【SDGs】パスタとドレッシングでおなじみ! 福岡発祥『ピエトロ』の取り組み
親不孝通りの1軒のパスタ屋さんから、「野菜嫌いの子どもがサラダを食べるドレッシング」が口コミで人気商品に! 今やレストランを日本全国(とハワイに)展開、ピエトロドレッシングとパスタソース、パスタ麺〈ピエトロAGNESI(アネージ)〉、パスタソースなどがスーパーの棚に並んでいます(私も愛用しています)。
そんなピエトロさんのSDGsの取り組みについて話を伺うため、『ピエトロ本店 セントラーレ』(福岡市中央区天神3丁目)がある本社ビルに伺いました。
お話をしてくれたのは、SDGs推進室長(取材時)・城戸光一さんです。
—ピエトロで取り組んでいるSDGsについて教えてください!
「そもそもSDGsって何だかご存じですか?」
—まだ勉強を始めたばかりで、2030年までに到達すべき17の開発目標ということだけ理解しています…。
「サステナビリティ(=持続可能性)やエシカル(=倫理的)など、SDGsに関しては、いろいろな言葉が飛び交っていますが、そこを理解することより、まずは“できること”から始め、みんなで一緒に取り組むことが大事だと考えています」。
「たとえば、ピエトロですから、まずは食育やフードロスの削減、環境にやさしいパッケージなど、できることはたくさんあります。コロナ禍で活動は休止していましたが、幼稚園や保育園に出張して、実体験を通して楽しく学んでもらうため、厨房設備のあるキッチンカーもつくりました。またおなじみのピエトロドレッシングの容器を、バイオマスプラスチック配合のものに変えました。商品のラベルや外箱、テイクアウト用の紙袋、全店舗に設置のメニューなどの印刷には環境にやさしいバイオマスインキをつかっています。さらに社員の名刺は紙製ではなく、国産の石灰石と水で作る新素材『LIMEX(ライメックス)』を採用しています」。
「この袋の匂いを嗅いでみてください。今は、プラスチック製のレジ袋は有料になりましたが、この袋はプラスチックに食用の植物由来の原料を25%配合して作られています。かすかに甘い匂いがしませんか? 実は国産の“非食米”を原料にした『ライスレジン』というバイオプラスチックが配合されています。古米など廃棄になるお米を使うので、地上の二酸化炭素に影響を与えないカーボンニュートラルです。プラスチック製100%のレジ袋は有料ですが、ライスレジン配合の袋はお客さまに無料で提供できるというのも利点です」。
「こちらをご覧ください。この本社ビル屋上に設置したソーラーパネルです。こちらは2021年7月より稼動していて、1年間で本社ビル約1カ月分のクリーンエネルギーを生んでいます。また、長尾店、次郎丸店の郊外型店舗2店には、再生可能エネルギーを導入。それができるのは自社で建てた郊外型だけにはなりますが、今後増やしていき、工場も含めて太陽光と再生可能エネルギー化を進めています」。
—バイオマスプラスチックもライスレジンも、そして再生可能エネルギーも、既存のものに比べたらコストはかかりますが、ランニングコストが高くなったとしても環境にやさしい方にシフトできることが素晴らしいです。
「これからは企業が率先して取り組まなければいけません。SDGsについて他の企業にもお話をさせていただく機会があるのですが、某ビール会社にライバル同士で手を組むことを提案させていただきましたよ! それがきっと“三方よし(※1)”に繋がるでしょうからね!」
※1…近江商人の経営哲学「買い手よし、売り手よし、世間よし」の「三方よし」。利益を追求するだけでなく、客に喜ばれるものを提供し、世の中のために良いことをすべし、という考え方。
「また、NPO法人とコラボしてシングルマザーの家族を能古島にある自社農場に招待、母子でアウトドア体験(畑&料理)をしてもらう活動もしています。さらに多様性に対する勉強も進め、レインボー・パレードにも参加して、LGBTQ+(性的マイノリティ)への理解と支援も進めています。10人に1人の割合と言われていますから、企業に何人かいて当然なんです。そういう人たちが生きやすく働きやすい環境をつくることも大切です」。
とても朗らかで、引き込まれる城戸さんの語り口に、取材班一同、感動しっぱなし! SDGsの根幹を勉強させていただくとともに、企業としての懐の深さに感嘆しながら帰路につきました!