【インタビュー】Iris「弱虫の私にとって、新曲『赤だけが足りない』の“赤”とは…」
取材・文・写真/福島大祐(編集部)
テレビ番組の企画で日本縦断ヒッチハイクを行ない、その健気な姿で注目を集めたマレーシアの女性歌手・Iris(アイリス)をご存じだろうか。マレー語、英語、中国語、日本語の4カ国語を話し、モデルとしても活躍中の彼女は昨年、日本でも歌手デビューを果たした。3rdシングル『赤だけが足りない』が人気アニメの劇場版主題歌にも抜擢された彼女に、日本での活動の印象や楽曲についてインタビュー。どうやら偏ったイメージを持って来日したようで…?
—日本縦断ヒッチハイクをされている時に、福岡の屋台『ともちゃん』でアルバイトをされたそうですね。
Iris(アイリス)…以下 Iris:九州から沖縄へ渡る渡船代を稼ぐために、アルバイトするしかなかったんです。屋台でお皿を洗ったり、食べ物をお客さんに出したり、歌ったり(笑)。すごく温かい感じなんですけど、屋台って遅くまでやるんですよね。すっごく眠くて大変でした。ちょっと寒かったから、ずっとお皿を洗うのはきつかったですね。
—日本に来る前と来てからで印象の違いはありますか?
Iris:マレーシアにいる時の日本のイメージは、日本の皆さんは時間を守るということと、アダルトビデオがすごく多い印象があって。
—え、アダルトビデオですか?
Iris:変態なものがいっぱいあるイメージがあります。
スタッフ:ハハハハ(笑)!
Iris:私が日本に行くと友だちが聞いて、「え、大丈夫? AV女優やりますか?」って心配されました(笑)。
マネージャー:某AV女優さんは中国で大スターですからね。
Iris:日本のアダルトビデオはマレーシアやタイで有名なんです。
—初っ端から少し驚きました(笑)。日本で活動してみて、人やカルチャーの印象は変わりましたか?
Iris:ちょっと変わりました。アダルトビデオの話も聞いたことないし(笑)。日本の人はストレスがたくさんありそうです。あと仕事が大好きですね。
—日本の歌手で以前から知っている人は?
Iris:マレーシアにいた時は玉置浩二さんや、YUIちゃんも好き。昔、日本の歌も結構流行ってたんです。安室奈美恵さんとか浜崎あゆみさんとか大人気でした。
—なるほど。それでは音楽の話にいきましょう。これまでの楽曲と比べて、最新シングルの『赤だけが足りない』はシリアスな曲調ですね。
Iris:これまでとは全く違いますね。今回はアニメに合わせて作った曲なので、私にはちょっとストロングな感じかな。パッションで歌っています。
—Irisさんの中の強い気持ちを全面に出して歌っている?
Iris:そうですね、穏やかなパッション…勇気を持って前に進む気持ちです。私自身は弱虫ですぐに泣きます(笑)。
—浅倉大介さんのプロデュースということですが、浅倉さんとはどんなやりとりをされましたか?
Iris:レコーディングする時に来ていただいて、指示を出してもらいました。たとえば「バースのところは短くした方がいい」とか、「ここがクレッシェンドの方がいい」など細かく教えてくれて、すごくわかりやすかったです。
—歌唱で難しかったところは?
Iris:言葉ですね。特に今回の歌詞は難しいです。理解するまで結構時間がかかりました。漢字も今までと比べると難しい。まずは主題歌となるアニメの『コードギアス』を全部観ました。それからこの歌詞を理解して、知らない言葉をチェックして、作詞家に「どうしてここをこう書いたの?」とディスカッションしました。
—その上で、タイトルの『赤だけが足りない』の「赤」というのはご自身としてはどう捉えていますか?
Iris:私が思うのは情熱と強い心、勇気ですね。『コードギアス』の主人公・ルルーシュの気持ちみたいな。ルルーシュにもっと「赤」の気持ちがあったら、もっともっと前に進める…と捉えています。でも、映画を見たら別の「赤」が見つかるかもしれません!
—先ほど弱虫だとおっしゃっていましたけど、情熱的な曲を歌ってみて心情的に影響を受けたことはありますか?
Iris:実はこの曲のある部分がすごい好きで。2番の「間違った出口と 交差して倒れて それでも光目指す」の部分が、とても勇気があると思います。間違っても、大変だけど、光を目指す…前に進む。勇気がないとできないんですね。私は弱虫だから多分できないと思う(笑)。
—カップリングの『月と兎』は曲調が変わって片思いの曲ですね。
Iris:『月と兎』ね、すごくファンタジーな歌です。可愛いです。今の季節にピッタリですね。月も最近キレイですね。ちゃんと兎いるかな〜♪ 月はマレーシア人みんなが大事にしています。家族で月餅食べる。お茶飲む。
—風習としてあるんですか?
Iris:あります。
マネージャー:中華圏の若者は月見でバーベキューをするそうです。中秋月の日は家族で過ごしたり。日本のお花見みたいな感じですね。月を愛でるのを理由にバーベキューをするみたいです。
—日本にはない文化ですね。さて、今後の活動でチャレンジしてみたいことはありますか?
Iris:女優さんです。映画とかドラマとかやってみたいんですけど、言葉が難しくてなかなかできないですね。イントネーションがちょっと違うんです。
—お上手ですけどね。日本語はどれくらい勉強されたんですか?
Iris:マレーシアで2カ月勉強して、簡単な日本語をおぼえて日本に来て。最初は全然喋れなくて大変でした。
—2カ月とは凄い!!
Iris:ヒッチハイクの旅でいろんなところに行って教えてもらって、帰ってきたらスタッフさんたちみんなビックリしてました。「日本語上手になったね!」って。
—好きな日本語は?
Iris:「ありがたや」が好きです。「大人の事情」と「雲隠れ」もおぼえました。
—「ありがたや」も「雲隠れ」も日常生活で使うことまずないですけどね(笑)。
マネージャー:あと「あざっす」ね。
Iris:「あざ〜っす!」。「押忍、お〜す!」も最近おぼえた!
—「おす」も言わないですよ(笑)。以上です! あざっす!
Iris:あざ〜〜す! 「どっし!」
—どっし?
Iris:「どういたしまして」! アハハ(笑)。
<Release>
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