上毛町「冬のハナ」黄、赤、白、緑…餅の花が咲く
稲株だけになった冬の田んぼで、男たちが木や竹を組んで櫓を建てています。福岡県と大分県の県境を流れる山国川、川の向こうは中津市本耶馬渓、「青の洞窟」にもほど近い原井地区で「どんど焼き」の準備が進められていました。
正月に飾ったしめ縄や書初めなどを家々から持ち寄り、地区住民が造った櫓に火をつけていっしょに燃やす…日本の農村地なら、北から南まで全国津々浦々で行なわれる新春行事です。上毛町でも1月から2月にかかえて毎週のように、あっちでポンポン、こっちでポンポンと竹の爆ぜる音が聞こえてきます。本来は小正月の行事で、火は穢れを浄め、竹の爆ぜる音は災いを退け、煙に乗せて年神様を送るなどの意味を持つといいます。
以前は子ども会で行なっていた行事だが、今は子どもの数も少なく、自治会の60代、70代のお父さんたちが担当。「若もんがおらんけ、いつまで続けられるかの…」
こうした行事は、昔から住民総出で準備していました。ふだんは接することのない若者たちと老人たちが一致団結して大きな竹櫓を組み立てます。若い娘や嫁たちは母親や姑、近所のおばあちゃんとワイワイ言いながら、おにぎりを何個も握っていきます。
櫓に火が付くとあっという間に燃えていき、煙がものすごい勢いで空に上ります。それをみんなで眺めていると「今年も良い年でありますように」と心の中で言葉が浮かびます。
灰をかぶれば、今年1年、病気しないんだよ。