何人の福岡県民が知っているだろうか。
周りを深い山々に囲まれたこの地は寒暖差が大きく、水の良さも相まって美味しい米を育む土壌なのだそうだ。
その証となるのが2020年の米・食味分析鑑定コンクール国際大会での宮若市の2つの農家による金賞のW受賞。
そのひとつ、国際総合部門で金賞を受賞したのが今回訪れた『安河内農産』だ。
「宮若市、特にここ若宮は西に山、東にひらけた盆地があって寒暖の差ができやすい。
だから、お米が美味しくなるんですよ」と教えてくれたのは代表の安河内豊孝さん。
アナログでの細やかな圃場管理にデジタルな数値データを加え、日本一のうまい米を作り上げた人だ。
安河内さんの会社ではKSASを使って圃場ごとの食味や収穫量の数値データを管理。
食味とは米のおいしさを数値化したもので、米に含まれるアミロース・タンパク質・水分・脂肪酸度の4つの成分を測定し、方程式により算出される。
この食味を計測するセンサーがついたコンバインを使うことで、収穫と同時に圃場ごとの米の食味数値をKSASで確認することができる。
そうすることで食味数値の異なる米が混ざることなく、同じ数値を持つ米だけで次の乾燥の工程へ進めることができるのだ。
KSAS(クボタスマートアグリシステム)
クラウドを利用した営農・サービス支援システム。 パソコン・スマホを利用して電子地図を用いた圃場管理、作業の記録、 進捗状況の把握など農業経営を「見える化」する。 さらに、 通信機器を搭載した農機と連動することで、食味・収量などの作物情報の把握、 生育ムラのある圃場に対する可変施肥などを実施して、品質・収量の向上が実現できる。 |
「もちろん米の美味しさは食味だけでは決まりません。
ただある一定の基準は数値で判断することができる。
この結果に、稲の立ち姿や手作業で控えた様々なデータを加味して、どの米を特上品として扱っていくかを決めています」。
その判断にKSASのデータが大きく貢献しているそうだ。
このアナログとデジタルを組み合わせた方法を編み出せたことが、コンクールで賞を採れるようになった大きな要因のひとつなのだ。
安河内さんが食味数値に着目し始めたのは2011年の東日本大震災がきっかけ。
当時、東北の米が無くなったことで全国の問屋から買いたいという問い合わせが急増した。
その時によく聞かれたのが「食味数値はどれくらいですか?」という質問。
おいしい米を作っていることに自信はあったが、世の中に広く知らしめるためにはその証しが必要なことを痛感したそうだ。
2015年に安河内さんの米が国際大会で一回目の金賞を受賞してからは自治体も一緒になって、食味測定器を導入したりコンクールを立ち上げたり。
宮若市の米を全国へ広める活動を始め、今に至る。
そこには先祖代々から受け継ぐ若宮の地がもっと魅力的になるように盛り上げたい!という熱い思いが溢れている。
取材のためにコンバインによる刈り取りを実演してくれた安河内さんの姿に「米作りは人」という言葉が重なった。
ちょっと質問!
KSASを導入して良かったことは?
1. 食味・収穫量のデータ管理がスムーズになった!
クボタの食味・収量センサ付きコンバインで、刈取りしたデータ (タンパク値・水分・収量) を圃場ごとにKSASで確認することができるようになった。
集約したデータはエクセル出力できるので幅広く活用できる。
2.圃場(ほじょう)の一元管理がカンタンになった!
圃場の場所、住所、面積、所有者情報、 作業状況などの一元管理がGoogleMapを利用して簡単にできるようになった。
情報はパソコンでもスマートフォンでも確認でき、日々の農作業をいつでも・どこでも記録できるようになった。
3.今後のDX化への可能性広がった!
ドローンによる薬剤散布や自動運転のトラクタなど、現状の業務の効率化を行なう機器をKSASをを軸にしたシステム構築が可能。
KSASの便利さを知ることで、これからのDX化の展開を計画的に考えられるようになった。
株式会社福岡九州クボタ
若宮営業所
【住所】宮若市金丸264-1
☎:0949-52-0167