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【気になるリノベ】「ロマン」と「そろばん」どちらも叶えた平尾薬局リノベ物語『平尾薬局』

左はリノリビング代表取締役、末竹泰典さん。 右はリノベエステイト・株式会社アポロ計画代表、松山真介さん。

ランドマークの改装は

周辺コミュニティの再編集

 

リノベエステイトの松山さんが会長を務める「リノベーション協議会九州支部」にリノリビングの末竹さんが所属して以来、既知の間柄で、「会長はリスペクトする存在です」と熱視線を送る末竹さん。二人の記念すべき初コラボレーションしたリノベーション事業が、『平尾薬局』の改装だ。初代が北九州で創業し、戦後すぐに福岡市に移転。1974年の平尾駅前区画整理で現在の場所にやってきた。黄色い看板はランドマークとして、福岡市民の認知度は高く、住所がわからなくてもこの場所に行きつけるほど親しまれてきた。三代目オーナー・眞崎悟好さんからのオーダーは、2階の住居エリアも含め、築50年になる建物の改装だった。しかも30年ほど前の顔写真を使用した黄色い看板を撤去する意向も示された。「”そろばん”(事業収支)を優先させたら、高いビルやマンションに変えて、家賃収入を得る提案になっていたと思います」と、末竹さん。

 

ランドマークの看板撤去

新たなランドマーク創設

 

「誰もが知っている平尾のランドマークをガラリと変更したくない。周辺には小さな店が集まる路地裏もあり、”ヒューマンスケールの店がある場所”だから」という松山さんの”ロマン”を加えて2人は走り出す。

デザイナーとして大切にしたい”ロマン”と、不動産業者として基本の”そろばん”。その両立を図った2人が出した提案は、漢方薬局をキーテナントに、大小7つの店が入る。”小商いの集合体”だった。イメージは中国の「客家円楼」。城壁のように堅固な壁で守られた内部に「客家」と呼ばれる人々が居住する。世界遺産にも登録されている福建省の円形の土楼だ。そこに入居する隣人同士が笑顔で交流し、漢方薬局と親和性の高いショップを入れることで、人が集まり、回遊できるようにした。その為、テナント候補者とは一人ひとり面談をして、Health(健康)、Beauty(きれい)、Culture(文化)というコンセプトから乖離しないように大切にしている。

建物の形や色合いなど、変化していないように見せるデザインにすることで、ランドスケープとしての喪失感をなくし、夜のライトアップで新たなランドマーク効果を生みだした。それこそが2人がタッグを組んだからこその効果だ。まちづくりや賑わいの創生、都市計画という仕事もしてきた松山さんだからこそのロマンがそこにはある。

 

 

 

ひと足お先にオープン!
インド刺繍リボンの店と鍼灸サロン
平尾駅から徒歩1分の角地という好立地にある『ひらお横丁』に、 すでにオープンしているのが、インド刺繍リボン専門店と鍼灸サロン。 階段を上がったすぐ手前の201号室に同居し、手前に色とりどりの 美しい刺繍リボンが並ぶ『via』。 インドの民族衣装・サリーの縁に使用されるもので、3000種以上のリボンを10cm単位で購入できる他、ハンドメイド用のパーツ、シュシュやカチューシャなども販売。奥が美容鍼などの予約制サロン 「totonou」だ。

 

 

 

テナントも一緒になって

コミュニティへの恩返し

 

先祖からお預かりした土地と建物で、顔と名前を出し、まちの人たちと誠心誠意歩んできたオーナーの「まちへの恩返し」の気持ちを建物で表し、健康・きれい・文化が集まる「ひらお横丁」を人々に活用してもらう「まちづくり」の観点を核にし、共存共栄の精神がそこにはある。

「テナントのスペースを等間隔に分けて募集するのが定石ですが、売店ほどの2坪ショップから、約16坪までと、さまざまな形と大きさに分けたのが特徴です。個人事業主のチャレンジ・ショップ的意味合いもあり、店が流動することも想定しています」と松山さん。

「7つのテナントのうち、一番小さい2坪ショップへの問い合わせが一番多かったんですよ」と、その効果に末竹さんも舌を巻く。単なる一建築の改装に留まらず、「エリアの再生」、「周辺コミュニティの再構築」まで意識した松山さんの視座の高さと、ワクワクするアイデアに、”すごい!”としか言葉が出ない取材班に対し、「一番すごいのは、このシナリオを選んでくださった眞崎社長です」と答えてくれた松山さん。「新しい商店街の形として今後も増えてくると思います。大型チェーンストアではなく、”小商い”の小規模テナントが繋がり、共通の目的を持った施設へと育つ。私は”小商い”の”小”は”共同”の”co-”の意味もかけています」。それは、自社ビルのテナントであるレストランが評判になり、周囲に大人向けの良質な店が増え、土地の価値まで上昇した自らの経験を踏まえている。点が線となり、面となるエリア再生の力を体感したからこそ、大切にする”共同”の強さだ。

取材時には『ひらお横丁』のテナントはすべて埋まり、工事が着々と進んでいた。コーヒーやドーナツ、ほうじ茶専門店、整体など、まちの人がふと寄りたくなる店ばかり。テナントが続々とオープンする春、平尾四つ角の景色に新たな活気と彩りが加わる。

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掲載の内容は取材時のものです。取材日と記事公開日は異なる場合があり、メニューや価格、営業時間、定休日など取材時と異なる場合がありますので、事前に公式HPやお問い合わせにてご確認をお願いします。

 

平尾薬局

〒810-0014
福岡市中央区平尾2-7-2
【営】9:00~18:00(土曜~13:00)
【休】日祝日【P】あり(1台)
Instagram:@hirao_kampo

旅する素材via(ヴィア)

【所】福岡市中央区平尾2-7-2 ひらお横丁201
【営】12:00~16:00
【休】土・日曜
Instagram:@tabisurusozaiya_via

鍼灸サロンtotonou

【営】10:30~16:00
【休】水曜
Instagram:@biyouhari.totonou

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