【インタビュー】Fuku Spo – 福岡ソフトバンクホークス /尾形 崇
尾形 崇斗(Ogata Shuto背番号39)
マインドセットで実力開花
支配下登録から5年
リーグVを支えた中継ぎの星
キレのある速球を武器に、後半戦の中継ぎの一角として躍動した尾形崇斗。打者を抑え、雄叫びを上げる闘志むき出しの姿も記憶に新しいが、実は気持ちを抑えることが今季の安定に繋がっていたと話します。新境地に入った鉄腕が大事にしていること、未来へのビジョンとはなんでしょうか。
局面での登板重ねて習得した
自分をコントロールする力
1年間応援ありがとうございました。前半戦は肩の怪我で出遅れしまいましたが、後半戦の9月、10月、11月と、打たれれば負ける場面、抑えれば勝ちが見える場面で投げさせてもらったことは、今後キャリアを積んでいく中で、すごく大切な時間になりました。自分が投げた場面は常に緊張感があり、本当にメンタルの安定なしには抑えられなかったと思います。
これまではどちらかというと気持ちが昂りすぎて、コントロールできないぐらいメーターが外れてしまうタイプでした。「自分はなんでこんなにエキサイトして、振れ幅が大きいんだろう」と考えていたんですが、3軍にいるときに牧田(和久)コーチから大きなアドバイスをいただきました。そのおかげで、シーズン後半は、マウンドに上がる前に瞑想したり、「無」になる時間を1秒でいいから作るようにしたことで、集中力が最大限に高まった状態でゲームに入っていけるようになりました。たったの1秒なんですけどね。試合中の気持ちも投球内容も全然変わって、結果的に後半戦の成績にも繋がったと思います。優勝が決まったオリックス戦やクライマックスシリーズ(CS)などでは、特にそれができて、「これがゾーンかな」という感覚もありました。まだ、これが完全な答えだとは思っていないのでブラッシュアップは必要ですが、マインドコントロールのヒントが掴めたことで、来年(2025年)はもっともっと良くなる気がしています
武器はフィジカルとスキル
未来を見据えて鍛え続ける
特に力を入れてきたのがウエイトトレーニングと自分の苦手を把握することです。トレーニングごとに出力を出して、何が足りないのかをはっきり理解し、良い部分はそのまま伸ばし、悪い部分は徹底的に改善するということを7年間繰り返してきました。5年後、10年後を見据えてトレーニングを積んできたことが、今に繋がっているのは間違いないので、1軍に帯同している時もトレーニングは欠かしません。これは来年も変わらない部分だと思います。
だから、自分の土台になっているのは、完全にフィジカルとスキルなんです。トレーニングとスキルは計画的にアプローチしてきましたが、マインドセットの部分はまだ始めて3、4カ月。マインドコントロールがうまくいけば、フィジカルの強さが最大限ボールを通じて発揮できるということがわかってきたからこそ、自分に合ったものにしていければと思います。
千賀(滉大)さんの取り組みを見たり、(ロベルト)オスナとトレーニングしたりすることで、自分が目指すべき方向が見えてきました。世界で戦っている人を間近で見ていると、何が足りないのかに気づくことができます。オスナから「一番大事なのは、シーズン中でも常に自分の将来を見据えてトレーニングを積み重ねていくんだ」と聞いた時、自分はこのままやっていっていいんだという確信をもらいました。目標は次のWBCのユニフォームを着ること。試合で投げること、1つでも多くのアウトを取ることが仕事なので、来年は怪我をせずに登板を継続していきたいです。
尾形投手のプライベートに迫るQ&A
Q.好きな福岡飯は?
A.もつ鍋が好きです。いわゆるコテコテの豚骨ラーメンが苦手なんですが、食べられるようになりたいですね。
Q.プロ野球選手になってなかったら?
A.幼少期はサッカーと空手と野球をしていました。サッカーと空手がすごい得意だったけど、野球が一番下手だったんです。簡単にできるものって面白くないので、下手だった野球を選びました。でも、今でもサッカーの方が見ますし、好きですね。