【フクオカ・メイド Vol.13】日本酒醸造所/若波酒造
【連載企画】フクオカ・メイド vol.13
フクオカ・メイドのモノに注目し、その現場を訪ねる企画。今回は、大川に現存する唯一の蔵元、『若波酒造』を訪ねました。
派手ではないのに、なぜか印象に残るラベル、福岡の酒好きなら一度は見たことがあるのでは。和酒業界に旋風を巻き起こす若波の酒、なぜ旨い?
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雄大な筑後川のほとりに、若きチーム力で躍進を続ける蔵元があります。1922年(大正11年)創業の『若波酒造』です。’23年9 月に開かれた福岡県酒類鑑評会では、同社の〈若波〉ブランドが全5 部門のうち2 部門で最高位を受賞。名実ともに今の福岡を代表する酒は、どのように生まれるのでしょうか。製造統括の今村友香さんに話を伺いました。
現在のチーム若波は、友香さんと、弟であり社長の今村嘉一郎さん、そして9代目杜氏・庄司隆宏さんの3人と蔵人4名の計7名。「現杜氏は、私が広島の酒類総合研究所に通っていたころの同級生です。彼を招き入れたタイミングで、酒造りのコンセプトを定めました」。そのコンセプトとは、「味の押し波・余韻の引波」。「コンセプトを設定したことで、蔵全体が目指すべき方向性が固まりました。社長が船頭、舵取りが杜氏、蔵人たちが船員となって、同じ方向を目指して航海をしている…そんなイメージですね」。
〈若波〉ブランドに共通する穏やかで清々しい味わいは、全員共通の指標があってこそ醸せる代物です。「共に航海をするために、私たちは利き酒を繰り返します。甘味や酸味といった味覚を10段階に分けて数値化することで、舌の物差しを揃えたいと」。この利き酒能力もまた、チーム若波の強みといえるでしょう。
友香さんと庄司さんは、公的に認められた唯一の利き酒免許「清酒専門評価者」に認定されており、今現在、県内には他に認定者がいないそう。それほど高難度な試験の合格者が2 人もいるとなれば、鬼に金棒です。
現在、『若波酒造』の特約店は全国に40軒ほど。今後、福岡ひいては全国の日常酒として定着するためにも、体制作り、人材補強が課題だそう。「華やかに香る日本酒が今の流行りですが、若波の酒は違います。香りでマスキングできない分、一点の曇りもない製造をしなくてはいけないんです」。我こそは真摯で実直な酒造りに貢献できるという方は、チーム若波の一員として、名乗りを上げてみてはいかがでしょう。
画像右:『若波純米吟醸』上品な甘味と、すっと引く切れ味。糸島産の山田錦、三潴産の夢一献を使用( 7 2 0 m l/1930円)。画像中央:『若波純米酒』若波のフラッグシップ。 2 0 2 3 年福岡県酒類鑑評会【純米酒の部】福岡県知事賞受賞(720ml/1540円) 。画像左:『あまおう -苺のお酒-』オンザロックやソーダ割でも。九州産フルーツを使った果実酒『Qdamon(くだもん)』シリーズ(300ml/930円)
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所 大川市鐘ヶ江752
☏ 10944-88-1225(蔵見学は要予約)
営 9:00~17:00
休 日祝日、不定
P あり
カード/可、QRコード決済可
URL https://wakanami.jimdofree.com/