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【フクオカ・メイド Vol.12】花火製造所/筒井時正玩具花火製造所

【連載企画】フクオカ・メイド vol.12

フクオカ・メイドのものに注目し、その現場を訪ねる企画。今回は、1929年に旧三池郡高田町(現みやま市)で創業した花火製造所を訪問しました。天気や湿度のちょっとした変化にも影響を受ける花火製造。繊細な調整と飽くなき探求心が生む美しい火花は、日本の夏を彩る一瞬の芸術です。

 

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日本の夏の風物詩、花火。迫力ある打ち上げ花火も素敵ですが、より身近な手持ち花火、とりわけ線香花火は儚げで繊細な美しさが魅力です。現在市場に出回る線香花火は海外産がほとんどで、国内の製造所はわずか3カ所だけ。そのうちのひとつが、『筒井時正玩具花火製造所(以下:筒井花火)』です。

『筒井時正玩具花火製造所』のショップ店内(ワークショップは事前予約制。詳細はHPより要確認)

取材日には、3代目の筒井良太さんが自ら火をつけて火花を見せてくれました。「火先を下に向けて遊ぶ”東“の線香花火が一般的ですが、先端を斜め上に傾けて遊ぶ”西“の線香花火もまたきれいですよ」。

3代目・筒井良太さん。現在、息子さんが新潟県の花火製造元へ修業に行っているそうで…「花火の精神性を学んで帰ってきてくれたら、作れるものも増えてまた面白いよね」と笑顔で話してくれた
東の線香花火
西の線香花火

聞けば、400年来変わらない線香花火の原型は”西“で、現在、それを国内で制作しているのは『筒井花火』だけ。「西の線香花火の原料となるワラのために田んぼを買って、米作りを始めました」と言うから驚きです。

左が東、右が西の線香花火。かつて、米作りが盛んな関西地方ではワラスボの先に火薬を付けた線香花火が主流だった。一方で紙すきが盛んな関東地方では、ワラの代用品として紙で火薬を包んで線香花火を作ったそうだ

「私が叔父から線香花火作りを引き継いだ頃は、まだまだ”質より量“の時代。そこから紙、火薬の原料や配合…すべて見なおしました。今でも研究中ですよ」。筒井さんの熱い思いが込められた火花は、大きく、繊細で、長持ちします。一見の価値大ありの逸品です。素材にこだわった丁寧なものづくりはもとより、『筒井花火』の製品はどれもとても「かっこいい」ですね。「’08年に始まった『九州ちくご元気計画』という事業への参加をきっかけに、デザインに興味が出て。デザイナーとの出会いもあり、ずっと一緒に商品作りをしています」と筒井さんは言います。国産花火の質の良さを表すパッケージデザインと、”ギフト“としての商品構成が企業の目に留まり、別注やノベルティの制作依頼が全国から舞い込むそうです。

和紙を部分ごとに染める作業。東の線香花火作りはまず和紙を切って、染めるところから始まり、その後火薬の配合へと続く
配合した火薬を和紙に包み、撚(よ)る作業。強弱を付けながらきれいに撚るために、およそ3カ月の練習期間が必要だという。現在は約15名の職人が内職で作業にあたっている

余談ですが、製造所の隣に建つショップは、周囲に広がるぶどう畑の中で一際異彩を放っています。筒井さんの飽くなきこだわりは、建築美にも。ショップでは花火を一つから選んで買えるほか、線香花火作りを体験できるワークショップも開催中。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがですか。

 

西の線香花火 スボ手牡丹 15本入 880円
夏の線香花火 長手牡丹 15本入 880円
吹き上げる鯨花火 660円

□□□□■□□□□SHOP DATA□□□□□□□□□■

筒井時正玩具花火製造所

所 みやま市高田町竹飯1950-1
☏ 0944-67-0764
営 13:00~17:00(7~8月は11:00~)
休 水・土曜、日祝日(7~8月は水曜のみ)
P あり
カード/可、QRコード決済可
URL https://tsutsuitokimasa.jp

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