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【気になるリノベ】プロが集結し独創的発想を実現~池泉庭園のある店~

プロが集結し独創的発想を実現

池泉庭園のある店

 

(左)株式会社アウクバ代表取締役 青木栄一さん (中)株式会社S&S代表取締役 金山伸一さん (右)株式会社ケイス 川原慎吾さん

 

呉服店兼住居だった日本家屋の大胆な変貌

住吉へと続く春吉の拡張した道路沿い、「灘の川橋」の近くの交差点に、まるで旅館や料亭のような瀟洒な建物がある。呉服店だった建物をリノベーションし、庭にもみじ、しだれもみじ、さるすべり、2階には竹もそよぐ。告知はほとんどしないまま、2023年12月にひっそりとオープンした、薬院の『もつ鍋きんぎょ』の2号店だ。

「工事中、『料亭ができるのですか?』と道行く人に聞かれ『もつ鍋屋です』と答えると『もったいない…』と、何度言われたことか」と、オーナーの金山さんは苦笑する。それほどまでに、ただものではない美しさ、高級感が伝わってくる佇まいだ。

「京都の町家をイメージした薬院の『きんぎょ』とデザイン的に同じ流れを作りたかったので、薬院の店の設計をしていただいたケイスさんに、17年ぶりにお願いしました。春吉の店舗は「京都の別荘」をイメージしていたので、そこには水と池が必要であろうと考えました。建物の中に庭や池を造るとなると、アウクバさんしかいないと!」。

池にはフローティングキャンドルを浮かべ、きんぎょが泳ぐ予定だそう

 

オーナーの壮大な計画を実現に導くプロ集団

 白羽の矢が立った『アウクバ』の青木さんは、夫婦で外構・造園工事の会社を遠賀町で営んでいる。実はガーデニング世界一のガーデナーに腕を請われ、海外のコンテストも数々こなしてきた凄腕だ。妻・麻梨子さんもイギリス留学で本場のガーデニングを学び、ガーデニングコンテスト入賞歴を持つプロフェッショナル。難易度の高いオーダーに応える技術とセンス、経験値の高さで、作って終わりとはいかない庭園を維持する強い味方である。

「青木さんには2年前にお話したのですが、完了検査を受けていない工事中扱いの建物だったので、既存不適格建物の転用届け、そして施工など、出来上がるまでに2年もの月日がかかりました」と金山さん。

「あの話はまだ生きているのかな?動いているのかな?と思いながらでしたが、ようやくですね。でも、作業中も、オーナーがずっと現場にいてくれたから、話が早かったですよ。確認したいこともすぐ聞けました」と、青木さんは涼しい顔だが、2階の池泉ともみじ、そして京都から仕入れたという苔の素晴らしさは並々ならぬ技術の賜物に違いない。

水が流れる水盤の美しさに心和む

 

妥協せずに理想を追求 変化を見続けた三人の絆

「本当は2023年3月にオープンした渡辺通の『ロッヂ』より先にできているはずだったんですけどね」と苦笑する金山さん。

庭から石の水盤を伝い、店内の池に流れる美しさと水音のやすらぎ。2階の屋根を切って窓を造り、もみじのは「店舗つくりは趣味だけど、もうしばらくは考えられない」というほどこの『春吉きんぎょ』の店づくりの没頭した金山さんだから、妥協は一切しなかった。「メインのもみじの木を一度持ってきてもらったけれど、どこから見ても美しいものは無難になりがちなので、店内からの視線を重視した別のもみじに変えてもらったんです」。その姿勢は、もちろん建物の内装にも一貫していた。

「こちらから提案する、というよりも、金山さんのアイデアを実現するお手伝いという形でした。昨日打ち合わせしたことも、次の日にはまた別のアイデアが生まれたりして、その度に設計図を引き直しました」と語るのはケイスの川原さんだ。

「デザイン性の高い店舗や住宅を設計したい」とゼネコンから転職。最初に担当したのが、この物件だったそう。「金山さんの設計デザインやアイデアが素晴らしくて、我々はハードと図面のサポートでしたが、ディテールは弊社代表の一ノ瀬と相談して決定していきました。代表にはある程度任せてもらえたので、金山さんとともに様々な挑戦が出来て、良いものができたと思います。1階のガラス窓は取り外せるようになっているのですが、かなり複雑で。これも大工さんと一緒に考えました。廊下の幅も、途中で広く変更したりと、少しずつブラッシュアップしていく形でしたが、大工さんもとても良い人たちで、楽しかったです!」。

 

春吉きんぎょ

居心地の良い空間で絶品のもつ鍋をゆっくりと。スダチが効いたあっさり味噌と、ニンニクを効かせた濃厚味噌の2種のもつ鍋が楽しめる。

[所] 福岡市中央区春吉2-6-2
[☏]092-791-2600
[営]17:00~0S23:00
[休]不定
[席]90席
[P]なし
[HP]https://motsunabekingyo.com

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