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【福岡ラーメン物語 のぼせもん|52杯目 博多純情らーめん ShinShin天神本店

「お酒を飲んだ後にふと食べたくなる。そんなラーメンを指しています。」

博多ラーメンは気軽な食べ物であるべきだ。しっかりご飯を食べたりお酒を飲んだ後の締めに食べてこそ博多ラーメン。屋台で長年修業を積んだ店主だからこその美学。だからこの店のラーメンは飲んだ後に食べてこそ美味い。

博多ラーメンは気軽な食べ物であるべきだ。しっかりご飯を食べたりお酒を飲んだ後の締めに食べてこそ博多ラーメン。屋台で長年修業を積んだ店主だからこその美学。だからこの店のラーメンは飲んだ後に食べてこそ美味い。

 


ShinShin店主

中牟田信一/ShinichiNakamuta

1969年、福岡県大野城市生まれ。学生時代に中華料理店でアルバイト後、建築メーカーに就職。24歳の時に飲食の世界へ。2003年に独立して「ShinShin」を創業。今年3月には福岡パルコに6店舗目を出店した


博多ラーメンとは何なのか。それを定義するのはなかなか難しい。福岡のラーメン職人は誰もが自分なりの博多ラーメンの姿を追い求めている。店の数だけ味があるように、店の数だけ博多ラーメンも存在する。

「博多ShinShinらーめん」(700円)/豚の頭骨、背骨、ゲンコツに鶏ガラ、さらに野菜もふんだんに入れたスープに、地元の川部食品と共同開発した極細ストレート麺を合わせる。濃厚なのにクセがなく食べやすい博多ラーメン

地元福岡はもちろん県外や海外からの観光客にも人気を誇る「ShinShin」の店主、中牟田信一さんは、博多ラーメンとは構えず気軽に食べるものだと考えている。飲んだ締めに食べる一杯。それが中牟田さんが考える博多ラーメンだ。

「博多ラーメンって二軒目とか三軒目に食べるものだと思っているんですよ。食事をしてお酒を飲んだ後に「ラーメンでも食うか」と食べるような。昼に食べる時も休憩中にササッと食べられる。

 

そういうラーメンが博多ラーメンだと思いますし、ウチのラーメンらしいのかなと」。福岡のラーメン文化は戦後の屋台から始まった。飲んだ締めに食べるような存在だったラーメンは、いつしか立派な食事になった。中牟田さんの思い描くイメージは、博多ラーメンの原風景そのものだ。

茹で時間はバリカタで5秒、普通で10秒。細麺が定番の博多ラーメンの中でも一二を争う極細麺は、しなやかさと歯切れの良さが同居する唯一無二の麺。

学生時代に知り合いの紹介で中華料理店の出前のアルバイトをした。卒業後、就職で東京に行くも2年で見切りをつけて福岡に戻ってきた。アルバイト時代の店長に誘われて屋台で働くことになり、気がつけば飲食の世界に身を置いていた。「もともとラーメンは好きだったんですが、まさか飲食をやるとは思いませんでした。

しかし屋台やお店を任されていくようになって、自分でもやってみたいと思いました」。ラーメン店ではラーメンだけを食べて帰る客がほとんどだが、屋台ではお酒を飲んで一品料理をつまみ、締めにラーメンを食べるのがお約束。この店では屋台のように楽しんでいる人も少なくない。

 

「ラーメン作るだけじゃダメなんです。焼き物や炒め物も出来なきゃウチでは働けません。他のラーメン店から来た従業員は皆びっくりしますよ。なんでラーメン屋なのに、こんなに色々やらなければならないのかって。でも僕の中では屋台時代からこれが当たり前なんです」。

「焼きらーめん」(820円)/自慢の細麺を香ばしく焼き上げた、屋台時代からの名物メニュー。濃厚な豚骨スープとオリジナルブレンドのソースが味の決め手。オイスターソースが隠し味になっている

ShinShinのラーメンには他の博多ラーメンと少し違うところがある。それはスープに豚骨だけではなく鶏ガラも使うこと。これにもちゃんとした理由がある。「中華の時のスープがヒントになっているんですが、鶏ガラ入れた方がちゃんぽんが美味しくなるんですよ。だから常連さんの中にはちゃんぽんしか食べない方もいらっしゃいます」。

「ちゃんぽん」(850円)/博多らーめんと並ぶ、ShinShinの二枚看板。豚骨と鶏ガラ、そしてたっぷりの野菜の旨味が凝縮された奥深い味わい。モツの入った「博多もっちゃん」も人気だ創業当初、店もまばらだった天神北の寂しい路地裏は、この店が出来たことで賑わいをみせるようになった。

 

創業して18年のあいだに店舗数も増えていったが、福岡以外への出店はいまだない。「今のところは自分の目の届く範囲で妥協をせずにお店をやりたい。自分がすぐ見に行ける場所でないと無理なんですよ。目の前にいるお客様のために、そのお客様が求めているものをお出しする。そればかりはどうしても譲れないんです」

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■取材を終えて

人気の理由は店に一歩入れば分かる

私がはじめて天神ShinShinのラーメンを食べたのは、もう十年以上前になるでしょうか。もちろんラーメンの味も覚えていますが、それよりも鮮烈に覚えているのがスタッフの接客でした。動きがキビキビしていて、明るく元気でとにかく気が利く。知り合いのラーメン屋さんにも「勉強になるから行った方がいい」と勧めたほどでした。中牟田さんが長く経験を積んだ屋台は、店と客の距離がとても近い場所。その時の接客やコミュニケーションスタイルが、きっとShinShinのベースにあるのでしょう。店舗も増えてきて昔ほどは出来ていないと中牟田さんは言いますが、やはり今でも気持ち良い接客をしているなぁと感じます。

ラーメン評論家

山路力也 / Rikiya Yamaji

テレビ・雑誌・ウェブなど様々な 媒体で情報発信するかたわら、 ラーメン店のプロデュースなど、 その活動は多岐にわたる。「福岡ラーメン通信」でも情報発信中


掲載の内容は取材時のものです。取材日と記事公開日は異なる場合があり、メニューや価格、営業時間、定休日など取材時と異なる場合がありますので、事前に公式HPやお問い合わせにてご確認をお願いします。

博多純情らーめん ShinShin天神本店

【所】福岡市中央区天神3-2-191階
【☎】092-732-4006
【営】営11:00~翌3:00(日曜~24:00)
【休】なし
【席】30席
【P】なしカード/可
HP:http://www.hakata-shinshin.com/

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