【福岡麺本2023-vol.12 】古くて、新しい“ダマ流”豚骨の真髄『博多玉』
南区大橋
博多玉
博多ラーメン=気軽な日常食
古の麺文化を守っていきたい
強烈な個性があるわけではない。「ラーメンのトレンド?そんなん関係なかばい」と、卓上から語りかけてくるようなシンプルは一杯。にぎわう店内では「替え玉バリカタで!」の声が飛び交い、学生や子どもも小銭をにぎりしめひたすら啜る。深い時間は〆ラーメンを求めるほろ酔い客が、提灯に吸い寄せられるように続々とイン。そんな博多ラーメンの原風景が見られる店は昨今、本当に貴重な存在である。大橋『博多玉』は、その“イニシエ”の魅力を存分に味わえる店。
2014年に開業し、店の雰囲気、店主の児玉皓さん(愛称:ダマさん)自身もだいぶ円熟味が増してきた。「開業理由は、ただ博多ラーメンが好きだったから」。自然体で話す児玉さんの言葉に『博多玉』の魅力が集約されている。豚骨ラーメンの継ぎ手、成り手不足が深刻と言われる今これを聞くと、豚骨ファンとしてなんともうれしくなってしまう。そう。やっぱり僕らの心には博多ラーメンが深く刻まれているのだ。
児玉さんは、1983年に福岡で生まれ、15歳の時に地元のラーメン店でアルバイトを始めた。それから現在まで頑なに豚骨一本。「調理師免許を取り、その他の料理の勉強もしてきましたが、あくまで自分のラーメンをうまくするのが目的でした」と児玉さん。料理の技、知識の幅を広げた児玉さんは、もちろん他のジャンルのラーメンも作れる。なぜに、ノスタルジックな博多ラーメンにこだわるのか?「ラーメンは嗜好品ですし、いろいろな形があっていいと思いますが、自分のベストオブベストはこれ。多分一生変わらないですね」。実に頼もしい一言。ちなみに、屋号の『博多“玉”』は自身の名前の一文字であるほか、「替え“玉”まで楽しんで欲しい」という思いを込めている。
店内で打つ自家製麺にも絶対的な自信をもっているのだ。九州産豚の背骨、ゲンコツを炊き、骨から自然に染み出た上澄みの脂のうまみも生かした芳醇なスープ。そこにしなやかなコシで歯切れのいい細ストレート麺を合わせる。
営業中も絶え間なく煮込むスープの状態に目を光らせ、表の麺場と奥のスープ釜を行き来しながら切り盛りする児玉さんの動きにも惚れ惚れ。肩の力が抜けたゆるい構えでも、スキがない。熟練の豚骨ラーメン職人はやっぱりかっこいい!
SHOP INFORMATION ーーーーーーーー
博多玉
[所]福岡市南区大橋1-14-8
[☎]090-4772-5328
[営]11:00~15:00/18:00~24:00 ※スープが無くなり次第終了
[休]日曜(月曜が祝日の時は日・月曜連休)
[Ig]@hakatadama
※掲載の内容は取材時のものです。取材日と記事公開日は異なる場合があり、メニューや価格、営業時間、定休日など取材時と異なる場合がありますので、事前に公式HPやお問い合わせにてご確認をお願いします。
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