Fuku Spo – アビスパ福岡／村上昌謙
GK 村上昌謙（Murakami Masaaki・背番号31）
ボールと熱い思いは 真正面から受け止めたい
無失点にこだわりながら勝ち点を順調に積み上げ、現在5位に位置付けるアビスパ福岡。人々の思いを背負いながら、村上昌謙は福岡のゴールを守り続ける。
僕一人でボールは止められない
シーズンも中盤になりますが、チームとしては開幕当初から変わらず「10位以内」という目標を掲げています。個人としても、一戦一戦に集中しながら、無失点の試合を一つでも増やしていきたいです。今現在（取材時）、Ｊ１で5位。すごくいい順位だとは思いますが、まだシーズンは終わっていません。これからも勝ち続けないとこの順位はキープできないと思うので、気を引き締めたいですね。Ｊ１とＪ２の違いは、止める・蹴るという基本技術のレベルの高さ。チームとしては守備・攻撃において組織の質の高さを感じています。僕らも、チームの守備という点では、すごく手応えを感じています。開幕当初から鍛えてきた、チームとしての守備の部分が、試合で表現できるようになってきました。相手にシュートを打たれる際、より近く相手に寄せられるようになったので、シュートがゴールの枠をそれたり、セーブできる回数も増えてきたのかな。今シーズン、僕の中で記憶に残ったのは、FC東京戦（第10節）でのセービングです。ディエゴ・オリヴェイラ選手が裏に抜け出してシュートしたシーン。僕はそれを弾ききれなかったのですが、そのボールがポストに当たって外れたんです。ぎりぎり失点を免れたのは、スタジアムの雰囲気や、サポーターの皆さんの気持ちのおかげなのでは…と僕は勝手に思っています。
僕はキーパーなので、まずは失点をしないことを第一に考えて試合に臨んでいます。強みは、一対一でのシュートストップだと思っていますが、弱点はその他全部です…。まだまだ全ての部分でレベルアップしないといけません。チームが苦しくても失点しなければ勝ち点は１、もしくは３取れるようになると思うので、無失点で終えて勝ち点を取れるキーパーでありたいです。
ここでの出会いは僕の財産
’20年に、アビスパに移籍してきましたが、やっぱり長谷部監督の存在が大きかったですね。僕は、監督から直接お話をいただき、移籍を決めました。Ｊ１を経験しているクラブですし、自分自身を高めるためにも、このチームで勝負したいという気持ちが強かったと思います。
昨シーズンは、ジョン（セランテス）という素晴らしいキーパーがいました。お互いにリスペクトしていて、学ぶことがたくさんありましたが、チームの関係でアビスパを離れることになりました。そういった選手の思いを背負って戦うことが、残された僕たちに唯一できることだと思っているので、プレッシャーや不安よりも、使命感が大きかったです。僕が来た時から、ジョンはすごく日本語が上手でした。1年間でかなり覚えたみたいで…。そこにまず驚きましたね。他の国でやるとなれば言葉も難しいと思いますし、コミュニケーションも取りづらいと思うのですが、努力して日本に慣れようとしてくれる姿に感銘を受けました。そんな選手と共にできたのは、僕自身には大きな財産になったと思っています。
編集部からのQ＆A
Q.休日の過ごし方は？
今年3歳になる娘がいるんですけど、娘と散歩したり、家で遊んだりするのが息抜きになっています。今は娘の遊びを覚えるのに必死です（笑）女の子だから塗り絵とかよくやるんですけど、「パパ黄色！」と指示された場所を、綺麗に塗るのを頑張っています。ときどき絵を描いてくれって言われて少し困るのですが、ヘタクソなりに頑張っています。いろんなキャラクターを指定されるんですけど、「これ絶対違うやろ…」と、薄々思いながら描いていますね。やっと最近、パパがサッカーしていることを理解してくれたみたいで、家で他のチーム同士の試合を見ていたら、緑色のユニフォームの人を見て「パパ～」って（笑）パパはすぐ横にいるのに…。
Q.プライベートで交流のある選手は？
大学時代から湯澤選手を知っていて、子供の年齢も近いので、スタジアムで会ったらよく遊んだりしていますね。これから仲良くなりたい選手は、まず外国籍の選手。8人いますし、家もそこまで離れてないので、もっと交流を深めて、日本に来てよかったなって思ってもらえるようにしたいですね。海外から来ていろんな経験をしている人たちなので、刺激が貰えて自分のためにもなると思うんです。これから、もっとコミュニケーションを取っていけたらいいなと思います。
サポーターの皆さんにひとこと！
いつも応援ありがとうございます。コロナ禍ではありますが、皆さんの応援が僕たちの力になって、今の順位があると思います。だけど、まだまだシーズンは続きますので、これからも熱い応援よろしくお願いします。
〈PROFILE〉
村上昌謙
生年月日 1992年8月7日 身長185㎝ 体重85㎏ 出身地 滋賀県
’20年、水戸ホーリーホックからアビスパ福岡へ完全移籍し、今シーズンはリーグ戦フル出場中。どんなボールも鮮やかにセーブすることから、サポーターの間では“村神”の愛称で親しまれる。常にストイックで、娘との遊びにも全力。
文・取材／岩井咲里香