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【インタビュー/舞台】コンドルズ、思い出のイムズホール公演について語る!

21世紀の始まりから、常に日本のコンテンポラリーダンス界を代表し、けん引してきたコンドルズ。’01年の福岡初演から20年間にわたって公演してきたイムズホールでのファイナル公演の開催が決定。そこで、プロデューサー・勝山康晴さんと、福岡出身・ぎたろーさんにイムズ最終公演について語ってもらった。

ぎたろー(右)・勝山康晴(左)

 

僕の”初めて”が詰まった場所、それがイムズなんです。(ぎたろー)

 

—次がイムズホール最後の公演となりますが、印象的なエピソードはありますか?

勝山:思い出してみたらたくさんあります。2001年、21世紀の初めからずっとやってきたんだけど、それこそ僕らがブレイクし始めて人気が出たときも、落ちたときも一緒に過ごしてきましたからね、イムズとは。ツアーのスタートがイムズホールっていうのがすごく多かったんですよ。イムズホールさんは、コンドルズのことを応援してくれていて、劇場の準備時間を多めに貸してくれていたんです。普通は1日なんですけど、2日貸してくれて。これは、舞台をやっている人間にとってはすごく大きかったですね。僕らもそれを見越して、東京で稽古して、まだできてないけどイムズに持っていって最後に仕上げようっていう、めちゃくちゃの作り方をしていました。イムズのおかげでできた作品とかもたくさんあるので、ここでの思い出は数限りない。作品を一緒に作ってきたっていうイメージが僕にありますね。館長の古場さんが新米社員の時から友達で、今は出世しているし、僕らも人気出てきたし…。

—イムズホールはお二人にとってどういう場所ですか

ぎたろー:僕は福岡出身で、初めてお金を払ってデートをしたのもイムズの『ピエトロ』で、初めて自分のお金でチケットを買って舞台を観たのもイムズなんですよ。僕が入る前に、初めて僕がコンドルズを見たのもここで。初めて見た舞台はすごくかっこいい男優さんがいらっしゃったんですよ、東京の劇団の。でもすごい滑舌の悪い人で、そこで「個性で滑舌がカバーできるんだなぁ」って気づいて、僕やれるかもしれないって。高校生でコンドルズの公演を観た時は、「これ、太っていてもやれるかもしれない」って思って…。イムズは僕にとっては、“一歩踏み出した場所”。だから、それがなくなってしまうのはすごく切ないですね。僕が印象的だったのは、コンドルズでの公演を初めて父親が観に来たときですね。初めて観に来たのに、お客さんをいじるコーナーでうちの父親が立たされて。なんかふわっとウケもせず、終わった後に父親に「ああいうことするんやったら先に言わんといかんやろ」って。でもそう言っている顔が、まんざらでもない感じで。僕も恥ずかしかったけど、そんな父親を見てなんだかよかったなぁっていうのが思い出ですね

勝山:あったね~、そんなこと!「やめて下さいよー!そんな父親じゃないんですから!」って言っていたよね(笑)

 

何かに繋がるきっかけになってほしい(ぎたろー)

 

—『GET BACK』はどんな公演になりますか?

勝山:20年間イムズさんでやらせていただいて、実はちょうど25周年なんですよ。だから、ベスト版をやろうと思っています。イムズの歴史って言ったらコンドルズの歴史なので!1番おいしいところというか、今まで良かったものを全部集めて集大成といえる作品を作ろうと思っています。懐かしいお客さんはそうですが、初めてのお客さんが見ても当然楽しいし見やすい作品になると思います。やっぱり華やかな作品にしたいですね。元気に送り出す感じでね。湿っぽいのは似合わないと思うので。

題名が『GET BACK』なんですけど、これってビートルズのラストシングルなんですよ。ビートルズが解散しそうになって、メンバーがバラバラになった時に、ポールが「もう一回皆元に戻らないか」というメッセージを込めて『GET BACK』という題名で曲を作ったっていう。まぁ、それもモチーフにはしていますね。東京って今、コロナで結構ギスギスしているんですよ。結構バラバラな感じ。例えば、東京五輪の話とかも、口を滑らせるとどこかに怒る人いそうじゃないですか。だから、「ワクチンとか打って当然」とか簡単には言えないし。バラバラだし、ギスギスもしている日本が、完全に元通りは難しいかもしれないけど、もうちょっと仲良くやっていた時期あったじゃん。福岡がどこまでバラバラなのかわからんけど、そういう空気感も醸し出せたらいいな。1つになろうとは言わないけど、もうちょっとうまくやっていたときのことを思い出そうっていう気持ちもあって『GET BACK』っていうタイトルがいいなと。コロナ禍に対するメッセージはやっぱり伝えたいですね。あと、単純に「イムズ戻ってきて」っていう意味もね。

ぎたろー:注射もですね、打っているって言うと角が立つし、打っていないって言うとそれはそれで角が立つし。気軽な会話がしづらいワードが多すぎる。しかもね、意外と話しやすいテーマなんですよ(笑)。不用意にしゃべると喧嘩ふっかけてくる人もいるから…。

勝山:『GET BACK』って、コンドルズ解散公演の時につけたい題名ですよね。僕たちコンドルズは解散するわけではありませんよ!来年も福岡でやりますので!

—イムズ最終公演に向けて、意気込みをお願いします。

ぎたろー:僕個人的な話でいうと、この前付き合っている人の両親と、うちの両親で初めてZOOMで顔合わせをしたんですよ。それ以降初めて公演になるので、彼女も見に来る可能性もあるし。だから、うちの両親と一緒に見る可能性もあるんですよね。2回目の顔合わせを舞台で迎える可能性があるので、みんなが笑顔になれる作品に…。

一同:(笑)

ぎたろー:波乱にならないように頑張りたいですね。意気込みでいうと、イムズは僕を大人にしてくれた場所なので、「ありがとう」っていう気持ちもそうなんですけど、公演を観に来てくれた僕ぐらいの若い人がいたら、イムズホールみたいなところに立ちたいとか、あいつが踊れるなら俺もいけるなぁとか、何かに繋がるきっかけになればいいなと思います。

 

イムズもいい意味で無駄がいっぱいなんだよね。(勝山)

 

勝山:大人のビルでしょ?イムズって。

ぎたろー:吹き抜けのビルってあまりないですよね。そして、イムズって余裕がある人多いですよね、いろんな意味で。吹き抜けもそうだし、劇場もあるし、エレベーターも遅いし。

勝山:人としての余裕を試されるというか。

ぎたろー:素敵な唯一無二の場所なので、それがなくなるっていうのは悲しいし、コロナでライヴが軒並み無くなっちゃったじゃないですか。結局、みんなYouTubeとかライブ配信とかになっちゃって。そのとき思ったんです。「リアルタイムで見なくていい」って。それが楽だって。サブスクとかもそうだし、リアルタイムで一緒に見るよりも自分の時間で見たほうが無駄がないっていうのもわかる。でも、無駄なことをやって共有する時間は、それはそれで大切だったんじゃないかってすごく思うんですよね。自分の時間が大切!コスパ!みたいな、ここ1年すごく聞いているような気がして。本当にいろんなことに余裕がなくなっちゃったんだなと思って。『GET BACK』を観て、そういう気持ちを思い出してもらえたら嬉しいなって。こんな適当な、いい意味でね、ダンスもあるしコントもあってジャンルレスだし、いろんな歳の人がいるし、すごく踊れる人もすごく踊れない人もいるし。いろんな人が1つのことを楽しみながら一生懸命やっている姿を見てもらって。こういうのも悪くないよねってことを思い出してもらえるといいなって。それがライヴなんじゃないかなって、すごく思うんですよね。

勝山:僕は妻が福岡の人で、最初に出会ったのがイムズなんですよ。公演の手伝いに来ていた子で、東京の大学生なんですけど、実家が福岡で帰ってきていて。帰ろうとしていたら、なぜか眩しい場所があって。そこには今の妻がいて、照明が当たっていただけかもしれないけど、それで気になって。手伝いの子って聞いて、「じゃあ、打ち上げに来てよ」って誘って喋ったのがきっかけで付き合うことになって結婚したっていう。だから、イムズが出会いの場だったんですよ。いやー、今度そこに立たせて写真撮ろうかなぁ(笑)。ここが初めて君を認識した場所だよって。運命の場所ですよね。

ぎたろー:僕はまだ、コンドルズに入って10年なので、知らない10年があるんです。知らない10年を『GET BACK』を作るにあたって、知れたらいいなって思います。

勝山:知らなきゃ良かったみたいのないかな(笑)。

 

福岡の女性が評価されているのは意外なところなんです。(勝山)

 

勝山:福岡って僕の感覚でいうと、いろんな街で仕事してきて、少なくとも日本の中で街の規模とか、活動する時にすごくバランスが取れているなって。東京から距離もあるから、街としての独自性があるんですよ。地方都市の1番良い街は福岡だと思っています。見習うべきだと思うくらい。

ぎたろー:僕も東京に出て思いますね。僕も居る時は別に福岡が好きで住んでいたわけでは無くて、お芝居をやるうえで福岡じゃ進めないなと思って上京したので。コンドルズで福岡の公演をするようになって、「福岡の人ってこんなに温かかったっけ?」って思うんです。あと、東京で聞く、福岡の評判が著しくいい。凄いですよ。多分福岡の女性人気が半端ないですよ。ホスピタリティーが半端ないって。

勝山:僕も、福岡がずっとナンバーワンだと思う。この国、いや、この星の中で。これはずっと言い続けていましたけどね。絶対福岡の人と結婚するって言っていたんですよ(笑)。福岡の女性はやっぱり人気ありますよ。何が1番すごいって、女性スタッフの方と飲みに行くじゃないですか。みんなが平気で最後に豚骨ラーメンを食べているんですよ(笑)!絶対食べないですよ、東京の人たちは夜中に豚骨ラーメンなんて。いやー、かっこいいなぁ、こういう人達と付き合いたいなって思います。全員食うじゃん、「当たり前でしょ!」みたいな。あれは意外と普通じゃないんですよ。これは衝撃だったね。福岡は、意外なところが評価されているんですよ。

コンドルズ イムズ最終公演01→21『GET BACK』

日時 8月21日(土)13:00/17:00開演 ※13:00公演は0歳児から入場可能。※17:00公演は4歳未満のお子様の入場はご遠慮ください。

会場 イムズホール

料金 一般4500 25歳以下3500 4歳~11歳2000(前売券完売/当日券販売あり※数に限りがございます)

お問い合わせ コンドルズ福岡公演事務局  ☎092-532-1830(平日10:00~17:30)

 

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