【フクオカ・メイド Vol.3】久留米絣織元・池田絣工房
【連載企画】フクオカ・メイド vol.3
フクオカ・メイドのモノに注目し、その現場を訪ねる企画。今回は1919年に創業し、手織り・藍染めの製法を受け継ぐ『久留米かすり 池田絣工房』を訪ねました。伝統的でありながらスタイリッシュなテキスタイルは、現代のライフスタイルに寄り添って応用・発展を続けています。
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たったひとりの「好奇心」や「発見」から生まれるものづくりがあります。久留米絣は当時12~13歳だった井上伝という少女が、ある色あせた着物の白い斑点模様に着目し、布をほどいて仕組みを調べたことに端を発しました。伝はその布から発想を得て、糸を部分的にくくってから染め、織り合わせることで白い文様を作り出す技法を考案したのです。これが、筑後地方で220年以上に渡り続く伝統工芸・久留米絣のルーツ(※出典:久留米絣共同組合ホームページ)です。
筑後市にある『池田絣工房』では、久留米絣を創る上で重要な「藍染め」と「手織り」、2つの工程を見学できます。一つ目の「藍染め」とは、天然藍で満ちた複数の甕を同時に使い分けながら、糸に色をつけていく作業のことです。
「甕は毎日かき混ぜて、色や香り、時には味をみて、状態を確かめます」そう話すのは、工房の4代目・池田大吾さん。藍液に浸けるタイミングや長さ、絞る強さ…これらが1つでもずれれば、同じ色には染まりません。当たり前ですが手順書などは存在せず、池田さんの技術と感覚がすべて。見ていて「ははぁ」と感心するばかりですが、「甕も自分で仕込んでるから、わかりますよ」と、なんともあっさり答えてみせます。
そして次に「手織り」。これは染め分けられた経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を織り合わせ、絵柄を生み出す作業のことです。熟練した技術が必要な作業ですが、手織りゆえに多少の“ゆらぎ”が生まれ、これが久留米絣特有のかすれ模様になります。このゆらぎや藍染による濃淡が、世界にたったひとつの作品としての価値を生むのです。
また、綿100%がゆえに肌馴染がよく丈夫な久留米絣は、現代のライフスタイルに寄り添った製品へと幅広く応用されています。「新しいことをしていかなきゃ、自分も飽きちゃうから」という池田さんの言葉を聞き、「現代の職人に必要なのは、案外“飽きっぽさ”かも?」そんなことを思ったのでした。
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池田絣工房
住:筑後市久富1840
☏:094-253-2416(藍染体験・工房見学は要予約)
営:9:30~17:00
休:日曜、不定
カード/可、QRコード決済可
P:あり
https://ikedakasuri.jp/