【インタビュー】CHAI(チャイ)「私たちが完璧じゃないからこそ出来たアルバム、それが『PINK』」
取材・文/本田珠里(編集部)
写真/占部千尋
「コンプレックスは個性だよ!コンプレックスはアートなり!!」というテーマで、“NEOかわいい”と話題のオンナバンド『CHAI(チャイ)』。昨年、突如音楽業界を奇襲した彼女たちに衝撃を受けた、アジカンのゴッチ、木村カエラ、いとうせいこう他、名だたる著名人たちがSNSを通して大プッシュ。今やジャンルを超えて様々なアーティストからの共演オファーが続いているという、まさに新世代のポップアイコンとも言える彼女たち。今回、イベント出演のため来福したCHAIを直撃!
—待望のフルアルバム「PINK」発売おめでとうございます!以前から、ライブの衣装もピンクで揃えるなど“CHAI=PINK”のイメージはありますが、ピンクにこだわる理由は?
マナ:私たちのテーマ色なの。ピンクって、ぶりっことか、肌の白い人が似合うとか、普通の人があまり着れない可愛らしいイメージがあると思うんやけど、それをCHAIが着ることによって身近にしたい!
ユウキ:そう、女の子って絶対小さい頃は着てた色なのに、大人になるにつれて世間的なイメージも含めて着ちゃだめなんじゃないかっていう、手が届きにくいイメージを変えたい。本当はピンクって、かっこいいしパワーのある色だから、私たちがピンクを着て、かっこいいライブをすることで、よりかっこよく見せたいと思ってるの。
—今回のアルバムのジャケットも、リード曲『N.E.O』もPVもピンク一色!確かにピンクってパワーをもらえる色ですね。『N.E.O』は、PVも合わせて見て欲しいですよね。「コンプレックス=個性」の考え方というか、視点を変えればそう見えるか〜!と、すごく分かりやすく解説されていた気がします(笑)。
マナ:わー嬉しい!PVのアイデアも自分たちで出してるの!
ユウキ:今までどこかで見たことある普通のバンドっぽい世界ではなくて、新しいものを見せていくアーティストでありたいと思ってるから、みんなの刺激になるようなものにしたくて。
—アルバムの一曲一曲も長すぎずテンポも良くて、何度もリピートしてしまう中毒性と、曲のグルーブ感がとにかく凄い!こんな可愛らしい女の子たちなのに、一体どんな音作りをしてるんだろうって。
ユウキ:“アルバムっぽい曲”を入れるんじゃなくて、どれもメイン曲としていける、違うジャンルで強さを持ってるものにしたかった。音作りは、女っぽさを封印して男を感じるような音を目指してるよ。
マナ:うん、それを一番目指してる!アルバムの曲のバランスは、すごく考えたから、伝わってて良かった〜!やっぱそうだよね、飽きちゃうよね、一曲が長すぎると(笑)。
—確かに演奏は男らしさを感じます。そのギャップがカッコイイですね。全てがメインをはれる曲に、とのことでしたが、その中でも一番のテーマとなるのは、やっぱり『N.E.O』?
マナ:実は、テーマは最後の『フラットガール』にまとまってるの。「I’m not perfect, you’re not perfect,」っていう部分があって、私たちが完璧じゃないからこそ出来たアルバムだと思ってる、それが一番のメッセージ。まあ、貧乳の歌なんだけどね(笑)。
ー『フラットガール』…ね(笑)!
ユウキ:そうそう、足りないくらいが面白いんだよって(笑)
マナ:ね、爆乳ばっかり好きな人に対して新しい価値観を提案してるよね、わはは(笑)!
—世の中には、コンプレックス持ってる人の方が多いと思うんです。だからこそCHAIのメッセージって、強烈なんだけど、ちゃんと向き合って聴くと納得する言葉が多いし、共感を得てるんじゃないかなって。
マナ:そう思ってもらえたら嬉しい!
ーCHAIの名前が一気に広がったキッカケになった曲は、やはりSNSで話題となった『Sayonara complex』だと思いますが、結成時から「コンプレックス」というテーマは決めていたんですか?
マナ:最初は、全然決めてなかった。
ユウキ:音楽を本気でやるなら、やっぱり何かを発信して聴いてもららった人になんらかの影響を与えることが大事だなと思って。私たちの武器は何かなって考えた時に、4人とも全員コンプレックスが沢山あって、それが共通点だったの。「コンプレックス=欠点」って思ってる人が多いでしょ。でも、私たちは、いつも4人で褒め合って、それを自信に変えて、鏡に向かって「私、可愛い!」って変な勘違いを起こしてるの(笑)。コンプレックスが自信になるだけで、世界って変わっていくし、良いことが起きる追い風になると思う。
私たち自身も、大好きな音楽で、笑ったり泣いたり感情を揺さぶられたりしてきたから、音楽と通せば重たくなく、想いを絶対に伝えられると思って。「コンプレックスは個性」って、一番傷つきやすい思春期の頃に言われたかった言葉だよね。
マナ:そう、ホント重いんだよね、テーマ自体は。だから「あの時こういう風に言ってくれる人がいたら良かったな」っていう言葉を歌詞に込めてる。昔は私たちも超ネガティブだったもんで。
—なるほど。確かに自分のコンプレックスを好きになれたらいいですよね。ところで、CHAIは音源だけでなくて、ライブパフォーマンスも評判高いですよね。
マナ:音源とライブは別物だと思ってて、それぞれこだわってる!ライブはもうエンターテイメントだと思ってるもんで、私たちのライブを観て、笑って欲しいし、泣いて欲しいなって。
ユウキ:ライブは音の圧を全身で感じれるし、ライブを見て笑うと楽しくなるでしょ?だから、みんなを笑顔にしたくて、色々ネタをはさんだりしてる(笑)。
—めちゃくちゃカッコいい音で演奏してると思ったら、いつのまにか全員出てきて踊ったりしてますよね(笑)。
マナ:わはは〜そうそう(笑)!自分たちで考えて、ステージを作ってる!ただただ、お客さんに楽しんで笑って欲しくて。
ユウキ:私たちも演奏してたら踊りたくなっちゃうしね(笑)。
—福岡のお客さんの反応はどうですか?
マナ:福岡のお客さんは、めっちゃくちゃノリがいい!
ユウキ:昨日も会場パンパンだったんだけど、何故かモッシュみたいなことが起きてて(笑)。(インタビュー前日は@キースフラックでのライブ)
マナ:いや、ほんと東京なかなかあんな風にならない!モッシュなんてCHAIのライブで起きたことないもん(笑)。あの光景すごかったよね。
ユウキ:うん、盛り上がりすぎて波みたいになってた(笑)。アメリカ人のテンションと一緒だった!
マナ:そうそう、アメリカ人っぽかった(笑)!
—アメリカっぽいっていうのは、初めての感想かも(笑)。CHAIは福岡でも個性的な地元バンドと共演されてますよね。
マナ:確かに個性強い人多いよね、福岡は(笑)。前に共演したフォークイナフとかボギーさんとか。
ユウキ:今回、対バンした九州ロッカーズもすごかったよね(笑)!
スタッフ:今年3月にアメリカへ行って、その後の5月の福岡公演がCHAIにとっては日本で初めての地方だったんだよね。それまでは東名阪くらいでしかライブやってなかったから。
マナ:そうなの。地方の初めてが福岡!最初来た時から、お客さんも沢山来てくれて嬉しかったし、毎回、主催者の想いも強くて、本当に会う人みんな優しい人たちばかりで大好きな街。空港でしゃべりかけられたのも福岡が初めてだった。「東京より有名じゃん今、私たち!」って(笑)。東京でも、その頃まだ話しかけれらたことなかったのに(笑)。それだけ、音楽が身近なのかなって。
ユウキ:確かに音楽に壁がない感じがする。そこもアメリカっぽいね(笑)。
—アメリカと言えば、今年は「SXSW」(アメリカで開催される世界最大規模の音楽祭)への出演、そしてアメリカツアーも経験されてますが、向こうでの反応はどうでしたか?
ユウキ:エンターテインメントな国だから、それを求めてられるのもわかったし、私たちが目指していた事と同じだったから、お店から漏れて聴こえる音に反応して、どんどん見に来てくれて、めちゃくちゃ盛り上がってくれたから本当に嬉しかった!あと、L.Aでのライブ中にCHAIの音楽を聴いて、カップルがチューしてたの!日本語だし、ラブソングでもないのに、雰囲気でロマンチックになってくれたの、その姿を見てすごく感動!
—グラミー賞を目標に掲げてますが、音作りも海外発信を頭に入れて作ってる?
マナ:もちろん!“CHAIみたいな音楽もあるんだ”っていう提案をしたいし、ちゃんとメインに立ちたいと思うから、私たちの音楽でメインに立つ!それと、”日本語”っていうのがすごく大事だと思っていて、日本語を広めたいなって。アメリカに行った時に、ずっと「ニーハオ」って話しかけられて、“アジア=中国”なんだなって感じて、悔しかったの。私たちは「こんにちは」だぞって。だから「もっと日本って凄いんだぞ!できんだぞ!」っていうのを見せたい!
ユウキ:日本のバンドがグラミー賞取ってないっていうのも悔しいよね。だから、私たちが取りにいって「かわいい」の価値観も変えたいって思ってる。
—素晴らしい!本気が伝わってきて鳥肌立ちました。12月の福岡公演楽しみにしています!
マナ・ユウキ:うん、頑張る!!!
リリース情報
CHAI 1st Album『PINK』発売中
・初回限定盤:CD+新感覚前向きコンプレックス図鑑「COMPILEX」豪華ブックレット付(3000円+税)
・通常盤:CDのみ(2400円+税)
CHAI オフィシャルサイト http://chai-band.com
ライブ情報
w/ 黒猫チェルシー, パノラマパナマタウン, Helsinki Lambda Club※全国ツアーの日程はこちらでチェック→http://chai-band.com/live