【福岡麺本2022 – vol.11】博多豚骨にひたすら向き合い、ラーメン新時代を勝ち抜く職人『ラーメン やまもと』
皆に愛され続ける「いつもの店」
それは一朝一夕では成し得ない
どの業種の職人でも、いわゆる“いぶし銀”の雰囲気、オーラをまとった人がいるものだ。ラーメン職人においては、麺場での流れるような無駄のない動き、肩の力が抜けた緩い構えだけれども、スキのない武術の達人のような風格を醸す人を、特に老舗豚骨ラーメン店で見かけることがある。
春日市、筑前町の両地に店を構える『ラーメンやまもと』の店主・山本雅彦さんもまた、そんな“熟練の豚骨ラーメン職人”の域に達した一人だろう。キャップから覗く優しくも鋭い眼差し。スープ、麺釜だけでなく、常に客の動向にも気を配る。
山本さんは今は亡き父親と店を始め、継承した二代目。創業の1983(昭和58)年から40年近く、ひたすら王道の「博多ラーメン」と向き合ってきた。同店の最大の特徴であるのが、フレッシュな「取り切りスープ」だ。「ご飯やパンと同じくラーメンのスープもできたてにまさるものなし」という考えのもと、営業中もサブ釜の着火のタイミングに気を払い、完成した“できたて”のスープを次々と送り出す。熟成、酸化を極力させない製法のため、においをより抑えられる利点もあるのだ。“フレッシュ”といっても味はコク深く、芳醇。“あっさり”“さっぱり”の中でも幾重にも広がる旨味を確かめるように何度もスープに口を運び、ついつい飲み干してしまう。そんなイニシエ系タイプの豚骨ラーメンだ。
麺は一般的な断面の“角”ではなく、圧をかけ“楕円”に加工したものを老舗製麵所に特注。味玉には福岡県・朝倉産のブランド卵「輝黄卵」を採用している。「“飽きのこない博多ラーメン”という命題のもと、常に“より旨くなる”を追求してきました。お客様から“どこか懐かしい”と言われることが最大の誉め言葉ですね」と山本さん。
昨今は、自慢の豚骨ラーメンをベースにした『担々麺』もメニューに加え、個包装の持ち帰りラーメン、オリジナルの辛子高菜も開発するなど、時代のニーズに合わせた新しい取り組みにも積極的だ。「体が動く限りラーメン屋のオヤジであり続けたい」。山本さんは今日も自ら厨房に立ち、最高の豚骨ラーメンをホスピタリティあふれる接客で迎えてくれる。
[所]福岡県春日市下白水南1-8
[☎]092-573-8594
[営]11:00~21:00(OS20:40)
[休]木曜(祝日の場合営業。翌日休み)
[HP]https://ramen-yamamoto.com/
[Instagram]@ramenyamamoto
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※この記事は「福岡麺本2022Vol.11」より抜粋して記載しております。