博多ラーメンの源流をたどり、見えてくる新たな未来【御忍び麺処 nakamuLab. ✖ うま馬】
博多ラーメン原型の系譜を継ぐ老舗ラーメン店『うま馬』。
完全予約制、泡系鶏白湯で話題を集める『御忍び麺処 nakamuLab.』。
前者は豚骨、後者は鶏ガラと、スープの作りから違う2店だが、
実は『御忍び麺処 nakamuLab.』の店主・中村さんは『うま馬』出身。
博多隋一の老舗『うま馬』の代表・手嶋さんと、
気鋭のラーメン職人・中村さんが考える福岡のラーメンの未来とは。
うま馬代表取締役 手嶋 雅彦
御忍び麺処 nakamuLab.店主 中村 聡志
源流のラーメンに隠された未来へのヒントとは?
中村
「ラーメンを作る上での技術や店舗のマネージメントをはじめ、歴史や考え方といった文化的な部分を、うま馬で学ばせていただきました。そして独立し、豚骨ではなく鶏100%のスープを柱とし、日々自分なりの美味しさをラーメンというフィルターを通して表現する上でこんなことを考えます。それは、現在のように便利な調理器具がないのはもちろん、材料も思うように手に入れることができなかった時代に、どのような工夫をして、お客様に美味しいと思わせる一杯を作りあげたのかということ。そういった意味では、うま馬のラーメンにこそ、そのヒントが隠されていると思っています」。
古きをたずね、新しきを知るという意味の温故知新。中村さんはこの考え方が、ラーメン業界のみならず、飲食全般に必要だと訴える。
手嶋
「昭和初期、三馬路の店主が、鶏ガラでとりたかった幻のスープ、それに合うように仕込む麺など、現代だからこそ検証できることもたくさんある。私も、今、うま馬で出しているラーメンとは全く違うものとして、三馬路が本来目指したけれども、時代背景により生まれることがなかった博多ラーメンを作ってみたいと思っているんです。そういう実践的なことを繰り返していくことで、より美味しい一杯が生まれるかもしれないし、現代のラーメンのクオリティをさらに高めることができるんじゃないか」と、独自の考えを述べる。
現代では、非豚骨系とカテゴライズされるが、時代背景が違っていれば、もしかしたら福岡の主流となっていたかもしれない鶏が主役のラーメン。もしそうであれば、逆に現在の博多の代名詞となっているとんこつラーメンが異端と称されていたかもしれない。じっくり2人の話を聞くにつれ、そんなユニークな仮定も頭に浮かぶ。
博多ラーメンの名を全国区の知名度に高めたオリジナリティである豚骨から煮出した白濁スープ。そんな正統派の豚骨ラーメンの進化系かつ、源流とも捉えられる清湯系豚骨、派生に属する非豚骨系。さらに、つけ麺やまぜそば文化も流入し、ますます多様化する福岡のラーメン業界。それぞれに刺激し合うことで、ここ数年、間違いなく、福岡のラーメンのレベルは格段にアップしていること間違いない。
shop information
御忍び麺処『nakamuLab.』
住所:中川市別府1067-8
電話:090-4358-1696
営業時間:11:00〜15:00/17:00〜21:00
定休日:不定 ※前日もしくは当日までに要予約
『うま馬 祇園本店』
住所:福岡市博多区祇園町1-26
電話:092-271-4025
営業時間:11:30〜14:00(土曜、日祝日〜15:00)/17:30〜23:30
定休日:火曜
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