【福岡麺本2021】ラーメンライター上村敏行が行く!“私が[博多玉]に通い詰めるワケ。”『博多玉(愛称 ダマ)』
舌にも心にもさりげなく刻まれている
それが”ダマ”の魅力です!
ラーメンライターとして20年にわたり啜りまくっている私、上村敏行がプライベートで最も頻繁に訪れると言っていい豚骨店。それがズバリ『博多玉』である。常連客の間では“ダマ”の愛称で通った福岡市・大橋の名店。
ちなみに屋号の“玉”は、まず“替え玉”の麺を連想するだろうが、それはそれで正解。自家製麺に絶対的な自信をもち「マストで替え玉まで楽しんで欲しい」との思いが込められている。そして、もう一つ、実は店主・児玉皓(こだまあきら)さんの一字を掲げていることも付け加えておこう。『博多玉』(=ダマ)。出しているラーメンと同じくシンプルかつ印象にも残り、響きもいい。私的にとても好きな屋号だ。
『博多玉』との出会いは約7年前の2014年、店がオープンしてすぐのこと。新店の情報を聞きつけ食べに行ってみると、とにかく旨い。そして安い。その場で児玉さんに挨拶をしたら丁寧に対応してくれ、ラーメン談義に花が咲いたことを覚えている。以来、ラーメンの味、店主の人柄、両方を含めた“ダマ”のファンとなった。
児玉さんは、1983(昭和58)年福岡市出身。15歳の時、生まれ育った地元界隈のラーメン店でのアルバイトから職人としてキャリアがスタートし、今までラーメン一本で腕を磨いてきた。なかでも美学を見出したのは“ごくごくシンプルな博多豚骨”。
「早くから自分の店をだすという明確なビジョンを持ち、勝負するなら絶対に“普通の”博多豚骨と決めていました。理由は単純。なにより自分の好きなラーメンがそれだから。開業前に調理師免許も取り、さまざまなジャンルの料理、ラーメンも勉強しましたが、それもひとえに、“王道の博多ラーメン”に磨きをかけるため」と児玉さんは振り返る。
写真からもわかるが、『博多玉』のラーメンは奇をてらうことのないクラシカルなビジュアルだ。味わいもしかり。
スープを飲むと、最初の印象はあっさりで優しい。しかし、食べ進めるごとに旨味がグワンと押し寄せ、確かめるように何度もスープを口に運んでしまう。擬音で表現するなら“コク、コクッ”と、顎の骨に振動が伝わるような、心地よい歯応え、コシのある自家製麺もすばらしい。食後は、豚骨の余韻と共に包まれる多幸感。ガツンとしたインパクトではなく、どこか心にスゥ~っと忍び込んできて、次の日もまた食べたくなる。それが同店のもつ不思議な魅力である。
ラーメン一杯550円。このコスパで辛子高菜もお代わり自由(しかも箸でワシャッと掴める)とは、児玉大将の心意気に拍手!と言うほかない。
さらに、麺酒場としての“夜ダマ”(私は勝手にそう呼んでいるのだが)の魅力も伝えておきたい。揃えているアルコールの中には、ラーメン店では珍しいテキーラ各種。「たまたま同じ名前だったんです(笑)」と、「コダマ飲料」の「コダマバイスサワー」も置いてある。
ラーメンはあくまで正統派であるが、サイドの部分に、児玉皓という男のファンキーさ、お茶目な部分を覗かしているようなメニュー構成がおもしろい。私自身、「テキーラ飲み比べセット」でヘベレケになり、ラーメンでシメる。という楽しい夜をこれまで何度も過ごしてきた。
昨今の状況下ではなかなか難しいかもしれないが、深い時間に気の合う仲間と“ダマ”で飲み、啜りまくる。そんな良き日常が早く戻ることを期待している。
[所]福岡市南区大橋1-14-8
[☎]090-4772-5328
[営]11:00~16:00 / 18:00~24:00、土曜11:00~24:00
[休]日曜(月曜が祝日の時は日・月曜連休)
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