【インタビュー】企画・演出・俳優全てをHKT48が担うオンライン演劇『#劇はじ』誕生!! 主演の堺萌香&石橋颯が見つめるグループの未来
結成10周年を迎えるアイドルグループ・HKT48が、この冬かつてないプロジェクトに挑戦していることを知っていますか? それは企画・プロデュース・脚本・演出・衣装・美術・音響・映像・配信・広報・出演など、全てをHKT48メンバーが務める『HKT48、劇団はじめます。』=“#劇はじ”です。メンバーが「ごりらぐみ」と「ミュン密」という2つの劇団に分かれ、それぞれオンライン上で演劇を上演。コロナ禍によりグループとして活動に制限がかかる中で、彼女たちはゼロから作品を創造しようとしています。今回、それぞれの劇団を代表して主演を務める堺萌香さんと石橋颯(いぶき)さんに胸の内を聞きました。
※こちらの取材は撮影時のみマスクを外して行ないました
メンバーだけで初めて全て作りあげる
今回のオンライン演劇を通して、
「私たちはやればできるんだ」と再確認できるはず
――YouTubeで先日配信された中間報告会では、「ミーティングと稽古の日々」「毎日目まぐるしい」といった話が各メンバーから多く出ていました。主演のお二人も緊張感が高まってきているのでは?
堺:やっと一つひとつのシーンを作り終わって、通しで稽古をしているところです。先週ぐらいまでは不安だったんですけど、全体が見えてきたので楽しみになってきました。
石橋:私はまだ不安だらけです。オンラインの演劇だからカメラとかも自分で切り替えないといけなくて、そこが大変だなと思っています。
――予告として公開されている『#劇はじ』のドキュメンタリーでは、皆さん共通してHKT48として現状に危機感を抱いているコメントが多く見られました。お二人もそういった危機感は今回の原動力になっていますか?
堺:48グループの醍醐味である握手会などができないなか、ファンの方が楽しめるものが少なくて。劇場公演が配信になったり、客席一つ空けて公演をしたり、私たちも「なにかできないかな」と常に思っていたので、このタイミングで『#劇はじ』のプロジェクトが始まって、私は「やらなきゃダメだな」って思いました。
石橋:実際にイベントや握手会がなくなって、48グループは「会いに行けるアイドル」というコンセプトですが、ファンの方ともコロナがきっかけで会えない期間が続いています。今回のプロジェクトを聞いた時は、このチャンスで楽しんでくださる方もいるだろうし、新しくファンになってくださる方もいるだろうと思って、なかなかできない経験だから「やろう」と思いました。
――「HKT48は仲が良すぎるから、競争心が弱くなっているかもしれない」といったコメントが予告の映像の中で印象的でした。実感する部分はありますか?
堺:あまり考えたことがなかったんですけど、ドキュメンタリーの映像を見た時に「たしかに…」って思いました。仲が良くて楽しいからOKという気持ちはなかったんですけど、もしかしたらそういった部分も少なからずあるかもしれないと気づかされました。
石橋:自分自身も悔しいとは思うけど、「あの子みたいになりたい」といった気持ちはなかったし、他のグループと比べると競争心はなかったのかなと思います。
――競争心を含め、稽古を通して新たに芽生えた気持ちはありますか?
石橋:これまでは裏方の仕事を知ることもなかったし、仕事もいただいたものを進めていくという感じだったけど、いろんなメンバーがいろんな位置から全部の役割をやっているから、裏方の仕事の大変さを知りました。いつも支えてくださっているスタッフの方々に感謝ですね。
堺:やっぱり責任感を凄く感じていて。本当にメンバーだけで裏方の仕事をやっていて、最終的に作りあげるのは私たち役者だから。みんなの頑張りを背負っているという実感が今までなかったので、プレッシャーは正直あるんですけど、やっぱり頑張らないとなって思いました。
――ちなみに、裏方スタッフで今回意外な一面を発見したメンバーは?
石橋:小川紗奈ちゃん。同期で一緒にいる時間が多いメンバーなんですけど、優しくて色で言えば白みたいな、フワフワした雰囲気の子なんです。今回は広報として凄く動いてくれているみたいで、他のメンバーからも「できる!」と評判です! 見た目からは想像つかないぐらい、テキパキしていて仕事は早いし、同期のみんなが驚いています。
堺:5期生で一番後輩の衣装・美術の川平聖ちゃん。先輩に自分の意見を言うのって緊張するじゃないですか。でも、しっかり「聖はこう思います」というのを伝えていて、私だったら委縮しちゃうので凄いなと思いました。言っていることも的確で。演出の下野(由貴)さんいわく、衣装・美術のメンバーは全員優秀らしいです。「なにも心配していない」って言っていました。「任せる」って(笑)。
――かなりの信頼感ですね。さて、堺さんは以前から演技に興味があったんですよね?
堺:そうですね、自分から「演技がやりたい」、「女優になりたい」と言うメンバーがいる中で、経験もないし、なかなか口に出して言えなかったんですけど、今回は立候補制だったので、「チャンスじゃん!」と思って。この機会を逃したら「演技がやりたい」って言うことはなかったと思うので。ただ、想像以上に難しくて、自分の思うようにいかないことの方が多いから悔しかったりもするんですけど、その分できた時、演出に「それそれ!」って言われた時は嬉しくてハッとなります。
――今回の演劇はグループのメンバーが「ごりらぐみ」と「ミュン密」に分かれていますが、互いの作品については把握しているんですか?
堺・石橋:なんとなく…。
――互いに少し意識していたりとか?
堺:昨日、通し稽古でちょこっと見たんですよ。
石橋:えっ!?
堺:勝負ではないんですけど、お互い負けないようにやらなきゃという気持ちになりました。最初の本読みの段階ぐらいしか見たことがなかったんですけど、その時と全然違って、「ちゃんとできてる!」って感動しました。
――石橋さんは中間報告会では「イントネーションが課題」と話されていましたね。
石橋:自分ではわからないというか、そもそも石橋家がおかしいんですよ。「これどう読むっけ?」と家族に聞いても私と同じイントネーションだし、家では直しようがなくて(笑)。ネットで聞く機械の音声でイントネーションを確認してるんですけど、ネットもおかしいなって。
――ネットは合ってるんじゃないですか…?
堺:颯がおかしいだけやろ(笑)。
石橋:とりあえずそのまま台詞を言って、演出の方々に確認してもらっています。1シーンずつ進めていく中でかなりイントネーションは直ってきたと思います。
――お母さんと一緒に台本にフリガナを入れたりもされているそうですね。
石橋:読み方がわからなくて…(小声)。最初に出てくる台詞の「見入ってしまいます」はさすがに読めると思ってお母さんに聞かなかったんですけど、「みはいってしまいます」と読んでしまって。仕事の合間にも台本の写真を撮ってお母さんに送って確認していました。
――そして「ミュン密は人見知りでおとなしいメンバーが多い」といったメンバーの声もありました。
石橋:初めて会うスタッフさんとかが部屋に入ってくると、みんな「お疲れ様です」の後は「……」で。無言の時間が結構あって(笑)。
――では、もしかして今も猫かぶってます?
石橋:はい、そうです(笑)。実際は違います(笑)。
堺:ごりらぐみも似た雰囲気だと思います。メンバー同士だと話せるんですけど、初めての方が入ってくると一回空気を読み合う、みたいな(笑)。客演の方々とはいまだに緊張します。
――それでは、お二人から見た2作品の注目ポイントを聞かせてください。
堺:『不本意アンロック』は現実にはない特殊な設定が多いです。お客さんを置いていかないように意識しているので、集中して観ていただけたら嬉しいです。お客さんの意識を引けるような演技や演出をできたらいいなと思います。ひきこもりの主人公が謎の人物から急に「キーパーソンになってください」と言われて、最初は乗り気じゃないんですけど、どんどん降ってくるお願いを達成しているうちにどう成長していくのかが一番の見どころかと思います。ひと言で言うと成長物語です。
――そして、ミュン密の作品はアイドルを目指す女子高生の物語ですよね。
石橋:『水色アルタイル』は主人公の女の子がアイドルを目指していて、スーッと入ってくる話なので、気軽に観ていただけたら。そして最後はきっと凄く感動すると思うので、皆さんが観終わった後に「自分も頑張ろう」って思えるような作品になっていると嬉しいです。「夢を諦めない」というメッセージを伝えているので、色んな方に観ていただきたいです。
――5日間20公演を経た先に、グループとして成長や進化を期待する部分はありますか?
堺:メンバーだけで作り上げるというものは今までなかったので、今回の『#劇はじ』で「やればできるんだ」と再確認できると思います。これまでは受け身になっていた部分が大きかったので、みんながもっと積極的に動いて、足りなかった部分…競争心ももちろんだし、「やるぞ!」っていう気持ちが今芽生えているけど、それに達成感がプラスされたらもっと大きなものになると思うので、今後の活動に活かせたらいいなと思います。
石橋:イチから作るとなるとかなりのアイデアが必要です。これまでだったらアイデアを求められても全然出てこなかったし、他のメンバーに頼ってばっかりだったんですけど、今回の経験を通して発言する力や考える力もつくだろうし、いろんなことに対して「自分はできる」っていう自信がみんなつくと思うから、みんなが自分から動いて支え合いながら、改めて上を目指して頑張っていけたらなと思います。
【プロフィール / HKT48】’11年10月、メンバーの平均年齢13.8歳というAKB48プロジェクト最年少グループとしてお披露目。’12年6月にAKB48から指原莉乃がHKT48への移籍を発表。そして’13年3月にデビューシングル『スキ!スキ!スキップ!』を発売。チームTIIの堺萌香は4期生の22歳、研究生の石橋颯は5期生の15歳。
■公演日程 / チケット
日程:
2月20日(土)、21日(日)、23日(火・祝)、27日(土)、28日(日)
※全5日間20公演
『水色アルタイル』…昼公演11:00開演(10:30開場) / 夜公演17:00開演(16:30開場)
『不本意アンロック』…昼公演14:00開演(13:30開場) / 夜公演20:00開演(19:30開場)
※上演時間は80分を予定
■チケット購入はオンライン劇場「ZA」にて
https://za.theater/