【インタビュー】舞台『両国花錦闘士』 ジャニーズ Jr.原嘉孝さん 「今こそエンタメの力が求められる時」
明治座・東宝・ヴィレッヂによる“三銃士企画”の第一弾公演として、2021年1月17日(日)~28日(木)に博多座で上演される舞台「両国花錦闘士(りょうごくおしゃれりきし)」。
今回福岡を訪れた、美形でやせ型のナルシスト力士、主役の「昇龍」を演じるジャニーズ Jr.の原嘉孝さんと、プロデューサーの一人であるヴィレッヂの浅生博一さんのお2人が、舞台にまつわるエピソードと博多座公演への思いを語りました。
幕が開いた瞬間に裸の男たちが歌い踊る
どんな方が観ても楽しめる作品。
エンタメの力が求められる今、
お客さんにただ笑って帰っていただけたら
――東京公演も残すところあと2日。明治座での千秋楽を目前にして、今のお気持ちはいかがですか?
<原>無事に初日を迎えて、ここまでやってこれたのは奇跡だと思っています。コロナで大変な中、ここまでやれていることを思うと、多方面に感謝の気持ちでいっぱいです。
――主演が決まった時の心境はいかがでしたか?
<原>プロデューサーと2人で話していたのですが「僕ですか?」とびっくりしました。プレッシャーも感じましたが、僕が主役をやることでこの公演が成立するのであればやるしかないですし、「座長としてカンパニーをどうできるかとかはわからないですし、僕はとにかく役を全うすることしかできません」と伝えたら、「それでいい」と言ってくださったので、二つ返事で引き受けました。
そしてキャストを含め全ての人が、僕が主役の昇龍をやることを応援してくれて。いろいろありましたけど、この作品を成功させたい!っていう思いが、誰一人ぶれなかったんですね。だからこそ僕は胸を張って「やります」と言えたので、本当にカンパニーには感謝していますし、これがカンパニーの力だと感じています。
僕たちだから出せる勢いというものが、この作品にはあると思うので、最後までこのカンパニーで走れるように頑張ります。
――とても印象に残るポスターですが、撮影時のエピソードを聞かせてください。
<原>このポスターは、主演が決まってすぐに撮影したんですよね。早朝6時の六本木のマハラジャです。早朝でこんな笑顔ができるのは、多分僕しかいないと思います(笑)。
全国にビジュアルが出るということで、やっぱりいい状態で写りたくて。ちょっと早めに入って直前までパンプアップをして、この素晴らしいビジュアルができました!いろんなポーズで撮影したのですが、作品のポップな感じに合うということで、これに決まりましたね。とにかく朝が早かったです(笑)
――主題歌はデーモン閣下が担当されていますね。
<浅生>デーモン閣下は相撲の解説もされているので「相撲といえば閣下でしょ」ということで楽曲をお願いしました。作詞と歌を閣下に、作曲は和田俊輔さんにお願いしました。メタル系、ロック系をメインでされている閣下に、ラテンを歌ってもらったというのが、和田氏のすごく面白い発想だと思いましたね。
<原>聴けば聴くほどテンションが上がる曲で、もう耳から離れないんですよね。お客さんも、観に来てくれた友だちも、あの曲がずっと頭から離れないと言っていて。本番前はテンションを上げるために曲を聴いたりするんですが、今回の公演ではこの主題歌を聴いてテンションを上げています。本編でいやというほど聴くのに、本番前にも聴くくらい、大好きな曲です。
――まわし姿で舞台上に立つことについて、抵抗はありませんでしたか?
<原>もともと今年の2月から、この作品とは関係なくトレーニングをしていて。筋トレあるあるだと思うんですが、鍛えた自分の裸を見られるのが好きなんですよね(笑)。ですので、ちょうどよい機会だったというか、本番を重ねれば重ねるほど、自分の体をお客さんに見ていただけて嬉しく感じていますね。変態ですかね(笑)。
でも舞台が結構ハードなので、東京公演で3キロくらい落ちてしまって。絞られはしますけど、全体的に体が小さく見えてしまうのは嫌なので、食事面でも少し気を遣っていこうかと思っています。
――原さん自身が感じる「昇龍」の魅力は何でしょう?
<原>昇龍は、すごく真っ直ぐなキャラクターだと思うんです。僕が昇龍をはたから見たら、すごく憎たらしいやつだと感じる部分もありますが、やっぱり男らしさというか、信念を曲げないかっこよさがあって。そこは舞台上でも、こだわって表現したいと思っていましたね。
――そういう昇龍を表現するために、役作りでこだわった部分は?
<原>信念を曲げないカッコよさを見せたいからこそ、りょうさん演じる桜子に翻弄されたり、女の誘惑に負けてしまったりと“信念がちょっと曲がりそうになる部分”を、もっと過剰に表現したいというのもあって。そのギャップを出すためにどうしたらいいかを、演出の青木さんに相談していました。このギャップがあるからこそ、昇龍の魅力である曲げない信念が、作品のラストでお客さんに伝わるのかなと思っています。
目つきや姿勢、他人と話すときの振り向き方ひとつにしても、そこに性格が表れると思うので、演技面では細かなところにまでこだわっていますね。
――明治座での公演を重ねる中で、感じるものはありましたか?
<原>実際の照明を浴びたり、実際の土俵の上でお芝居をしたりと、稽古場ではわからなかった部分が見えてくる中で、“力士としての昇龍”が自分の中に入っていく感じがありました。所作一つにしても、“原”が演じているのではなくて、“昇龍”として舞台に立てている自分を感じて、公演を重ねるほど、気持ちよくやらせていただいています。
――作品の見どころと、思い入れのあるシーンを教えてください。
<原>見どころを上げだすとキリがないんですけれども、まず幕が開いた瞬間に、裸の男たちが歌い踊り……っていうのは、お客さんがぐっ!とこの作品に引き込まれるポイントだと思うので、オープニングから注目してもらいたいですね。そして、細かい部分で言うと、小道具の雑誌の文字がちょっとふざけてあったりと、お客さんからは見えないだろうと思う部分までこだわりが詰まっています。
ある意味印象に残っているシーンは、昇龍と昇龍のお兄さんとの会話ですかね。もともと僕がやる予定だった昇龍のお兄さん役を木村了くんが演じているんですが、僕がその役に対してやった芝居のアプローチの仕方と、彼のお芝居が全く違ったんですね。こんな演じ方もあるのかとすごく勉強になって、そのシーンは本番でも「やっぱりすごいな~」と感じながら演じちゃいますね。
――力士を演じることによって、力士のイメージに変化はありましたか?
<原>今まで相撲にあまり関わりがなかったので、一からの勉強だったのですが、実際に国技館で相撲を拝見して。やっぱり相撲って、男と男の裸のぶつかり合いなんですよね。武器もなしに、鎧もなしに。本当に強いものだけが勝ち残る世界なので、かっこいいなと思いますし、中途半端な気持ちで演じるのは失礼に値するので、尊敬の念をもって演じさせていただいています。
――今回、昇龍という名前ですが、もし原さんが自身の四股名をつけるなら?
<原> え~、なんだろう……。僕はお肉が好きなので「原肉関」?いや、でも「昇龍」みたいなかっこいい名前がいいですよね。浅生さんなにか付けてくださいよ。
<浅生>メンタルが豆腐なので「豆腐山」?
<原>豆腐山? 確かにメンタルはすごく弱いですけど、それを四股名にしちゃだめでしょ! メンタルの弱さを(笑)。「原肉関」にしといてください!
――福岡のイメージを聞かせてください。
福岡のイメージはやっぱり「食」ですね。今回、ソップ(やせ)形力士である昇龍をやるにあたってトレーニングもしていて、筋肉を見せたい!と思う部分があるので好き勝手には食べられないんですが(笑)。さっぱりしたものを美味しくいただきたいなと思っています。
――「食」は難しいとのことでしたが、その他福岡で楽しみにされていることは?
<原>そうですね、べっぴんさんが多いことですかね!全国でも同じイメージを持たれている方が多いと思いますが、“福岡はべっぴんさん!”という印象がありますね。やっぱり僕もジャニーズの人間なので、女性にはキャーキャー言われたいなと思ってます(笑)。
――博多座の舞台で、お客さんに届けたい思いはありますか?
<原>初めての博多座で座長ということもあり、プレッシャーもありますが、僕一人で作る作品ではなく、キャストスタッフ含め102人で作り出すエンターテインメントだと思っているので、そこは変に気負わず、みんなを信じて演じようかなと。
コロナですごく大変な世の中になってしまったんですが、だからこそ今エンタメの力が求められていると思っているので、ぜひ会場に観に来て下さるお客さんには、何も考えずに笑って帰っていただけたらなと思っています。
――博多座公演で、変わったりするようなところはあるのでしょうか?
<浅生>作品や舞台って、お客様に育てていただいていると思うんですよ。今東京が残り3回、このあと大阪公演を終えて、福岡にお邪魔するときには、より面白くなっているという自負はあります。もともと濃い内容ですが、日々内容がいい意味でとがっていっているんじゃないかなと思います。福岡に来た時に”変わっている”というよりは、より”濃くなっている”んじゃないかと信じています。
――最後に、メッセージをお願いします。
<原>舞台「両国花錦闘士」、この舞台は本当にどんな方が観ても楽しめるような作品になっていると思います。コロナで大変な世の中ですけども、出演者、スタッフ、会場側も感染対策をばっちりでお待ちしていますので、ぜひたくさんの方にご来場いただけたらと思います。お待ちしております。
●原嘉孝(はらよしたか)
’95年9月25日生まれ。神奈川県出身。’10年よりジャニーズ Jr.として芸能活動を開始。ストレートプレイからミュージカルまで幅広い作品で舞台中心に活躍中。近年の主な出演作は『トムとディックとハリー』(’20)、『THE BANK ROBBERY!~ダイヤモンド強奪大作戦~』(’19)、『メタルマクベス』disc2(’18)など。
舞台『両国花錦闘士(りょうごくおしゃれりきし)』
<大阪公演>
2021年1月5日(火)~13日(水)/新歌舞伎座
<福岡公演>
2021年1月17日(日)~28日(木)/博多座
A席13,500円、B席9,000円、C席6,000円(全席指定・税込)
博多座オンラインチケット https://hakataza.e-tix.jp/pc/hakataza.html
博多座電話予約センター 092-263-5555
詳細は博多座公式ホームページへ