福岡仕事図鑑 CORPORATE FILE 06 株式会社PLAYFUL

2020年04月03日 公開

博多区綱場町『Libre』、博多区上呉服町の『IRODORI』。
この人気の2店舗を手掛ける、大林耕輔さんに話を聞きました。

Gourmet Journal Special Interview!

株式会社PLAYFUL
大林 耕輔 さん
KOSUKE OOBAYASHI

１９８３年生まれ。福岡市出身。高校時代から飲食業界でアルバイトを始め、調理専門学校を卒業後、レストランやホテル、カフェなど、さまざまな業態で経験を積む。２０１３年に『Libre』をオープンさせ独立。2016年には２号店『IRODORI』の営業をスタートさせた。

スタッフ一人ひとりとしっかり向き合い 毎日笑い合えるようなチームを目指す。

本気で仕事をして、本気で遊ぶ。
そんな会社を 一緒につくりあげていきたい！

博多区綱場町の路地裏に『Libre』がオープンしたのは２０１３年６月のこと。店主・大林耕輔さんは高校在学中に飲食業界でアルバイトを始め、地元の調理専門学校に進学。専門学校時代にアルバイトをしていたレストランに就職したものの、厳しい世界から逃げ出すように辞めてしまったという苦い経験を持つ。「そんなときに出合ったのがプラン・ドゥ・シーという会社でした。WITH THE STYLE FUKUOKAのオープニングスタッフとして入社し、バーを中心にカフェやダイニング、宿泊、宴会、セールス、ブライダルなど幅広い経験をさせていただきました。プラン・ドゥ・シーは古い建物を活かしてホテルや飲食店などをつくり価値をつけていく会社でした。街並みや古い建物を活かしながら、街の文化をつくっていく、街を活性化させていくような仕事がしたいと考え、『Libre』をオープンさせたんです」。


▲カウンター越しの会話を楽しみに訪れる常連客も多数

『Libre』のある綱場町界隈には寺社仏閣などの歴史的な建物がたくさんあり、この場所だったらこの街の歴史や文化を伝えていけると感じたという。福岡の観光といえば食というイメージが強いが、それだけではない福博の魅力を発信したいという大林さんの想いがここ『Libre』に詰まっている。

▲さまざまな経験を持つスタッフが集結！ ワクワクするようなアイデアはここから生まれている

大林さんは、現在、年内の法人化をめざし、準備に取り組んでいる。「まずは身の回りの大切な人達に心から応援してもらえる会社を目指したいですし、スタッフが自信を持って『ここで働いている』と言える会社にしたいと考えています」と大林さん。今回、そんな大林さんのもとで働く２人のスタッフに話を聞いた。白神さんはちょうど仕事を辞めていた時期に偶然、街で出会ったことがきっかけで『Libre』に入り、大場さんは飲食を辞めようかと考えていたときに「一緒に頑張ってみない？」と声をかけてもらい『Libre』に移ってきたという。

▲自由に発言し合えるフラットな関係性を築いている

「志があったのに、この世界を諦めなくちゃいけなかった人たち、飲食業で働き続けることを不安に思う人たちをたくさん見てきました。でも、続けるという選択肢もあったはずなんですよね。続けるためには何が必要なのか。その１つが、年齢やスキルに応じた仕事やステータスをつくっていくことだと思うんですよ」と大林さん。飲食を志す人が離れれば離れるほど業界は衰退し、コミュニケーションや文化、さまざまな縁が生まれる〝飲食店〟という場所が減ってしまうことを、大林さんは危惧しているのだ。

「私は福岡の街を元気にしたいと考えているので、人と人が出会い語り合える飲食店が減ってしまうことは、残念でなりません。そこに一石を投じたいという想いがありました。この業界を諦めようとしていたり、不安を感じていたりする人たちには、『最後にうちで働いてみない？ 何か変わるかもしれないよ』という話をさせてもらっています」。一方で、大林さんは飲食や接客の経験がない人や、自分が何をしたいかが見つかっていない若者にも、広く門戸を開いている。「人の役に立ちたい、誰かを喜ばせることが好きといった想いがあれば、経験は関係ありません。ここでさまざまな人と出会い、経験することで、何か夢中になれるものを見つけてくれると嬉しいですね」。大林さんは、一人ひとりの想いに真剣に向き合い、彼らの未来や業界全体の底上げに尽力している。

▲「大林さんは人や縁を大切にされる方。すごく働きやすい環境だと感じています」と話す大場勝美さん

▲もともとは料理人だったが、現在は人材育成や広報などマネジメント業務に取り組む白神優希さん

『Libre』では社員全員が仕込みもするし、サービスもする。「担当を持つとどうしても負担が偏ってしまいます。仕事を分散させることで負担を平均化できますし、急に具合が悪くなったりしても気兼ねなく休むことができます。また、昇給についてはこれができるようになったからとアップするのではなく、先にアップして目標の達成を目指すカタチにしています」。
新会社の予定名称は「株式会社PLAYFUL」。あそびごころ、あそびのある、といった意味を持つ。「あそびながら楽しく生きていけるといいですよね」と大林さん。今後は、ホテルや日本や地域の文化を発信するショップなども展開していきたいという。企業としてさらなる高みをめざす同社で、新たな一歩を踏み出してはいかがだろう。

▲名物『リブレの煮込みハンバーグ』を始め、Libre人気のメニュー