【インタビュー】Fuku Spo – アビスパ福岡 / 井手口陽介
MF 井手口陽介(Ideguchi Yosuke・背番号99)
上を見過ぎず、目の前の1試合1試合に集中!
今年2月、 電撃的に発表された井手口陽介の期限付き移籍による加入。
このニュースにアビスパサポーターは沸いた。
現在、その期待に違わぬ活躍を見せる彼だが、開幕直後にケガで離脱するなど順風満帆ではなかった。
リハビリ中に何を思い、今後の目標をどこに置いているのか聞いた。
「試合に出たい」思いが強く、即決したアビスパへの移籍
サッカーファンなら誰もが驚いた元日本代表MF井手口陽介のアビスパ加入。
小学生まで福岡市のクラブチームでプレーしていた彼は、アビスパからのオファーをどう受け取ったのか?
さらに、幼い頃に見ていたクラブでプレーする今の心境とは?
「セルティックで試合に出られず、『試合に出たい』という気持ちが強い時期にオファーされて嬉しかったです。
なかなか(僕を)欲しいというクラブがなかった中で声をかけてくださったので、すぐに行こうと決めました。即決でした。
アビスパに持っていたイメージは、小さい時に見ていたというくらいです。
子どもたちのお手本になることは意識していませんが、アビスパのサッカーを見て『僕もこうなりたい』と子どもたちに思ってもらえるようなチームや選手になれたらいいと思います」。
絶対に強くなって、チームの力になる!
開幕戦、続く第2節で途中出場して試合勘を取り戻した井手口は、第3節・柏戦で待望の初先発を飾る。
しかし、前半終了間際に彼をアクシデントが襲う。
サイドライン側に倒れた彼はそのまま途中交代。
後日、発表された診断結果は全治3ヵ月の骨折だった。
「“絶対に強くなって戻り、チームの力になれるように、と思ってリハビリを続けていました。
3ヵ月でしたけど、割と短く感じました。
毎日、トレーナーとマンツーマンでジムトレーニングやピッチでのトレーニングをやってもらえたので、それがすごくプラスになりました。
トレーナーがしっかりと寄り添ってくれたお陰ですね」。
この言葉どおり、第16節・G大阪戦で途中出場してパワーアップしたプレーを見せた。
続く第17節・名古屋戦で先発メンバーに名を連ねてから、先発フル出場を続けている(9月3日時点)。
今では、“アビスパのダイナモ”と称され、チームに欠くことの出来ない選手となっている。
井手口といえば、ピッチを縦横無尽に駆け巡る豊富な運動量と、相手からボールを奪い取る力。
Jリーガーの中では決して大きいと言えないその体で、屈強な相手選手から軽々とボールを奪って見せる。
それはなぜなのか?
「感覚(笑)? コツや気持ちの強さは、どうなんですかね? 僕にはわからないです
ね、すみません。
「ボールを奪える」と思ってプレスに行きますが、一人でボールを奪えるわけじゃないです。
前の選手や後ろの選手などチームメイトが、パスコースや相手のプレーを限定してくれているお陰でボールを奪えます。
そうした準備が大事だと思います。
結果的に僕がボールを奪っていますが、チームメイトのプレーがあるからこそです。
「小学生までFWでしたし、(ボール奪取は)全然得意じゃなかったです。
プロになってからこういう守備的なプレースタイルになりました。
プロになったG大阪には当時、ヤット(遠藤保仁)さんや今野(泰幸)さん、明神(智和)さんがチームメイトにいたので、そうした先輩たちのプレーが勉強になりました」。
彼のもうひとつの武器がミドルシュート。
あのパワフルなミドルシュートにもサポーターが期待を寄せる。
「ボールを蹴ることは得意だったかもしれません。
練習というか、ずっとボールで遊んでいました。
それが今のミドルにつながったのかもしれません。
ミドルシュートだけじゃなくて、前に絡んでいってクロスに飛び込んだり、相手の裏に飛び出してのゴールも狙いたいです」。
守備から攻撃のスイッチを入れ、アシストやゴールを狙えれば第26節を終えて、今季の目標である8位につけ、J1リーグ戦の残り試合は8つ。
今後の目標を彼はどこに置いているのか?
さらには、クラブ史上初のベスト4進出を決めた天皇杯、プライムステージに進出しているルヴァンカップなど、アビスパ初のタイトル獲得も現実味を帯びてきたが、井手口はどう感じているのか?
「個人としては、守備もそうですけど、守備から攻撃につながるスイッチを入れたり、そこから前に走って、アシストやゴールという結果を残せればいいと思います。
チームとしては流れが良い時も悪い時も来ると思うので、悪い流れの時こそチーム一丸となってやっていけたらいいと思います。
(タイトルは)まだわからないですね。目の前の1試合1試合に集中してやっていけたらいいと思います。
上ばかりを見過ぎてしまうと、気負い過ぎて普段のプレーが出せなくなることもありますから、自然体でプレーして今のチームの力を出したいです」。
最後にサポーターが最も気にしている来季について聞いた。
「こればかりは僕もどうなるかわからないので、今できることをやっていくだけです」。
タイトルの話同様、先ばかりを見ても仕方ない。
だからこそ、今やれることをチームのために全力でやる。
そう言っているように聞こえた。
とにかく今は、クラブ史上最高のシーズンを送っているアビスパを、それを支える選手の一人、井手口陽介を応援したい。
【プライベートQ&A】
Q.オフの過ごし方は?
A.僕がオフの日は子どもは学校に行っていることが多いので、休みが重なったら、 今は海に行くことが多いです。
奈多海岸によく行きますね。
Q.お気に入りの飲食店はありますか?
A.特に決まった店やメニューはありませんが、福岡は海鮮がおいしいですね。 お気に入りはまだ見つけていないです。
小さい頃は「焼肉ウエスト」や近所にある街のラーメン屋によく行っていました。
〈PROFILE〉
井手口陽介
ミッドフィルダー 背番号 99
生年月日 1996年8月23日
身長 171cm 体重 71kg
出身地 福岡県福岡市
幼い頃からサッカーをはじめる。 小学校を卒業後、G大阪ジュニアユースに加入し、 高校3年時にトップチーム昇格を果たす。 2016年にU-23日本代表、さらに日本代表にも選出された。2018年、イギリスのリーズへ完全移籍し、スペインのレオネサへの期限付き移籍。その後、ドイツやスコットラントでプレーし、今年2月アビスパに加入