Fuku Spo – アビスパ福岡 /實藤 友紀
實藤 友紀(Saneto Yuki)
ディフェンス・背番号 5
J2で自分たちの やり方を明確にし、J1で戦えるチームにして昇格を。
昨季、プロになって初めての移籍でアビスパに来ました。チームメートはすごくいい雰囲気の人たちが多く、チームに馴染むのに時間はかからなかったですね。 J2からJ1に上がり、J1残留が目標でしたが、J2の頃とは違った厳しい戦いになるのはわかっていました。シーズン中はなかなか勝てず、難しい試合が多かったと思います。そんななかでも目標のために、監督をはじめ僕ら選手も試行錯誤しながらやりました。結果的に目標を達成できずにJ2に降格してしまいましたが、難しいなかでやろうとしていたことは次につながると思いますし、最後まで戦い切ったことは来季につながると思います。この経験をムダにしてはいけません。本当はJ1に昇格してもすぐJ2に落ちることを食い止めたかったんですけど、それを果たせずに申し訳ないと思っています。
僕は、J2でやるのは初めてなのでどんなシーズンになるのか予想がつかないのですが、目の前の試合を一つひとつ勝って行けば、チームは流れに乗れるはず!J2を下には見ていないですし、それぞれのチームが持ち味を出してくるので、それにどう対応していくかがポイントになります。ですから、これまでと変わらずしっかりと相手を分析して戦い、シーズンを通して自分たちのやりたいことを明確にできれば、J1に昇格できると思っています。そのためにJ1昇格、そして残留するビジョンをみんなでハッキリ作っていきたいです。
カンナバーロを参考に、FW時代の経験も生かせた。
僕にとっての転機は大学時代にFWからDFに変わったことですね。当時僕はレギュラーではなく、3軍的な位置づけで紅白戦にも出られない選手でした。1年の終わりくらいにやった紅白戦で、たまたまDFの選手がいなくて野地照樹監督から「DFやってみるか?」と聞かれ、すぐに「やります」と返事しました。試合に出られるならどのポジションでも構わなかったので。その時のプレーが良くて、2年からはDFとしてレギュラーになりました。あれが僕のターニングポイントだったと思います。今でもたまに野地監督とはお会いするんですけど、「あの時、DFを断っていたらプロになっていない」と言われますね(笑)。
それまでのFWとはまったく違うプレーがDFには求められるので最初は荒削りで、自分の感覚だけでプレーしていました。ただ、FWをやっていたので、相手の嫌がることがわかっていたのが良かったですね。プロになることを前提に大学に入ったので、DFをやってみてDFが一番自分の特長を生かせると思いましたし、初めて紅白戦でプレーした時に、「これだ!」という感覚もありました。大学の時は元イタリア代表のカンナバーロ選手の動きをよく見ていましたね。僕と同じであまり大きくはないけど、スピードのある選手だったので。それと自分の持ち味でもある、ビルドアップ時にドリブルでボールを前に運ぶことも意識してプレーしていました。リスクを冒すのはあまり良くないのですが、相手の嫌がることをやろうと思いますから。DFでは予測や相手との駆け引きが大事になります。次にどうなるかを少しでも頭でイメージしていれば、すぐに体が反応しますが、何も考えていなかったら対応できません。ですから僕は常に2~3つのプレーを予測しながらやっています。
先ほどの話に戻りますが、野地監督のひと言がなかったら僕はプロになっていなかったでしょう。本格的にDFを始めて1年目だった2年の全国大会で準優勝して、そこでスカウトの目に留まったみたいです。そういう意味でも、野地監督には感謝しかないです。野地監督は見ていないようで見てくれている人で、サッカー以外のこともよく言われましたね。「大学生だから、勉強や約束事を守ることができない人間は上に行けない」とか、「アルバイトするのはいいけど、夜の仕事は翌日に響く」とか。それを守って、僕は一切アルバイトをしていませんでした。スポーツ科学コースだったので、サッカーを中心に睡眠や栄養のことも勉強していて、しっかり眠ることを意識していました。しっかりと睡眠をとっていないと、次の日のプレーに影響がでるんですよね。よく食べてよく寝ることは基本中の基本だと思いますし、プロになった今でも実践しています。
1年でJ1に復帰するためには、サポーターの力が必要です。
今季はJ2での戦いになりますが、J1に定着するためにJ2でしっかりとチームや自分を見直すいい機会だと捉えています。ここからJ1に這い上がるためにはサポーターのみなさんの力が必要です。昨年に引き続き熱い応援をいただけると嬉しいです。
チームとしては1年でJ1に復帰しなきゃいけないと思っていますし、個人的には全試合出場を果たしてJ2で優勝してJ1昇格を達成したいと思っています。昨年手術した左肩は順調に回復しています。強くなってチームに戻って来れると確信しているので、期待してください
※シティ情報Fukuoka 2017年2月号本誌掲載