Fuku Spo – アビスパ福岡/城後 寿
城後 寿(Jogo Hisashi)フォワード・背番号10
J1に昇格して、 定着できる戦い方を意識している。
今季はチームとして良い結果が出ていると思います。実力のある新しい選手が加入し、元々いた選手の特徴を生かしながら粘り強い戦いができています。うまくいかない試合でも我慢して試合を続け、最後は勝ち点3をもぎ取ることができています。内容の良くない試合もありますが、それでも勝利を手にしているのは大きいです。自分たちのストロングポイントをうまく生かしながら試合を進められているから結果が出ていると思います。
J1に昇格して定着するために、今は先を見越した戦い方にも取り組んでいます。だから、今季は勝っただけで満足している選手はいませんし、みんなが内容まで見つめて戦っています。昨季、J1で何が必要かを肌で感じることができたので、僕自身もそれを意識しています。J1に昇格するだけではなく、J1に定着するための戦い方をチームとして身に付けることが大事ですし、そうしたこともマネジメントできていると感じています。
個人的にはスタメンで出たい気持ちは強いし、悔しさもあります。でも、ベンチから試合を見ると、スタメンでは感じられないことがありますし、出た時をイメージしながらサッカーを見るようになりました。考えることでいろんなことが生まれると思いますし、途中出場でしっかりと結果を出してスタメンで出られるようにしたいですね。
サッカーができるだけで幸せ。 リハビリ中にメンタルも強くなった。
僕にとっての大きな変化は2009年にケガ(左ヒザ前十字靭帯損傷)をしたことです。復帰まで8ヶ月もかかるケガは初めてでしたし、ケガは選手にとってマイナスです。でも、僕はリハビリ中に体を鍛えなおし、パワーアップして復帰できたのでプレーの幅が広がりましたし、改めて自分の体の強さを感じることができました。二人三脚でリハビリに取り組んでくれたトレーナーの宮田(栄次)さんには感謝しています。
このケガから復帰した2010年にはMFからFWになったことも大きな変化でした。当時の篠田義之監督から「おまえのストロングポイントを生かすためにFWで使う」と言われ、最初は戸惑いましたね(笑)。でも、ゴールを奪うのは楽しいし、FWなら自分の特徴が生きると思って取り組みました。
今思えば、ケガをする前はマイペースでサッカーに取り組んでいたので、サポーターやファンの方にはチンタラやっているように映っていたのかもしれません。でもケガをきっかけにして、普通にサッカーができるだけで幸せだと感じ、それまで以上に取り組むようになりました。手術直後は歩くことさえままならなかったので、周りで支えてくれる方やサポーターにもっと感謝しながらプレーしなきゃいけないと思いました。何より、両親や友だちなどのためにもっとがんばらなきゃいけないと思ったので変わることができたと思います。ケガをしたことでメンタルも強くなったと思います。最初は同じような筋力トレーニングを1日2~3時間、宮田トレーナーと3ヶ月間繰り返していました。サボろうと思えばサボれたかもしれませんが、そこで妥協したら復帰した時に良いプレーもできないし、またケガをしてしまうと思ってマジメにリハビリを続けました。今では良い経験だったと思えますが、今同じことをやれと言われてもできませんよ(笑)。
あのケガで引退を考えたことはありません。手術してしっかりとリハビリに取り組めば復帰できると言われていましたし、早く・うまく治して復帰することだけを考えていました。そういう意味では前向きに考えていましたね。周りに同じケガを乗り越えた先輩もいましたし、当時の強化部長に「おまえが戻ってくることが最大の補強だ」と言われたので、その思いに応えたいと思っていました。復帰した時のキャプテンだったマチ(中町公祐、現横浜FM)さんに「こんなに良い選手だとは思わなかった」と言われ、がんばって復帰して良かったと思いましたよ。復帰した2010年は僕にとって大きな変化の年でした。
笑顔で帰ってもらえるよう 1つでも多くのゴールを決めたい
チームはJ1昇格に向けて順調に進んでいます。僕は個人として良い成績を残せていませんし、スタメンで出場した試合も少ないのですが、残り少ない試合でチームの勝利に貢献するプレーやゴールを決めて、サポーターやファンのみなさんが笑顔でスタジアムを後にして帰られるようにしたいと思っています。1つでも多くのゴールを決めてゴール裏のサポーター席に行き、一緒に喜びを分かち合いたいですね! スタジアムにはそうした醍醐味もあるので、ぜひレベルファイブスタジアムに来て熱い応援をよろしくお願いします!
※シティ情報Fukuoka 2017年10月号本誌掲載