【パンと器】ふくちゃん家(東峰村)
東峰村に週末の金・土・日曜のみ営業している、
山の上のパン屋を知っているだろうか。
「ふくちゃん家」というパン屋は東峰村の小石原交差点の角にある。
元々はシェフの祖父母が住み、よろず屋をされていた建物だそう。
ひょんなことから、シェフのお母様が知り合いの方からオーブンを
譲り受け、それで何かできないかという思いでシェフ(息子さん)が
パン作りを独学でスタートして今に至るという。
お店に入るとカウンターに名物の生食パンから菓子系、総菜系とパン達が並ぶ。
生食パンに次ぐ人気商品のメロンパンは、卵の色味がきれいに出た
クッキー生地が程よい甘さで中のパン生地といい塩梅。
老若男女に大人気のふくちゃん家のエース級のパンで、
早い段階で売り切れることも。
電話で予約も受けているそうなので、確実に購入したい方は予約がおすすめだ。
ふくちゃん家のラインナップとしては珍しい、
しょっぱい系の旬を使った総菜パンも人気で、
「今の時期は玉ねぎが甘くておいしいんですよ~」と教えてくれた。
旬の食材を使ったパンは時期によっては並ばないこともあるので
見かけたら迷わず購入をお勧めする。
また、時々レア商品の「カヌレ」が並ぶことがあり、
このカヌレをめがけて県外などの遠方からも来るお客さんもいるそう。
商品ラインナップなどはインスタか電話で確認をしてみて。
レギュラーのラインナップは食パン含む7種。
どのパンにも安心安全な食材を使用して、余分なものは一切入っていない。
フランスのグランデ塩、北海道の四つ葉バター、カナダ産の小麦など、
厳選された食材で作られるパンたちはいい意味で素朴だ。
オーナーは「真面目に素朴なパン」とも取材中に話してくれた。
そして名物の生食パン。
これを目掛けて週3日の営業日はお客さんが駆けつける。
万能な食事パンだからこそ食べ方は人それぞれだ。
何もつけずにトースト、バターやチーズをのせてトースト、
好みのものを挟んだサンドなどその日の気分で味わってみて。
「実はこの生食パンの一番おいしい食べ方は買ったその日に
そのままちぎって食べるのが至高なんですよ」とオーナー(シェフのお母さま)。
確かに食パン本来の甘みと小麦の風味を一番わかりやすく味わえる。
実際に取材後の夜、その食べ方で試してみたら半分以上も
気づかぬ間に食べ進めてしまった・・・。
購入した翌日までに食べきれない分は冷凍保存をして、
リベイクして食べるのをオススメする。
お店にはパンを目的で来ている人はもちろん、東峰村に器を探しにきている人、
遠くは長崎、熊本、鹿児島などの県外からや
近隣の朝倉市、日田市、嘉麻市、添田町からの
常連のお客さんも多いのだそう。
親子二人三脚で営んでいる、アットホームなパン屋と
素朴なパンたちに魅了された。
パンと器-小石原焼・高取焼
福岡県東峰村に伝わる小石原焼と高取焼。
2つの流れを汲む40以上の窯元が今も伝統を大切に受け継いでいる。
高取焼とは
筑前福岡藩主・黒田長政が朝鮮出兵の際、『陶工・高取八蔵』を連れ帰り、
現在の福岡県直方市に築窯させたのが始まり。
その後御用窯として栄え、1665(寛文5)年に小石原に移し、
茶陶・高取焼として名を高めた。
陶器でありながら磁器のような薄さと気品ある釉薬が持ち味。
小石原焼とは
1669(寛文9)年、初代高取八蔵の孫、八之丞がこの地で陶土を見つけたのが起源。
1682(天和2)年に筑前福岡藩3代藩主(黒田光之)が磁器の生産が盛んだった
伊万里にならって作り始めた。主に「飛び鉋」という連続した削り模様をはじめ、
刷毛を使った「刷毛目」、「櫛目」などの模様が特徴。
日本を代表する焼き物の2つ。
歴代の当代が引き継いできた伝統的な技に加えて、
最近は若い世代がデザイン系の学校で学んだ後に戻ってきて、
新たなエッセンスを加えて進化し続けている。
東峰村に来ないと購入が出来ない焼き物も多いので、
お気に入りの器を見つけて筑後旅を楽しんでほしい!
『ふくちゃん家』(旧店名:山の上のパン屋 お・かもと)
[所] 福岡県朝倉郡東峰村小石原焼596-1
[営]9:30~売り切れ次第終了
[休] 月~木曜
[☎]050-1264-3611
[P]あり
[Instagram] @o.kamoto_koishiwara
【東峰村ってどんなところ???】
福岡県中央部の東端に位置し、2005年に小石原村と宝珠山村が合併して誕生した小さな村です。春と秋には『民陶むら祭り』が開催され、多くの焼物ファンが足を運ぶ。福岡県では2つとなってしまった村のひとつですが、2012年度にNPO法人「日本で最も美しい村」連合に加盟し、日本の原風景に出会える民陶と棚田の里を守り続けています。